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4 鬱と騒

後れ馳せながらアルカです。

前の続き、第4話にてようやくヒロイン登場です。我ながら遅すぎやしませんかね?


ヒロイン、要人の設定は、私の境遇をネタに使っています。とは言え、要人ほどヒドくはありませんが、とは言え、要人と同じファッキンファミリーですね。まあ、それはドーデモいいか

ごゆるりどうぞー

「ただいまー!はぁ、きついばい…真っ昼間から夕方までみっちり歌練習なんて…およ?何しよーん、要人(かなめ)

頭を叩き割られる寸前に明るい声が聞こえた。またこのパターンか…どうせまたロクでもない女の子だろう、そう思い振り向いたが…案の定的中していた。俺は思わずよく分からないため息をついた。


女の子は巳和子さんに抱き抱えられていた。よく見ると足に手術の跡があった。どうやら何かしらの原因で歩けなくなったのだろう。真っ白な肌に青みがかった黒髪、目もラピスラズリのような蒼を湛えていたが、その周囲──白目の部分が黒く染まっていた。要人とは真逆と言っていい程の性格も相まって、双子か何かだとも思える。要人は小さく舌打ちすると、棒を隅に立て掛け、静かに湯船に浸かった。相変わらずオレに殺意の視線を向けながら、だが…

「ゴメンね、要人は元々あげんえずう(あんなにこわく)なかったんよ。わちきも気付いちゃればよかったとに…あ、忘れとった。わちきは閃乱鬼憑(せみだれおにづき)、現役アイドルばいっ!」


ピンとこない。現役のアイドル?そう言えば、最近グングン人気が上がっている高校生アイドルがいると、友達からは聞いてはいるが…もしかして、それか?

「何じゃ、知らんのかぇ?若者の間では知らぬ者は居らぬと聞いておったのじゃが…」

「いえ、俺は初耳です」

「嘘ぉ!ヒッキーなの?」

「ヒッキーって何だよ、って…待てよ?」

「どげんしたと?」

面と向かって話していたから気が付いたが、口が動いていない。テレパシーで会話しているのか?それにしては、周りに聞こえすぎやしてないか?


「…それが鬼憑の技術(スキル)だ」

後ろから冷たく静かな声がした。振り向くと、要人が小さく唇を震わせた。

「こいつに声帯は無い。その代わりの思念通話(テレパシー)だ…そして、それはまるで会話のように周囲に響かせる事も出来、対象にしか届かないようにも出来る」

「つまり、普通の会話と大差ない?」

「そんとーりっ!歌だって歌えるし、モニター越しでん、電脳(モニター)ん固有能力でちゃんと伝わるっちゃん!」

この二人の温度差で風邪でもひいたか、思いっきりくしゃみが出た。巳和子さんが俺の異変にいち早く気が付くと

「おやおや、少し冷えたかぇ?これはいかん、湯冷めしては風邪をひく。確かに少し肌寒くなってきておる故、毛布を用意しておいておこう」

過保護レベルで色々世話をしてくれる巳和子さんを見ると、俺の警戒心はどこかに飛んでいってしまった。俺はこの後きっちり逆上せたが。


頭に冷たい感触がした。目が覚めると、俺は自分の部屋にいた。横には甲天とグーテ、それから後ろから俺に抱き付いている…要人?

「うわぁ!殺さないでくれぇ!」

咄嗟に飛び退いたが、途端に視界がねじ曲がった。急に動いたせいで貧血でもおこしたのだろう。すぐ甲天がカバーしてくれた。

「安静 シテイロ。要人 お前 敵 違ウ 言ッテアル」

安心したと同時に、今度日本語を教えてやろうと思った。そのまま、俺は再びベッドに寝かされた。そして、やはり要人がべったりくっついた。まさか、本当は俺の事を…?


「…喧嘩売ってんのか?」

待て、俺は何も言ってないぞ?まさか、人の考えでも読めるのか?

「要人さん、考えば読んではいなぐで、予想してらんだど。それど、ナレーターさん?とも単一方向で会話出来るそうですよ」

そうなのか。なら少し遊んでみるか?

