非情と強さと弱さ
僕は気分転換に街に出た。
そう言えば起きた時には既にミストはいなかった。
またギルドに行っているのかな。
この世界の僕と同年齢の子の懐事情が分からない。
国によりけりなんだろうけどね。
この国は豊かだと思うし、この国が平均よりも下ってくらい文明が発展している世界には思えない。
そう考えると貴族とか爵位のある人間以外はある程度のお金しかないのかな?
そう考えると学院に通っているような子なら、自分で小遣い稼ぎをした方が早いかもしれない。
まあミストは有名な騎士を輩出している家系って言っていたし、金銭的に問題があるからギルドに行っているとは思えないけどね。
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そんなこんな考えながら歩いていたら、もう太陽が真上に来そうな感じだ。
起きたのと動き始めたのが遅かったから気づいたらもうお昼時。
どこか適当に入って食事でもしようかなと思いつつ歩いている。
流石に大通りのレストランみたいなところに一人では入りずらい。
うん、いくら顔見知りがほぼいないからって流石にね。厳しい。
そんなこんなで選びながら歩いていたら、レストランなどの食事処が減ってきた。
今のところがちょうどレストラン通りだったのかな。
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しばらく歩くと喫茶店のようなものが見えた。
「ここにするか…」
こういう感じのお店なら一人でも入りやすいしね。
「いらっしゃいませ、空いてる席お好きにどうぞ。」
カウンターにいる…こういう場合マスターでいいのかな?まあその人が促してくれたから、奥の壁際の席に座る。
なんかいいよね壁際って。まあ多分僕が協調性がないからだろうけど。自分ではそう思っている。
適当にサンドウィッチとコーヒーでいいかな。
そう思って声を掛けようとした時、見覚えがある人が入ってきた。
「やっぱレオンだったね。相席いい?」
「うん、もちろん」
セレナだった。レストラン通りから外れているのに珍しいこともあったもんだ。
「奇遇だね。セレナもお昼?」
「あー、言いにくいんだけどさ...」
「ん?どうしたの?」
「いや暗い顔して街歩いてるレオンを見かけたからあとつけてきたんだ...ごめん」
「え!?そうなの?全然大丈夫だよ」
周りから見てわかるくらい暗い顔してたのか僕。
セレナも頼むものが決まったらしく、声を掛け頼んだ。
セレナも似たようなメニューに紅茶のセットだった。
うん、なんだかイメージ通り。普段はお嬢様って感じだしね。
「それでさレオン、なんかあったの?」
「え。ああ、情けない話なんだけどさ、聞いてくれる?」
そうして昨日あったことを話した。
「うーん、確かに戦うことを目指して学院に通っている身としては致命的かもね。
殺さずに戦い続けるって言うのはほぼ不可能だろうしね。それでもその心意気は大切だと思うよ?国を守るために戦う騎士だって相手を殺したときは、もちろん差はあれどどこか引っかかる部分はあると思う。でもその気持ちがあるから守る騎士になれるんじゃないかな?」
うん、やっぱりセレナもミストと同じように優しいな。
気遣ってくれているし、それにこの二人がこういってくれると間違っていないと思えてくる。
事実だろうしね。でも...
「それでも魔物の剥ぎ取りができないのはギルドの依頼をこなすのには致命的過ぎるよね。
正直それができないと依頼をこなせないし...まあそれなら別にやらなくてもいいと思うけどね。
お金が欲しいなら他にも稼ぐ方法はあるし。」
「そうだよね。ありがと。少し気が楽になったよ」
「いえいえ、どういたしまして」
でもこの話を聞いても、多少慣れなきゃなって思う自分が強いよ。
これが相手がいざ人ってなった時、咄嗟に動けなくて僕が死ぬかもしれない。
うん、そういう気持ちを大切にするのと迷っているのは違うよね。
迷わないように、気持ちに折り合いをつけなきゃ。
この気持ちが弱さだと思わないけど。
でも誰かと対峙した時に、この迷いが弱みには、弱点にはなる。
そうはならないようにしていかないと。
「うん。セレナ本当にありがと。考えがまとまったよ。
明日からは気持ち切り替えて大会に向けて一先ず頑張るよ」
「うん、そうしよ。とりあえず目先のことを楽しむ!それからでも遅くないよ!」
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その後は特に何事もなく解散した。
僕は帰路につきながら、大会に向けて気持ちを切り替えようとしていた。
そうは言ってもやっぱりすぐには切り替えられない。
帰ってお昼寝でもしようかな。
寝たらまた変わるでしょ。
そうして僕は寮に戻って、お昼寝したよ。
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「おい、少年」
「え?シュガール?ってことは夢の中か」
「夢ってか意識の中だがまあだいたい変わらんな」
最近はシュガールに会うことも多い気がする。
まあ学院に入って変化も多いから、それに伴って変化している僕を気にかけてくれてるんだろう。
「殺すこと悩んでるのか?」
「まあ昨日のが軽くトラウマっていうかね...」
「まあ最初だ。最初は皆そんなもんだ。最初から迷いなく殺せるのならそれは悲しい才能だ。
そう考えると少年はある意味恵まれている。命を慈しむ心を持っているんだからな」
「それでもこの世界ではそれは弱さになるんじゃないの?」
僕は強さにこだわり過ぎなのだろうか。
「確かに弱さかもしれない。それにわしら王たちは少年に世界を救って欲しいねんてたいそうな願いを伝えたしな。そのためにはもちろん強さは必要だ。
だが強くなるのと非情になるのは別だ。確かに非情な選択をしなければならない場面も多いかもしれない。でもそんな中その弱さを持っているってことが人間であるためには重要なんじゃないか?」
そうだよね。その心が無くなったら殺人鬼、文字通りただの鬼だよ。
「まあそれでも気になるってんならよお、殺さずに相手を抑えられるぐらいの絶対的な強さを少年が持っていればいいんじゃないか?」
!!
「シュガール!それだ!僕が目指すものは!」
「お、おう。見つかったならいいさ。」
「うん、ありがとう」
うん、これしかない。そうすれば...
「少年、最後にアドバイスだ。強くなるためのな」
「うん、なに?」
「面白いことを教えてやる。脳が体を動かすために使う信号は電気だ。つまり雷。
まあどう活かすかは少年次第よ。じゃあな」
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うん、これは中々面白いかもしれない。
体がどんなに速くても考える速度、それを伝える速度はどうしようもなかった。
だから活かしきれていないし、限界があった。
でももし、シュガールが言っていたことが上手くできたら、一つ上の次元に行ける。
うん、当分の目標はこれだな。強くなるために。
なんか熱中して書いていたらいつもよりもかなり長くなりました。
長いがゆえに読みにくいかもしれません。もしそうだったらすみません。
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