3 討論と湯論と闘魂
いつものアルカですYO☆ 今回はお風呂回です。もしもアニメ化したら、その部分は謎フラッシュや湯煙でガードしていただかないとかも(滝汗)
さて、という訳で3話目です。ちょっとペースが富樫先生並みに遅くなって参りましたが、ネタがあまり浮かんでこなくなっただけなので。次も気長にお待ち下さい。
あ、次回から、下書きに使っているアプリの計算で、大体20ページ分は書けたらいいなと思っております(読者を考えない作家の屑の代表格)
龍栄さんにすすめられ、俺は替えの下着と寝間着を抱えて風呂に向かっていた。幸いにも俺の部屋からは然程遠くはなかった。エントランスの方では、グーテ達がお喋りを楽しんでいる。龍栄さんの姿は無かったので、恐らく夕食の支度をしに行ったのだろう。俺は風呂の戸を開けたが、その瞬間に思考は止まった。
目の前に素っ裸の女の子が四人も居たからだ。しかもその中でマトモに人も呼べる者はたった一人、一番早く俺に気付き、満面の笑みで駆け寄ってきた青い髪の褐色肌の…所謂ギャルだった。その子は俺に抱きついてきた。飛び出していたアホ毛が俺の目に刺さりそうで怖い。だが、俺は一つ気がかりな事があった。
不思議な事に彼女達はあられもない姿だというのに恥ずかしがっていない、むしろ固まっている俺に違和感があるようだ。それを察したか、奥にいた赤い髪の、翼の生えた女性が呆れたようにため息をついて
「アンタ、いつまで突っ立ってんだい?安心しなよ、アンタだって脱いでも似たようになるからさ。ほら、琉瑠歌もどいてやりな」
と促した。青髪の女の子…琉瑠歌は
「えー?いーじゃん、アタシと同じ新人類なんだから、カンドーの再会!」
と今度は赤髪の女性に頬を膨らませて反抗した。忙しい子だな、と思いつつ俺は彼女らの影になる位置で脱衣した。その間に改めて脱衣場を見てみる。
棚はかなりのスペースがあり、それでいて一列がかなり広い。足場は転んでも平気なよう、吸水性や弾力性のある床材が使用されているようだ。と、色々見ていると
「え、えっと…そこはお泊まりの人用、だよ。君のスペースは、こっち…だよ?」
オドオドしたピザっぽい声が俺を呼んだ。声の主は、相変わらず全裸だが、少しふくよかな子だった。背は俺より…と言うか琉瑠歌より低いだろう。髪は琉瑠歌より短く青いが、アホ毛ではなく、丸っこい耳があった。下を見ると尻尾まである。そして、先程赤髪の女性に言われた事が漸く理解出来た。
よく見たら胸が形だけで、下もまるで某ブルーベリーのようだ。恐らくフィルター的なモノの作用で、アウトな部分がキレイサッパリ消えているのだろう。そう考えれば、彼女達が俺を見て「それ隠した方がいいんじゃない?」とか云われないのも納得だ。謎が解けたので、俺はさっさと衣服を自分の場所に置き直し、さっさと入ってしまう事にした。
戸を開けると、一面の露天風呂が俺達を出迎えた。広さは脱衣場とは比にならないだろう。琉瑠歌は一直線に風呂に飛び込んだ。それを「もう…琉瑠歌ちゃん、先に体を洗わなきゃだよ?」と猫耳の女性が呆れた様子で見ている。俺はひとまず椅子に座り、体を洗う。横では、先程の赤髪の女性が少し焼けた肌を気にしているようだ。視線に気付いたか、少し恥ずかしそうだった。俺は勇気を出して話しかけてみた
「あの、日焼けを気にしてるんですか?」
「ああ、これはガキの頃からさ。ただ、今日は貰いすぎたなあってさ」
「貰いすぎた?何をです?」
「傷だよ。軽く捻ってやろうと思ったんだけど、最近調子悪くてさ。かといって動かないってのも体が鈍っちまうし」
そう言って右腕を見せてきた。確かに、切り傷や掠り傷が見てとれる。そう言えば、顔にも頬に傷痕があった気がする。
と、風呂場に突然聞き慣れない音が響いた。人の出す音ではない。そう言えば…あの時は俺を含めて五人居た筈だ。その子の見た目は…
「あ、中麟ちゃんだー!やっと来たよ!おいで、洗ってあげるよ!」
と、琉瑠歌が突然湯船から文字通り飛び出し、手本のような受け身を取ると、近くに誰かを手招きした。音は嬉しそうに琉瑠歌に近寄る。俺は目だけを左へ向けた。思わず声を出した。
顔は真っ白な前髪でよく分からないが、体つきは幼い印象を受ける。が、その下は馬の体だった。間違いない、この子はケンタウロスだ。しかも、ハネまくった頭にはご丁寧に蒼く輝く、小振りだが立派な一本角まで生えている。毛並みは美しい純白で、鈍く輝き整っている。まとめると可愛い白馬ちゃんだ。白馬ちゃんは余程楽しいのだろうか、大はしゃぎしている。
「気になるかい?あの子は中麟弔杏。巳和子が拾った子さ。とは言え捨て子じゃない、過去に大火事で身内全員亡くしちまった、可哀想な赤ん坊さ」
誰も皆、サラッと恐ろしい事を言うのか。あんな無邪気に泡で遊んでいる白馬ちゃんにそんな闇があったとは。聞いている内に、俺は頭も流したので、湯船に浸かる事にする。そして、この時点で俺はこの人と猫耳の女性の名前を知らない。流石にこのままでは色々と宜しくないので、それも踏まえて色々聞く事にした。
「そう言えば、まだ名前聞いてませんでしたね。俺はおr…」
「居ヶ岳結、だろ?話は要人から聞いたよ。アタイは南箕原朱音。あの猫耳の子は西浦虎乃ってんだ。で、さっきアンタに突っ込んで行ったのは、小日向琉瑠歌アンタと同じ新人類さ」
「琉瑠歌は新人類だったのか。ところで、要人って誰なんです?」
「あん?アンタのすぐ後ろだぜ?」
瞬間、背筋が急に凍りついた。凄まじい殺気が俺を狙っている!だが、殺気は何もしてこない。恐る恐る振り返ると、そこにはあの子がいた。姿こそ違えど、あの目は忘れない。右目に宿った純粋な殺意に、体に刻まれた無数の傷痕。やけに金属質な手足…この子が、俺を殺そうとする奴だと言うのか?……そんな事を考えていた次の瞬間だった。
要人は目を見開き、目で捉える事も叶わない速度で、棒状の物を俺の後頭部目掛けて振り下ろした
朱「あー、スッとしたぜ!」
虎「でも結くん、大丈夫かな?」
琉「まあ、エルフェンリートなら死んでたね!」
虎「な、何それ?」
琉「ん?昔のチョイグロアニメ」
虎「そんなのといっしょにしないでー!」
朱「次回は 空からの招待客 だぜ!」