「いいから。テメェはさっさと風邪を治せ」

一蹴されたので、このまま眠る事にした。その後も甲天は看病をしてくれたようで、翌日にはすっかり完治していた。要人はと言うと、一向に警戒を解いてはくれなかった。しかし、俺の背中にはシミがあった。多分要人のものだろう。まさか、泣いていたのだろうか?今となっては分からないが、まだ彼女は救えるかも知れないと、わずかな決意が芽生えた。


その晩、俺はユーベル達と要人の部屋でゲームをしていた。意外と整っていたが、壁や棚にカテゴリ毎に雑多に並んだ、武器装備やありったけ干された獣肉が全てをぶち壊していた。グーテから聞いたが、彼女はどうやら殺人姫(キルガール)という宇宙規模の指名手配だと言う。その腕は、あのゴルゴやジェイソンに比肩するか、それ以上らしい。表でも声だけで恐怖を抱かせる程で、甲天曰く「歩ク核兵器」そうだ。ゲームの腕も、あらゆるジャンルで正に化け物だ。とても太刀打ち出来なかった。シミュレーションゲームのデータも想像を絶した。

「なあ、候補全員落とす必要あるのか?」

「…適当にやったらこうなった」

「誰かに好かれたいとか?」

「…喧嘩売ってんのか?」


ふと、要人と目が合った。彼女も気付いたようだが、様子がおかしかった。合った瞬間、すぐ目線を反らしたのだ。顔色を窺ったが、目を大きく見開いていた。まるで何かに怯えているようだった。その上、俺が肩に手を置いただけで過剰な反応を示した。何故抵抗しないのだろう?だが要人は、俺の手を握ると

「もう、帰れ…」


と、先程までとは打って変わって、泣きそうな声が俺を拒絶した。だが、俺としては彼女のような人を何人も見てきた為に、すっかり馴れてしまっている。俺はそっと抱き締めた。直ぐ様抵抗を示したが、やがて静かになった。不安を抱かせないよう、優しく語りかける。

「別に、俺は怖くないよ。確かに、ちょっと吃驚したけどさ」


要人はゆっくりとこちらに振り返った。血濡れた右目が闇の中で潤んでいる。恐らく、何かしらの不安と恐怖が強くあったのだろう。

「何故だ?」

と涙声で、俺に問う。今にも泣きそうだ。俺は彼女を受け入れ、頭を撫でて

「当たり前さ。君は凛々しくて、美しい人だ」


それを聴いた途端、彼女の中で何かが切れたのだろう。俺の胸に顔を埋め

「…スマン」

とだけ言うと、そのまま啜り泣いてしまった。彼女もずっと苦しかった筈だ。指名手配なので、誰にも頼れず孤独で、心が冷え固まった挙げ句に、壊れてしまっていたのだろう。暫くして泣き止んだ要人は、少しずつ自分の素性を明かした。


元々いじめられっ子で、不幸体質だった彼女は小学校に入った瞬間からいじめを受けていた。職員にも両親にもいじめの件を話したが、マトモに取り合ってくれず、結局今年の夏までいじめられっ放しだった。更には家族からもネグレクトなどを受けていた。父は事ある毎に要人を閉め出し、兄はあらゆる責任を要人に押し付け、それを母はただ傍観していたようだ。そして数ヶ月前に、学校では実験と称して塩酸などを浴びせられ、それを醜いとした父が最も被害のあった手足を切断し、マイナス50度もの冷凍室に監禁した。それを誰かが見つけたようだが、そいつが言うには「生きているのが奇跡だった。あと3秒遅れていたら、確実に死んでいた」だそうだ。その後、閣琴が要人の為に、純アダマンタイトの義肢を作り、オリハルコン製の衣服を繕った。そして、要人は学校の全員と家族を尽く血祭りに上げたそうだ。


とは言え、救出された要人は最初、満身創痍でひどく憔悴していた。そこで甲天は止血と傷の縫合を行い、念のため経口補水液を少しずつ飲ませて、経過観察の為に地下牢に投獄したそうだが、とても牢とは思えない快適さと、美味しい食事、それに過剰な程優しい対応に一度泣いたそうだ。その時は出された食事を泣きながら、何度も吐きながら胃袋に詰めたそうだ。それ以来、彼女は借りを返す為にここにいると言う。全てを吐き出した彼女は、何処か可愛らしく感じた。心を許したのか、要人は少しだけ、手を握ってくれて

「オレ…結の事、多分…」

後半は聞き取れなかったが、少しだけ笑ったような気がした。握られた義手は、どこか温かく感じた。

鬼「最近、要人が結にべったりやなあ」

結「俺としては別に問題ないんだけど」

?「えっと、貴方が結くん?」

結「え?そうですけど…」

?「姉上!誰なのだ、その貧乏人は!」

要「テメェ…喧嘩売ってんのか?」


?「次回、宇宙からの招待客」

?「世は、和平を結びに来たのだ」

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