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第十五話 神医の加護


 「神医の加護に関しては実はあまり詳しいことはわかっていないんだ。怪我や病気を触れることで癒せる、治療薬を手づから生み出せる、治療薬の効果をより引き出せる、等々色々なことができると言われているけどここ数百年はこの加護を扱える人が出ていないから伝聞の域を出ないんだよね。」と珍しく自信なさげにヴァイドが言う。


「だけどリファ君は元々薬師として働いていて知識も技術も十分にある。加護に直接関わりそうなスキルを持ち合わせている君ならばこの加護も扱える可能性が高いと僕は踏んでいるんだ」


 期待して貰うのは悪い気分ではないし、薬師としてのスキルがもし生かせるのであれば嬉しい限りだ。

というわけで、早速体力回復薬(緑ポーション)創傷治療薬(赤ポーション)精神力回復薬(紫ポーション)と代表的な治療薬を使って検証していくことにした。


 まず市販の三種類のポーションを16本ずつ用意(これをAとする)。そして研究室にある材料と器具を使って自分で以前と同じように16本ずつ作成(こちらはBとする)。更に同じ工程ながら混ぜ合わせる時と最後の調合の際に神力を籠めるように意識しながら16本ずつ作成した(これをSとする)。後は訓練で怪我が絶えずポーションを頻繁に使用する軍人12人を選抜し、4人にAとBを、別の4人にはAとSを、残りの4人にはBとSをそれぞれ6本(緑2本、赤2本、紫2本)ずつ渡し、使用感をレポートにまとめて提出して貰うこととした。


 勿論薬を渡す軍人は秘密保持のためクラヴィス直属の配下に限定し、最終的に特に信頼のおける者を選抜して貰った。ちなみに神力を籠めて薬を作る場合それほど疲れはしないが、さすがに48本も作ると疲労困憊になり最後の1本を作り終えた後倒れこむように眠ってしまった。神力を使い果たすとどうなるのかを身を以て知ることになったが安全な状況で確認できたので良しとしよう。突然糸が切れるように倒れこんだ僕を見て結構な騒ぎになったらしく、後でヴァイドに笑われ、クラヴィスやナタリーには呆れ半分、心配半分な感じで無理しないようにとのお説教を受けたけど。


 この検証はさすがに時間がかかったが、結論から言えば市販のものと通常通りに作成したポーションは当然効果に差は無かった。そして神力を籠めたポーションについては他のポーションと比して明らかに効果が高く、定量的に評価できるものではないが非常に評判が良かったそうだ。「半端なく効いた」「以前使ってたポーションはこれを何倍にも薄めたものだったのか?」「ありえん勢いで傷が跡形も無く治っちまった」等々……案の定被験者の中で大騒ぎになっていたらしく騒ぎを収めるのにクラヴィスが苦労したそうな。

 ポーションには低級、中級、上級、特級と4種類あるが今回作成したのは中級になる。上級以上は必要になる材料が高価になるため数を揃えるのが難しかったからだ。軍人さん達の使用感を総合すると、どうやら神力を籠めると1段階効果の高いポーションとほぼ同じくらいの効果になるようだ。


 調剤後寝入ってしまうというアクシデントはあったものの、神医の加護は無事授けられているようなので薬師としても嬉しかった。そして天上の楽師については元々特別な音楽関連の技術も持ち合わせていないため、検証は暫く見送ることになった。

 

 これで一通りの神人としての能力評価は終わった形になるが、「神医の加護が凄すぎる!これは革命だ!!」とヴァイドが大喜びしていたのでまだ暫くは振り回されることになりそうだ……。

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