Secret Garden -密やかなる庭園で-
まるで便箋に書かれた罫線のように
花々が整然と咲き誇る花畑
その中をひらひらと蝶たちが舞う
白 黄色 黒、まだら
小さな二つ折りの「恋文」たちは
咲き誇る花から花へと飛び歩き
秘められた想いを囁いていく
赤いチューリップはヴェールを閉ざし
黄色い菜の花はかしましく
白いマーガレットは朗らかに
恋文たちを出迎えた
昼下がりの日差しはただあたたかく
円舞曲のステップを刻むような蝶たちの舞踏を
舞台照明として照らし出す
観劇する者はいない
万雷の拍手もない
それでもこの小さな恋愛劇は
秘めやかに営まれ進んでいくのだ