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第三十七話 ハミルトン家の独白3


※ヴァイド・ハミルトンの反省


 昨日は色々な意味で本当に忙しい一日だった。無事リファ君を救出できたことは何よりだけれど、下手したらレジェンディア侵攻時よりも皆大変だったんじゃないかな。

 リファ君の護衛を増やそうとしてはいたものの、彼女は様々な意味で秘密の塊のような存在だから肝心の人選が難航していた。その隙を見事に突かれてしまった形だ。更にあのどうしようもない放蕩貴族のケフィカをいいように利用されてしまった。これ以上ないタイミングで内通者を用意し、標的を迅速に攫い、更に異常なほど短時間で国境を越えるあの周到な手口は恐らく国か闇の組織、下手するとその両方が関わっている。そしてリファ君が受けた尋問の内容からしてBPだけでなく神人であることに関してもかなり高い確度で認識していると考えた方が良い。そうなると今後も間違いなく彼女を狙ってくるだろうから護衛の強化は必須になる。


 そんな時に救世主のごとく現れたのが獣人のミリュー君だ。突然ナタリーから彼女を紹介された時は一体何者かと思ったけど、よく聞いたらあのリファ君が瀕死に追い込まれた原因ともいえる存在だって話じゃないか。勿論リファ君自身は彼女に責を負わせるつもりなんて欠片もないだろうけど、本人はそう思ってしまってる。僕もそれを否定しようとは思わないが、逆に言えば彼女の存在があったからこそ今のリファ君があるとも言える。どちらにせよリファ君の護衛としての必須条件はリファ君を大切に思っていること、そしてリファ君の秘密を守れることだ。その上で戦闘力も十分に高いときたらもうミリュー君を引き入れる以外の選択肢はないよね。

 盲目的なまでにリファ君が好きみたいなのが少しだけ心配になるけど、リファ君の方も彼女を溺愛してるみたいだから多分大丈夫だろう。むしろレイナがミリュー君に焼き餅を焼かないかが心配かな……あの子もリファ君が大好きだからねぇ。そこはリファ君にうまく立ち回ってもらうとしよう。

 

 それにしてもリファ君は今のところ男に全く興味が無いようだ。そろそろ女性としての意識が強くなってくる頃のはずなのだけれど……。

 転変により性転換した場合は身体も意識もその性に馴染むまでに時間がかかると言われている。ナタリーの報告だとレジェンディア侵攻後に『大人の女性』の身体になったらしいから意識の方も今後女性らしいものに変わっていくことを期待したいところだ。


※レイナの羨望


 私はレイナ、リファ様専属の戦闘メイドです。私は今猛烈に悔しくてたまりません。何が悔しいって?リファ様の寵愛をあの!獣人の少女に!奪われたことがです!


 最初にリファ様にお会いした時、あまりの可憐さに言葉を失いました。綺麗な銀髪、吸い込まれそうな深い紫色の瞳、透き通るような白磁の肌、まるでお人形のように整ったお顔なのに同時に親しみやすさが両立しているのは奇跡そのものと言えるでしょう。

 転変前は男性だったそうなのでまだ時々女性らしくない言動が見られることもありますが、そこもまたあの方のチャームポイントだと思います。ただ一つ、御自分が異性にどう思われているのかに関してあまりにも無頓着な所が少しだけ心配になりますが……聡明な方ですのでいずれ気づかれることでしょう。

 

 あれだけの美しさを持ちながらも少しも驕ることなく、誰にでも優しく接するリファ様に私は忠誠を誓いました。それなのに、あの時私はあの方をお守りすることができませんでした。かつてないほど自分の浅はかさと無力さに絶望しましたが、ハミルトン家の方々が私にチャンスをくれたのです。再び相まみえたあのシドという男はやはり強敵でしたが、ヴァイド様に頂いた閃光手榴弾(フラッシュボム)で一矢報いることができて少しだけ溜飲が下げられた気がします。

 ただ、問題はその後でした。リファ様が無事だったのは良かったんです。勿論それがなにより大切なことです。ですが、あのミリューとかいう少女はですね。リファ様に抱きしめられ、一緒にお風呂に入り、更には添い寝までして貰ったんです!なんって羨ましい!私だってそんなことして貰ったことないのに!

 わかってるんです、あのミリューという少女がリファ様の『特別』であることは。でも私は諦めません。いつかミリューよりも強くなり、ミリューよりも可愛くなってリファ様の寵愛をこの手で勝ち取ってみせます!



第一章に当たる部分が終わったので暫くは午後6時に毎日1回更新していく予定です

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