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ねこが棲む者達  作者: ねこおう
らくがき事件編
8/44

8話 本当に犯人いるの?

毎日投稿する気でしたが、あっという間に崩れたので適当に更新します。

「じゃあ、これで話は終わりね。私は行くわ」

「まだです。天音さんは私の話を信じてないです?」

「ええ」

「……」


 藤根さんは天音さんに近づくと前触れもなし手を握った。

 瞬間、


「いたっ!」


 天音さんが叫び声を上げて手を離した。


「何っ?!今の静電気!?藤根さん、何したの?!」

「今のが”ねこの能力”<ねこの雷撃>です」


 そう言った藤根さんはどこか誇らしげだった。


「そ、そんなわけないでしょ!」

「実際に私の能力を受けてまだ信じないのです?」

「トリックよ!何か仕掛けがあるのよ!大体、雷撃って何よっ?猫にそんな力無いわよ!」


 うん、僕も天音さんと同意見だよ。

 黙ってるけど。


「なあ、藤根。俺にもやってくれねえか?その<ねこの雷撃>って奴」

「いいでしょう」


 藤根さんは白銀が差し出した手を握った。


 瞬間、


「!!」


 白銀は叫び声こそ上げなかったものの、さっきの天音さん同様にパッと手を離した。


「マジでバチっと来たぞ」


 天音さんとは違い、白銀はとても楽しそうだ。


「その力おもしろいな。俺もその雷撃って奴、使えるようになるのか?」

「何話に乗ってるのよ?馬鹿じゃない」

「面白れえんだからいいじゃねえか」

「白銀君、残念ながら同じ能力を身につける事はできないらしいです」

「そうなのか。つまんねえなぁ。まあいいや、他に何があるんだ?」

「知られているのは先程言いました暗闇を見ることができる<ねこの夜目>、身体能力が向上するという<どろぼうねこ>、この世のものではない幽霊などを見ることができるという<ねこの霊視>、あらゆるものを魅了するという<ねこの微笑み>、そしてあらゆるものを浄化するという<ねこの綺麗好き>です」


 ……なんかひとつ、へんな名前のあったけど?


「へえ、じゃあ、時宗は間違いなく<ねこの綺麗好き>だな」

「まあ、その話が本当ならね」

「よかったじゃないか。奇病の原因がわかって」

「いや、わかってないから」

「私を疑うんです?」

「いや、そういうわけじゃ」


 あるけど。


「本当にあなた達頭大丈夫?大体なんでそう思うのよ?藤根さんもなんでそんなに自信持ってるわけ?」

「それは過去にも同じような事件があったからです」

「え?そうなの?初耳だけど?」

「本当です。二十年ほど前ですが、その時もこの高校でした」

「あ、お母さん、この高校の出身だったんだ?」

「ええ」

「まだその馬鹿話続けるつもり?藤根さんと時宗君はグルなんでしょ。いえ、白銀君もね!三人で私をからかってるんでしょ!」

「そんなことしないから!」


 しかし、天音さんは話を聞かず出て行こうとして、ドアを思いっきり開ける。前をろくに見ていなかったので正面にいた人とぶつかった。

 それは二年A組の担任であり、数学教師でもある舞歌・タイラー先生だった。

 名前からわかると思うけど外国人とのハーフだ。

 金髪の美人で性格がさっぱりしてて男女問わず生徒の人気は高い。

 B組の担任のいつもやる気がなく、どこか惰性で生きてるような加藤先生とは大違いだ。


「すみません、先生!私、前をちゃんと見てなくて……」


 天音さんがすまなそうにタイラー先生に謝る。


「大丈夫ですけど、今度からは気をつけなさい」

「はい、本当にすみませんでした」


 今度こそ本当に天音さんは教室を出て行った。

 タイラー先生は天音さんを見送り僕達に視線を向ける。


「藤根さん、お友達できたのね」

「いえ。……あ、はい」


 藤根さん、即否定は悲しいよ。

 でも、最終的に「はい」って言ったって事は今、この瞬間に友達に昇格したのかなっ?!


「よかったわ。いつも一人でいるから心配してたのよ」

「心配おかけしてすみません」


 タイラー先生が僕達に目を向ける。


「あなた達は確か、B組の生徒ね?」

「はい」

「ああ」

「藤根さんと仲良くしてね。ただし仲良くの意味は……言わなくてもわかってるわね?」

「は、はいっ」

「はいはい」

「よろしい。さて、あなた達も用がないなら帰りなさいよ」


 そう言ってタイラー先生は教室を出て行った。


「じゃあ俺も帰るわ。時宗、藤根、新しい情報が入ったら教えてくれよ」


 そう言って白銀が教室出て行く。


「じゃあ、私達も帰りましょう」

「そうだね」



 藤根さんは電車の定期を持ってるはずだけど、今日は僕に付き合って歩いてアパートへ帰ることにしたようだ。


「藤根さん」

「なんです?」

「僕達、友達になったんだよね?」

「……なんの話です?」


 藤根さんは不思議そうな顔をする。


「いや、さっきタイラー先生の前で“友達”だって言ったじゃないか」

「あそこで『違います』なんて言えます?」

「まあ、言えないかな」

「そういうことです」

「そうなんだ」


 ガッカリだよ。


「でも安心してください。今回のことで白銀君は“同じ学校の生徒”から“知り合い”に昇格しました」

「そう」


 いや、それ、何も安心出来ないよ。

 ライバルになる可能性が高くなったんじゃないの?


「どうしたんです?」

「なんでもないよ」

「そうです?」

「うん。ところでさ、あの二人のどちらかが犯人だと思ってる?」

「まだわかりません。能力のこと、知らないフリをしてる可能性もあります」

「それはないと思うけどなぁ」

「もしそうなら消去法で犯人は時宗君です」

「だからなんでそうなるんだよ!」


 藤根さんはどうしても僕らから犯人を出したいようだ。


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