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第四十五話 パーティーへの招待


 マールドンの断罪やら王子王女やらの絡みやら色々とあったけど、今日で臨時講師としての講義は全て終わった。どう考えても場違い感半端ないけれど、大きな問題もなく無事終えられたと思う。


「リファ様、最後の講義も無事終わりましたね!3週間お疲れ様でした!」


「ん、リファは凄い。よく頑張った。私の誇り」


「ありがとう二人共!もうなんかちょこちょこ頭が真っ白になって何言ったのか自分でも覚えてないよ」


 控室に戻るとレイナとミリューが労いの声をかけてくれる。ようやく終わった解放感から思わずミリューを抱きしめて頬ずりしてしまう。あったかくて柔らかくて耳がフワフワでほんと可愛い。ギューッ。


「ん!」


「あー……またミリューを甘やかして。ミリューばかりずるいです……」


 ちょっと強く抱き締めすぎたので力を緩める。またレイナが何かボソボソ言ってるけど小声でよく聞こえない。拗ねてるみたいだからレイナの頭も撫でてあげると嬉しそうにニヘっと笑ってるから機嫌治ったかな。


「しかしここのところリファ君の進化が止まらないね。ポーションの改善案やら新薬、吸入麻酔薬の開発は勿論だけど、あの識別救急?だっけ。あんな知識誰に聞いたの?」


 ヴァイドが優雅に紅茶を立ち飲みしながら聞いてくる。


「あー、あれはですね……あの場では人に聞いたって説明したんですけど、多分何かの医学書で読んだんだと思います。どこでどんな本を読んだのかは覚えてないんですけど、そんな気がするんですよね」


「本か……僕も結構な読書家だけどあんな話は聞いたことないけどね。それに神人になってから急に閃くことが増えたみたいだし。もしかすると……もしかするかもしれないね、これは」


「……?もしかすると、なんですか?」


「いや、まだ確定したわけじゃないからもう暫く様子を見ようか。ただ、また新しいことを閃いたり何かを思い出した時は情報源はぼかしておいた方が良さそうだ。トラブルを避けるためにね」


「は、はい……わかりました?」


 ヴァイドにしては妙に口を濁してる感じだけど、こういう時は追及しても無駄なのでとりあえず頷いておく。


「兎に角これでリファ君の臨時講師としての務めは終了だ。お疲れ様。予想以上に色々大変そうだったな」


「ありがとうございます、クラヴィス様。皆さんがいつも一緒にいて下さったので安心して講義に集中できました」


「それはなにより。僕らも護衛に付いた甲斐があったってもんだ、ねえ兄上」


「ああ、そうだな。ただ、仕事を終えたばかりのリファ君に残念な報告をしなければいけない」


「え……まさか……」


「多分そのまさかだ……リファ君の慰労会を兼ねた王室主催のパーティーが三日後に開かれることになった」


「えーー!?ぱ、パーティーですか……それも王室主催とか……」


「申し訳ないが、基本的に王からの招待は強制に等しく、断ることは出来ないんだ。すまないが参加する方向で母上と一緒に準備を進めてほしい」


「ううっ……はい……わかりました……」


 パーティーなんて出たことすらないのにまたあの王族とも関わらなきゃいけないなんて最後にとんでもない爆弾が残ってたよ……。


「リファならだいじょうぶ、元気出す」


「ミリュー……ミリューも一緒に行こうね!」


「ん。リファと一緒」


「勿論私も一緒ですからね、リファ様!」


 いつも優しいミリューとレイナを撫でて癒してもらう。でも三日後とか急すぎる気がするけど準備間に合うのかな?後でミュリエラに聞いておかないと。




「まぁリファちゃん、もう準備はほとんど終わってるから大丈夫よ」


 とか思っていたんだけど、帰宅してミュリエラにパーティーのことを聞いたらあっけらかんと即答された。


「今回の滞在で王室主催のパーティーに呼ばれることはほぼ間違いないと踏んでいたの。むしろそのパーティーにリファちゃんを呼ぶことが王の主目的といっても良いかもしれないわね。リファちゃんのサイズは既に把握していたしドレスも靴も用意済みよ。後は最後に試着してもらって細かい仕上げをするだけね。ちゃーんと装飾品も合わせて買ってあるから安心してね!」


「いつもありがとうございます。ミュリエラ様に選んで頂いたものなら何の心配もしていません」


 どうやらパーティーのことを知らないのは私だけでミュリエラ達は大分前から見越して動いてくれていたらしい。ほんとに頭上がらないなぁ。でもパーティーに呼ぶのが王の目的って何。そっちには不安しかないよ。


「ああもう、ほんとリファちゃん可愛い。見ていなさい、王都の貴族達。うちのリファちゃんが大陸一の美女だってことを知らしめて上げる!!」


「え、いやあの、大陸一とか恐れ多すぎるんですけど……ミュリエラ様の方がずっと綺麗ですし」


「うーん、リファちゃんはもう少し自己評価を高くした方がいいかもしれないわね。人によっては謙遜しすぎで嫌味に取られちゃうかも……」


 ミュリエラが溜息をついて注意してくれるけど、実際私自身はそこまでの見た目とは思ってない。割と顔は整ってる方だとは思うけど中身が残念すぎるしね。よく見ると他の人達も溜息ついてるけど何か心配事でもあるのかな。


「そうそう、パーティーでは独自のマナーが要求されるから勉強しないといけないし、当然ダンスを踊る必要もあるよ」


「えっ!?ダンスですか!?」


「そう、そのダンス。あと三日しかないからこれから猛特訓だね!」


 ヴァイドが片眼をつむり、右手の親指を立ててにこやかに言い切る。いや、ダンスなんて踊ったことないですから。


「大丈夫、兄上がみっちりマンツーマンで教えてくれるから。こう見えてもダンスの名手なんだよ、ねぇ兄上」


「え?あ……ああ。私でよければ教師役になろう。それでいいかリファ君」


「あ、は、はい。クラヴィス様が良ければお願いします。全くの初心者ですが……」


「誰でも最初は初心者だ。気にすることは無い」


 クラヴィス優しい!そんなことを思っていた時が私にもありました……この後三日間鬼コーチとなったクラヴィスのハードなレッスンが私をボロボロにしてくれましたよ……一切容赦なかったです。


 そんなこんなで三日間かけて準備を進め、いよいよパーティーの日になりました。パーティーに参加するにはエスコート役が必要だと言われたのでどうしようかと思ったけど、クラヴィスが申し出てくれた。ダンスのコーチでもあるし私もその方が気が楽なので是非お願いしますとニッコリ笑っておいた。その後クラヴィスがまた少し硬直してたけどどうしたんだろうか。





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