8話 本当に犯人いるの?
毎日投稿する気でしたが、あっという間に崩れたので適当に更新します。
「じゃあ、これで話は終わりね。私は行くわ」
「まだです。天音さんは私の話を信じてないです?」
「ええ」
「……」
藤根さんは天音さんに近づくと前触れもなし手を握った。
瞬間、
「いたっ!」
天音さんが叫び声を上げて手を離した。
「何っ?!今の静電気!?藤根さん、何したの?!」
「今のが”ねこの能力”<ねこの雷撃>です」
そう言った藤根さんはどこか誇らしげだった。
「そ、そんなわけないでしょ!」
「実際に私の能力を受けてまだ信じないのです?」
「トリックよ!何か仕掛けがあるのよ!大体、雷撃って何よっ?猫にそんな力無いわよ!」
うん、僕も天音さんと同意見だよ。
黙ってるけど。
「なあ、藤根。俺にもやってくれねえか?その<ねこの雷撃>って奴」
「いいでしょう」
藤根さんは白銀が差し出した手を握った。
瞬間、
「!!」
白銀は叫び声こそ上げなかったものの、さっきの天音さん同様にパッと手を離した。
「マジでバチっと来たぞ」
天音さんとは違い、白銀はとても楽しそうだ。
「その力おもしろいな。俺もその雷撃って奴、使えるようになるのか?」
「何話に乗ってるのよ?馬鹿じゃない」
「面白れえんだからいいじゃねえか」
「白銀君、残念ながら同じ能力を身につける事はできないらしいです」
「そうなのか。つまんねえなぁ。まあいいや、他に何があるんだ?」
「知られているのは先程言いました暗闇を見ることができる<ねこの夜目>、身体能力が向上するという<どろぼうねこ>、この世のものではない幽霊などを見ることができるという<ねこの霊視>、あらゆるものを魅了するという<ねこの微笑み>、そしてあらゆるものを浄化するという<ねこの綺麗好き>です」
……なんかひとつ、へんな名前のあったけど?
「へえ、じゃあ、時宗は間違いなく<ねこの綺麗好き>だな」
「まあ、その話が本当ならね」
「よかったじゃないか。奇病の原因がわかって」
「いや、わかってないから」
「私を疑うんです?」
「いや、そういうわけじゃ」
あるけど。
「本当にあなた達頭大丈夫?大体なんでそう思うのよ?藤根さんもなんでそんなに自信持ってるわけ?」
「それは過去にも同じような事件があったからです」
「え?そうなの?初耳だけど?」
「本当です。二十年ほど前ですが、その時もこの高校でした」
「あ、お母さん、この高校の出身だったんだ?」
「ええ」
「まだその馬鹿話続けるつもり?藤根さんと時宗君はグルなんでしょ。いえ、白銀君もね!三人で私をからかってるんでしょ!」
「そんなことしないから!」
しかし、天音さんは話を聞かず出て行こうとして、ドアを思いっきり開ける。前をろくに見ていなかったので正面にいた人とぶつかった。
それは二年A組の担任であり、数学教師でもある舞歌・タイラー先生だった。
名前からわかると思うけど外国人とのハーフだ。
金髪の美人で性格がさっぱりしてて男女問わず生徒の人気は高い。
B組の担任のいつもやる気がなく、どこか惰性で生きてるような加藤先生とは大違いだ。
「すみません、先生!私、前をちゃんと見てなくて……」
天音さんがすまなそうにタイラー先生に謝る。
「大丈夫ですけど、今度からは気をつけなさい」
「はい、本当にすみませんでした」
今度こそ本当に天音さんは教室を出て行った。
タイラー先生は天音さんを見送り僕達に視線を向ける。
「藤根さん、お友達できたのね」
「いえ。……あ、はい」
藤根さん、即否定は悲しいよ。
でも、最終的に「はい」って言ったって事は今、この瞬間に友達に昇格したのかなっ?!
「よかったわ。いつも一人でいるから心配してたのよ」
「心配おかけしてすみません」
タイラー先生が僕達に目を向ける。
「あなた達は確か、B組の生徒ね?」
「はい」
「ああ」
「藤根さんと仲良くしてね。ただし仲良くの意味は……言わなくてもわかってるわね?」
「は、はいっ」
「はいはい」
「よろしい。さて、あなた達も用がないなら帰りなさいよ」
そう言ってタイラー先生は教室を出て行った。
「じゃあ俺も帰るわ。時宗、藤根、新しい情報が入ったら教えてくれよ」
そう言って白銀が教室出て行く。
「じゃあ、私達も帰りましょう」
「そうだね」
藤根さんは電車の定期を持ってるはずだけど、今日は僕に付き合って歩いてアパートへ帰ることにしたようだ。
「藤根さん」
「なんです?」
「僕達、友達になったんだよね?」
「……なんの話です?」
藤根さんは不思議そうな顔をする。
「いや、さっきタイラー先生の前で“友達”だって言ったじゃないか」
「あそこで『違います』なんて言えます?」
「まあ、言えないかな」
「そういうことです」
「そうなんだ」
ガッカリだよ。
「でも安心してください。今回のことで白銀君は“同じ学校の生徒”から“知り合い”に昇格しました」
「そう」
いや、それ、何も安心出来ないよ。
ライバルになる可能性が高くなったんじゃないの?
「どうしたんです?」
「なんでもないよ」
「そうです?」
「うん。ところでさ、あの二人のどちらかが犯人だと思ってる?」
「まだわかりません。能力のこと、知らないフリをしてる可能性もあります」
「それはないと思うけどなぁ」
「もしそうなら消去法で犯人は時宗君です」
「だからなんでそうなるんだよ!」
藤根さんはどうしても僕らから犯人を出したいようだ。