シガ
「ミスト頑張ってきてね」
「ああ」
いつもミストは冷たいと言うか冷静だね。
まあ負けるような相手でもないだろうし、白熱する場面でもないからこれが普通か。
相手は…竜人だね。
それに武器は大斧?両手斧?って言うのかな。
まあとにかく大きな斧を両手で持っている。
初めて見るタイプだね。
属性は地属性かな?
いや本当イメージと偏見で決めつけてるだけだけど。
「お前氷使いなんだってな。俺の炎で溶かしてやるよ」
わお、ミストに喧嘩売ったよ。あの人。
それに火属性なのか。
不正解だったね。
「…」
「おい!無視するな!」
ミストは無視し続ける。
まあ相手にする必要もないしね。
「では試合開始!」
先に動き出したのはミストだ。
剣を持っている方とは逆の手を掲げる。
「咲き乱れろ氷華ッ!」
ミストも新しい魔法を使うのか。
セレナときもそうだったけど知らなかったな…
ミストの氷華という魔法が発動。
言葉通り氷の華がミストの掲げた手の上に咲く。
華なのか氷の結晶なのか。わからない。
ただ僕を含め会場の人たちの目には美しい華に見えた。
花びらが宙を舞う。
その花びらは瞬く間に鋭い剣のような形に変わる。
相手めがけて飛んでいく。
速度は氷刃ほどではないかもしれない。
「くっそ!炎斧ッ!」
相手は斧にエンチャントして対抗しようとする。
エンチャントされた斧を振るう。
半月状に炎のが飛ぶ。
飛ぶと言っても遠距離攻撃にはならない。
少しばかり伸びた程度だ。
「な、なに!」
氷は溶けない。
それもそう。凍竜になるとも言われている男の氷が炎程度で溶けるわけがない。
相手は斧の腹を盾のようにして防ぐ。
氷華はミストの詠唱の通り咲き乱れている。
氷刃は4本の剣だが、氷華は既にその倍は超えている。
斧使いは防ぐので手一杯。
その間もミストは距離を詰める。
計12枚の花びらが出て、ミストは手を下げる。
どうやらもう華は枯れたようだ。
しかしミストが距離を詰めるのには十分。
目の前にミストは迫ってきている。
だが速度の遅い花びらはまだ斧使いを攻撃している。
「氷刃…」
最後の一枚が攻撃するのと同時にミストは氷の剣を展開。
直後最後の花びらが斧と当たり砕けた。
雪のようなものが舞う。
雪が消え、斧使いの視界が開けた時には、首元に全方向から五つの刃が当てられている。
つまり氷刃とミストの持つ剣だ。
「お前の炎でなんだっけか?」
口角を上げながらミストは相手に問う。
「し、勝者ミスト!チームDPSの勝利」
.
.
.
「最初の挑発頭にきてたんだ。気にしてないかと思った」
「あ?なんのことだ」
いやいや最後に煽り返してたでしょ絶対。
気にしてたってことだよね。
「ま、まあとりあえずおめでとう。順調に勝ててるね」
「まあ負けるわけねえけどな」
「それでも良いことだよ」
そんな会話をしているとセレナが…
「あれでよかったの?ミスト」
「どういうことだ」
「いやミストは元から稀代の名剣って期待されてるし、あのくらいの圧勝じゃ意味ないんじゃないかなって」
まあそう言われるとそんな気もしてくる。
「いやあれで十分だ。手の内を全て見せる必要もないしな。それに公の場で人と競うのは初めてだ。
ひとまず期待通りの人物だったって思わせれば良い」
「そう、それならいいんだけどね」
ま、まあこの後も試合あるしこれで良いんじゃないかな。
それにしても二人とも隠してた技あったなんて。
僕には無いよ…
何か何かないかな。
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