暴風の過去
「ねえセレナ、なんでミストとえー」
「ロウ?なんであんなに仲が悪いのかって?」
「うん。なんでなのかなって」
いや仲悪すぎだよね。
「うーんとね、昔は仲が良かったんだよ」
「そうなの?」
あれで昔は仲が良かったのか。
「うん、ミストのリベラ家は騎士輩出の名家。そしてロウのメルド家か嵐竜の家なんだよ」
「嵐竜の家?強い風属性の使い手が嵐竜になるんじゃないの?」
五天竜はその属性の強い人がなるって聞いていたけど。
「うん基本はね。でも風、嵐竜だけ違うんだよ」
なるほど。
「嵐竜になるのは強い風の契約者を持っているものではなく、ククルカンを契約者にしている者のことを言うんだよ。そしてククルカンはメルド家の契約者なんだよ」
「メルド家の?」
「うん、ククルカンはメルド家と血の契約つまりメルド家の血筋と契約をしていてね。そのおかげでメルド家の当主、つまり嵐竜と嵐竜率いる特別遊撃部隊テンペスタは絶大な加護を受けている。テンペスタは公国の武の象徴ともいえる部隊だね。」
「そんな特殊な契約方法があるんだ。でもなんでそれが関係あるの?」
「話の続きがあってね。その強力な契約には代償があるんだよ」
「代償?」
デメリットがある契約なんてあるのか。
「その代償は生贄を捧げること。その贄が今回はロウなの」
「え、ってことは...」
もう死ぬことが決まっているってこと?そんな...
「なんでロウなのさ」
「それは嵐竜の代替わりに関係があるんだけどね。嵐竜は代替わりの時に二人メルド家から候補が選出されるの。選出されるのはその時家で最強格の二人。つまりはメルド家で最強を決めて、最強が継承。敗者が贄になるの」
それって。
「うん、今回の敗者はロウ。勝者が兄で現代の嵐竜キースなの。
それが決まってからかな、ロウがあんなにだらけたのは。ロウはキースが相手でなければ嵐竜になるって言われていたくらい実力者だったんだよ。それもあって凍竜になるって言われていた同年代のミストと良きライバルとして二人は切磋琢磨していて仲が良かったんだよ。
それもあってだらけたロウが許せなかったんだろうね。」
「そうなんだ...」
なんだろうな、二人の気持ちはわかるな。どちらの気持ちもね。
「そのすごく聞きにくいことなんだけどさ、ロウはいつまでなの?」
「そこらへんはわからないんだ。多分当人にしかわからない。
契約に関しては今話したこと以外はメルド家以外は知らないんだよ」
「まあ二人が仲悪いのは二人の問題だしね。気にしてもしかたないよね。
さあ二人の試合見ようか」
「じゃあ二人とも準備はいい?ルールはさっきと同じね。じゃあスタート」
「いくよーミスティ!!」
ロウはそういいながら武器を構えた。
「両手剣か。てっきり風を使うから軽い武器なのかと...」
「まあだからこそって感じだけどね」
え?どういうこと?
「だからそう呼ぶなって何度言ったらわかるッ!」
そうとうキレてないかミスト。
「まあまあ楽しもうよ。ベントォォォオ」
そういってロウは風を起こして、その風に乗るように大剣を振りかざそうと距離を詰める。
「ッち。氷壁」
ミストを覆うように四枚の氷の壁ができた。
「そんなんで防げると思ってんの?」
ロウは勢いを更に増して、宙に浮いた。
「いくよー、ベント・スパーダッ」
すると、大剣に徐々に風が集まり、大剣の周りを渦を巻くようにしている。
パリンッ。パリン。とガラスでも割るようにして氷の壁を割っていく。
「あれが大剣を使う理由だよ。風の速さを活かして、大剣の弱みをカバーしつつ、強みである重さとパワーを風で飛んだり、纏わせることで更に強くする。風属性は本来速さや空を飛ぶなどのトリッキーな動きで翻弄して戦うのに対して、ロウは大剣を使ったパワープレイ。
それ故に暴風と呼ばれているの」
そうこうしてセレナの解説を聞いていたら、最後の障壁も割られた。
しかし...
「氷槍」
ミストはその気を逃さず、氷の槍を四つ構えて待っていた。
「やれ」
掛け声と共にロウ目掛けて飛んで行った。
「まじ?」
そういいつつもロウはしっかりと大剣を盾代わりにして防いだ。
「あーやれると思ったんだけどな。降参降参」
「おい、逃げんのか?」
「そうそう。逃げるの」
途端、ロウのやる気が無くなったのか降参した。
ミストは怒っているように見える。
「せんせー?降参したんだけど俺」
「あ。し、勝者ミスト!」
フィーも戸惑っているようだった。
「やっぱミスティーには勝てないな」
「本気も出していないくせにふざけたことを言うな」
「そんなことないよ。これが今の実力」
「なら期待外れだ」
そういって二人は離れていった。
その時のロウの顔は少し寂しそうに見えた。
ロウについて触れました。
彼は問題児だけど悪い人ではない!というより彼にも信念はあります!
今後上手く書けたらなと思います。
評価、ブクマ等々よろしくお願いします。




