四季編 18+
『舞台は、クォーターと呼ばれる西洋風の文明を築く世界。
魔法が存在し、精霊などの不可思議な命が生きる世界』
少女の声で紡がれる言葉。
そしてその言葉と共に写るのは、豊かな自然と、ゆらゆらと幻想的に揺れる光。
『その世界には、四つの国がある。
亜人が治め、春を司る国「リーンディア」』
緑の髪を持つエルフが、こちらに背を向け、さらりと髪をなびかせる。
『ヒトが治め、夏を司る国「アグナ」』
赤い髪を持つアマゾネスが、荒野を背に不敵に笑う。
『精霊が治め、秋を司る国「ロムネスカ」』
茶の髪を持つ妖精が、沢山の花に囲まれて微笑む。
『古代文明の遺産が治め、冬を司る国「クランク」』
青の髪を持つアンドロイドが、機械的な模様の書かれた間で、無表情で佇む。
『そんな四つの国の王が求めるのは、「四季の楔」という秘宝だった。
四季の楔は、永遠の繁栄を約束すると言われている。
人々はそれを求め、深き森や険しき山を踏破せんと、自らの武を鍛え、知を磨いた』
金髪の少年が、黒髪の男性の指示の下、剣を振る。
粒のような汗が散り、真剣な表情は、更に凛々しく輝いて見えた。
『そんな世界で、あなた≪プレーヤー≫は、何を為しますか?』
映る街並み。活気の良い市場。
そんな光景がフェードアウトされたかと思うと、画面を覗き込むように、銀髪の狐のような獣耳を持つ、幼い少女が映る。
「ワシは、待っておるぞ。四季の楔の元で、の……」
それは、まるで鈴の音のように、耳障りの良い声だった。
『世界初のVRMMORPG ~クォーターズ・オンライン~』
そして画面にどん、と映し出される「20XX年、後悔予定」の文字。
……ここまで動画を見たものは、例外なく最後の誤字に脱力した。
しばしの間、わざと!? それとも天然!? という議論がなされたとかなされなかったとか。
奈津いわく、『後悔』するくらい沢山人がくるといいなあ、という意味らしい。
でもたぶん言い訳。
あと、ナレーションの声は奈津。