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第八十三話 神造兵装


 フェリクスに連れられて随分と歩かされた後、地下にある大きな扉をくぐるとそこは広い空間になっていた。広間の地面には大きな魔法陣が描かれており、その中央に祭壇のようなものが置かれている。


「ここはなんですか?そして私に何をさせようというのですか」


「そう焦らずに、すぐにわかりますよ。まずはこの祭壇の前に立ってください」


 薄笑いを続けるフェリクスにどうしようもない不快感を感じるが、言われるがままに祭壇の前に立つと両隣に立っていた男たちに両腕を捕まれ手錠を掛けられる。そして手錠から繋がれた鎖は祭壇に置かれた直径30cm位の大きな宝珠に繋がっているようだ。


「……っ!?別に手錠なんてかけなくても私は逃げません」


「いやいや、それはあなたが逃げないようにするための物ではありませんよ」


「……どういうことですか?」


「私たち天神教にとってあなた方神人は非常に重要な存在なのですよ。一言で言えば兵器の一部なのです」


「兵器?神人が、ですか」


「ええ。神人が地上を支配していた頃に作られた兵器は(ディヴァイン)(インヴェント)兵装(アーマメント)と呼ばれ、強大な広範囲破壊兵器として使われていたのです。現在でもその一部が残されており、そしてこの大聖堂にもその内の一つが安置されていました」


「え、でも……神人でなければ使えないのでは?そうでなければとっくの前に問題になっていたはずです」


「その通り、神造兵装は基本的に神力を動力源としているため神人がいない現在では普通は動かすことはできません。ですが、『神人の先祖がえり』からは少量ですが神力を引き出すことが可能なのです」


「先祖がえり?まさか……」


「神人自体はいなくても先祖がえりであれば国中を探せば数十人はいるとされています。私たちはその人達を集め、神力を提供して貰っているのですよ」


「その人達は……ここで働いているということですか?」


「いえいえ、神力を搾り取った時点で皆廃人になってしまいます。その後は研究機関の人体実験用に回していますよ」


「なっ!?……なんて酷い……そんなことが許されると思っているんですか!?」


「彼らが犠牲になることでこの国はより強固で強大なものとなるのです。故国の礎になれることをむしろ誇りに思ってほしいくらいですね」


「なんて人なの……!」


「それに他人事だと思っていませんか?これからあなたにも神力を提供して貰うことになるのですが」


 そう言ってフェリクスが宝珠の横にある赤いボタンを押し込む。すると、珠が点滅し出し、鎖から手錠へと黒いもやが広がっていき、やがてリファの体へと到達する。


「あっ……うあ、あ、あああああああああーーーーーー!!」


 もやが全身を包み込んだ途端、体中に電気が走り、体から力を無理やり引き剥がされる感覚を覚えると同時に耐えがたい苦痛に襲われる。


「あああ、あう、うあ、ああああああああああ!!」


 あまりの苦痛に立っていることすらできず蹲り、やがて横向きに倒れこんでしまう。


「おお、これは凄い。さすが本物の神人、先祖がえりなどとは神力の吸収効率が段違いだ。これなら一日もあればタンクを満たすことが可能になるでしょう」


 苦しみもだえるリファに目もくれず、目盛を上げ続ける燃料計を眺めて愉しそうにくつくつと笑いだすフェリクス。


「あ、あうう、うあああ、タ、タン、ク……?」


「ええ。これから私たちが起こすことにはとある神造兵装が必要になるのですが、それを起動するためにその動力タンクを一度満たさなければいけないのです。5年かけても半分も満たせなかったものがあなたのおかげで明日にでも満たせそうですよ!本当にあなたには感謝しかありません!」


「あ、あう、そ、そんな、ものを使って、ふうう、く、い、一体何を……」


「気になりますか?ではいずれ死にゆくあなたには教えてあげましょう。『クーデター』ですよ」


「……っ!?そ、そんな、あ、あううう、うっく、ああああああーーー!!」


「一気に搾り取ってしまっては逆に総量が減ってしまいかねませんからね。二日ほどかけてじっくりと神力を提供して貰います。それではまた後程会いましょう」


 絶え間なく襲う苦痛に声を上げ続けるリファを残し、フェリクス達は部屋を後にした。

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