一閃
「では二戦目の方前へどうぞ」
そう言われたので前に出る。
僕らのチームは二番手が僕と決めているからね。
ミストの出番がないじゃんと思わないこともないけど、ミストがそういうんだか良いんだろう。
それよりも目の前の相手。この子との試合が大事だ。
ミストは「圧倒的強さ」って言っていた。
僕が出せる圧倒的な強さは、竜纏による武器、身体へのエンチャント。
シュガールの雷を武器に纏わせる紫電。
それに何よりも最大の強みである雷速。
全力を出せってことだろうし重ねて使うべきだろう。
紫電以外は燃費が悪いから長時間使えない。
まあでも今回に限っては僕の情報がない相手に対して行う。
つまりほぼ確定で相手は初見。なら避けられまい。
一撃で決める。最大火力を持って。
今回に限っては燃費が悪いと言うデメリットを気にする必要はない。
まあこれもしかしたら相当失礼な戦い方なのかもだけどね。
相手は片手剣の竜人の女の子だ。
余計心が痛い。
そんなこと気にしていたらどうしようもないんだけどね。
つまりやることは変わらない。
「では始め!」
「竜纏、紫電」
開始早々僕は付与魔法を使った。
予定通りの作戦を進めるためだ。
「な、なにその色!?」
やはり珍しいらしい。
と言うかそんな反応している余裕あるのか?
まあ知ったことじゃないけど。
「雷速ッ」
やばい、気合入れ過ぎたかも。
シュガールに寄せ過ぎたせいか体がいつもと違って少し痛い。
まあでもすぐに終わる。気にするな。うん。気にするな。
別に慢心しているわけではないから、真っすぐ相手に向かって使わない。
相手の子は右利きだった。
僕から見て相手の右側、本人からしたら左側に出る。
利き手じゃない方に回れば反応される確率を極限まで下げれるだろうと思ってね。
そこに移動してもある程度は距離がまだある。
雷速の加速を活かした攻撃をしたいし、何よりこれ曲がれないんだよね。
いやできないことはないんだろうけど、体が壊れる。
うん、相手の左手側に回ってもまだ相手は反応できていない。
なら予定通り。
ドンッ!と鈍い音がした。
まあそれもそう。僕は自分が出せる全力で切るのではなく、剣の腹で相手の体を吹っ飛ばしたのだから。
普通なら多分これで意識を無くすはず。
静寂。
相手は吹き飛ばされ、地面を転がりそのまま倒れている。
僕は攻撃した位置から動いていない。
うん、見た感じさっきの一撃で終わらせられたね。
初見殺しの技。知らない相手にこそ通用するし、何より燃費が悪い。
正直実戦では使えない。何人相手にするのかわからないのに、いざという時に燃料切れを起こしそうな技を頻繁に使えないからね。
今日みたいにもうこの後試合がない。こいつを倒せば終わりって風にわかっている時じゃないとね。
それにアルネの人たち、それこそセレナが名前を挙げた人たちには通用しないだろう。
現にセレナとミストはこれだ仕留められない。
それよりいつまでも勝利宣言がされない。
「審判...」
「しょ、勝者レオン!よってチームDPSの勝利!」
恐らく、いや確実に大会で最も早く終わった試合だろう。
一分もかかっていないんじゃないかこれ?
うん、まあ勝利宣言もされたことだし、ミストとセレナのとこに戻ろう。
少し会場がざわついている気もするけど気にしないことにする。
.
.
.
「ミストこれで良かった?」
「ああ、完璧だ。これで無名だったお前も一気に有名になる。
何せこんなことする奴は今までにいなかっただろうしな」
「まあそうだろうね。客観的に見たら、何と言うか酷いと言うか...
まあ不正をしているわけでもないし問題ないけどね。他人がやっていたら性格を疑うよ」
「まあだろうな。でもそれで問題ない。変に近づく奴がいない方がいいしな」
「そうだね。それよりこの調子で行けたらミストの出番無くない?いいの?」
先に二戦勝利したチームが勝ちと言うルール上、セレナと僕がこの調子で勝っていたらミストの出番はない。僕だけじゃなくミストも目立つ必要があると思うんだけど。
「うーん、まあできるなら俺も目立っていた方がいいな。セレナ次の一回戦目俺が出ていいか?」
「うん、私は全然構わないよ。めちゃくちゃ戦いたい!ってわけでもないしね」
「そうか、ならそういうことで頼む」
うん、みすとが僕を目立たせた理由を考えるとこれが妥当でしょ。
いや稀代の名剣と呼ばれているミストには不要だったのかな?
まあ順番を変えるで話が進むんだしそれでいいんだけどさ。
セレナは純粋に戦いを楽しんでそうだし、二回戦目をローテーションすればいいんじゃないかこれ?
「ねえミスト。別に交代するの僕でもいいんじゃない?」
「なんだ参加したくねえのか?」
「いやそうじゃなくてセレナは純粋に戦いを楽しんでいるんじゃないかなっと思ってさ」
「ありがとねレオン。でも気にしなくて平気だよ。ミストとレオンの方が強いし、戦っていて楽しいからね。わざわざ大会にこだわる必要もないから」
「なるほど...」
セレナもこういう時はっきり言うんだ。
いやまあこの三人で組んでいるわけだし、何よりミストとセレナは前から知り合いだろうしね。
あー、つまり仲良し三人組の僕らなんだから、なんやかんや考え方とか性格の根幹の部分は近いよねって話。セレナは真面目って印象があってけどね。
あ、いや真面目なのは間違いないな。
「この後はどうするのミスト?」
「解散でいいんじゃないか?俺は観戦に興味ないからな。レオンはどうする?」
「僕は帰って休むよ。飛ばし過ぎたからさ」
うん、流石にやり過ぎたよね。そもそも体が耐えられるスピードで留めていたの無理やり出したしね。いや楽しくなっちゃってさ。燃費が悪いのもあって疲れた。
かなり眠い。
「じゃあ解散にしようか。私は最後の試合観戦して帰るから先に帰っていていいよ」
「言われなくても。じゃあな」
「おつかれセレナ。また明日ね」
疲れていた僕と興味のないミストは一足先に寮に帰った。
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