第八十六話 鬼才二人
ミュリエラが入り口までの道を開けてくれたおかげで大聖堂の中に入った一同だが大聖堂は広く、肝心の神造兵装の在処が分からないため手分けして探すことになる。そして相談の上エルハルトと騎士達、クラヴィスとミリュー、そしてヴァイドとグリフィス、レイナの三手に分かれることとなった。
「神造兵装はかなりのサイズがあるため隠せる場所は限られるはずです。計算上は可能性があるのは3か所、私とヴァイドさんはそれらを当たります」
「頼む、私達はリファとフェリクスを探すことに専念させて貰う」
「宜しくお願いします」
※※※※
別れてから15分程でヴァイド達は最初の地点に辿り着いたが、そこはただの倉庫であった。急いで次の地点へと向かうことにしたが、その地点に着く直前で10人程の男たちに囲まれてしまう。殆どは信者だがその内の二人は明らかに纏っている雰囲気が違い、堅気の人間ではないとすぐにわかった。
「あらら、これはまずいね……相手の数が多い」
「ヴァイド様、グリフィス様、例の作戦でいきましょう」
「了解しました。『F作戦』ですね!」
レイナが頷くとヴァイドが何かを懐から取り出し、レイナとグリフィスが目と耳を塞ぐ。そしてヴァイドが徐に男たちの目の前に閃光爆裂手榴弾を投げつけ、爆裂させる。
カッ!……バァアアアン!!
「ぐあああっ!」
「ぎゃあっ」
「なっ……なんだ、耳がやられて……眩暈が……ぐっ!」
「こいつら、目晦ましの上に、耳まで潰しやがったのか……がはっ!」
閃光と共に爆音が鳴り響き、瞬時に対応できなかった信者ら全員が昏倒する。そして残る二人も咄嗟に目は塞いだものの爆音による衝撃でふらつきが残っており、本来の戦闘力が発揮できるわけもなく一人はレイナに心臓を一突きにされ、もう一人はグリフィスに切り捨てられた。
「グリフィス様、剣もお上手だったんですね」
「さすがに研究ばかりしていればいいというわけにもいかないんですよ、王子としてはね。さぁ行きましょう」
そうしてようやく2か所目の地点へ辿り着いた時、周囲に明らかに異常な空気が漂っており『当たり』だと全員が悟った。そこは大きな尖塔となっており、中に入ってみるとゴウンゴウンという異音を放ち続ける奇妙な物体が安置されていた。
高さ6m程の円柱があり、そしてその天井の中央には直径3m程の白い玉が30cm程の高さに浮いており、それを取り囲むように真っ白い金属製の角ばった爪が15本程等間隔で並べられている。そして爪の先端同士の間にスパークが時々発生している。間違いなくこれが『アッティラの剣』だろう。
「こ、これが神造兵装……」
「パッと見ただけでとんでもない兵器なのが伝わってきますね……」
「まずは破壊できるかを試しましょう。二人とも下がっていてください」
ヴァイドが二人を遠ざけた上でアッティラの剣の中央に爆裂手榴弾を3つ纏めて投げつけ、爆発させる。
ドドドォオオオン!!
轟音と共に煙が立ち込める。暫くして煙が消えた後……何事もなかったかのように佇むアッティラの剣がそこにはあった。
「そ、そんな……」
「全くの無傷とは……驚いたね」
「神造兵装は現代では手に入らない特殊な金属で作られていると聞きます。生半可な攻撃では傷一つつけることは叶わないかもしれませんね」
「そうなると、僕たちがすべきことは破壊ではなく、無効化ですね」
「ええ、グランマミエきっての天才が二人揃ったんです。神造兵装とはいえ所詮は魔道具、その一つや二つ止めてみせようじゃありませんか!」
「頼もしいです、お二人共!私は余計な邪魔が入らないように周囲を監視しておきますね」
そうしてレイナが周囲に目を光らせる中、鬼才二人が操作盤を前に神が作りし魔道具に真っ向勝負を挑み始めるのだった。




