神の祝福
お待たせしました!これからも投稿頑張っていきますのでよろしくお願いします!
その場は完全に眩い、神々しい光に包まれていた。
「誰だ…?」
「先の戦いを見ておりました。私は時空神アウロネクエス。この世界に影響を及ぼす可能性があると報告を受け参りました」
かなりマズイ。俺はもう最上級魔法の熱の影響で剣は振れないし、魔力が底をつきかけている。戦闘にならなければいいが…
「神、か。敵意はあるか」
「あなたがそれを望むなら、ライア」
「敵意などない。むしろ、戦闘はごめんだね」
「見たところ、魔力が底をつきかけ、そちらの剣士は瀕死。良い選択でしょう」
「目的はなんだ?この世界で神が具現化することなど珍しいだろう」
「話に応じれば身体を直し、あなたの秘密を答えましょう。要求は一つ。私の手伝いをしてほしいのです」
手伝い?神なら出来ることなどないのではないか?
まあ、探ってみるか。
「神が魔族に頭を下げるか。余程の事情があるのやもしれぬが、何故俺を選んだ?神なら圧倒的な力を持っているだろう」
「どちらかです。手伝っていただけるのか、ないのか」
「断れば?」
「時空神の秩序に基づきあなたを殺します」
まあ、そうくるとは思っていた。今逃走しても戦闘になっても答えは1つ。“死”のみだ。
「…わかった。何を手伝えばよい?」
「説明する前に身体を癒す」
そういって時空神は両手を広げた。
「ついでにこいつも頼む。配下に加えたい」
そう言ってアジェスタを指差す。
「いいでしょう。〈時空の歪み〉」
そう言った瞬間、周囲が靄に包まれた。
「ここは私の“神域”です。傷口周辺の時間を巻き戻し、再生します。必然的に魔力も戻ります」
「なるほど。ただこれは“神域”の副次的効果だな。周囲との時間を断ち切り独立させる、時空神らしい権能の象徴だ」
時空神は少し驚いていた。俺が神域の効果、ましてや回復を意図的に行なっていないことも見抜くとは思ってもいなかったのだろう。
まあ魔力の流れを魔眼で観察すればわかるのだが。
アジェスタはまだ気を失っている。傷は回復しているが、先の俺との戦闘が響いているのだろう。
時空神はアジェスタに視線をやり、またすぐ俺の方へ戻してきた。
「そちらの方はもう心配ないかと。では、そろそろ本題に入らせていただきたいのですが」
「神にできないが、魔族にできる問題か。聞いたこともない」
すると時空神は微笑み、続けた。
「あなたにしかできないから、ここに呼んだのです。そう、あなたほどの強者にはおよそ4000年ぶりに会いましたから」
「誰だ?」
「魔王ゲヌドゥブ・ノイエルです。私は彼に同じ願いをしましたが、答えはノーでしたから。無謀だ、とね」
伝説に等しき魔王ですらノーと言った願いか。面白そうではあるが、賭けだったのだろうな。それもハイリスクな。
だから魔王は乗らなかったのだ。
「話してみろ。それでどうするか判断しよう。場合によっては協力を拒む」
「わかりました。お話ししましょう」
時空神が念じると、空中に映像が映し出された。
それは長い長い、遥かに遠い昔の話であったー