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異世界の魔剣使い《ダークネス》  作者: 桑原荒嵐
第一章『目覚め、そして冒険の始まり』
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第三話 「過去」

『嵐の中には、複数の魔剣が眠っている。』


衝撃的な言葉だった。

この世界に来たばかりの嵐でもその言葉が何を意味するのかはわかった。

自分の中には紅月の他にも魔剣がいる・・・


『他にもって紅月を合わせて何人?いや、何本なんだ?』

『わからん』

『えっ?わからんって』

『だから言ったであろう、仮説に過ぎないと』


さすがの嵐も適当な紅月に呆れた。


『でも、それはおかしいですわね』


その話を聞いていた早坂が口を挟む。


『一人の人間に魔剣が複数いるなど魔剣使いを倒したものしかありえませんわ』

『確かにその通りだな、ここで言われている伝説のような話ではの』

『そ、そういえばここって日本じゃないって言ってたけど』

『ええ、そのことについては私が説明いたします』


『ここの世界には六つの種族が存在しそれぞれが領土を持っています』

『一つ目がエルフ、と言ってもエルフにもいろんな方達がいらっしゃっいます。その全てが一つとなって暮らしています。ちなみにエルフが一番領土が大きい種族ですわね』


『二つ目が獣人種、別名ビーストこの種族が唯一進化の能力を持つ、いわゆるケモミミっ娘王国とでもいいましょうか。もちろん男性もいらっしゃいますが。戦闘能力はなかなか高い種族ですわね、そのせいか領土も多少は大きいといえますね』


『すごく突っ込みたくなる語句があったような気がするんですが・・・ぐふっ』


嵐が話している途中で紅月がお腹を殴る


『黙って聞いておれ』


早坂が話を続ける


『んんっ、話を続けます』

『三つ目の種族なんですが、亜人種です。具体的な例を出すと、ラミア、アラクネ、ケンタウロス、鳥人などですかね。この方々は戦闘に特化しておらず戦いにはあまり積極的ではありません。なので領土もあまり大きくありません』


『四つ目の種族は天使です。こちらはあまり説明せずともわかりますね。名前のまんまです。なので、戦いそのものは好みませんが、悪の制裁と自分に言い聞かせているのか女神様を主体に攻められれば守り、そのついでに相手の領土をいただくと言うことをなさっている種族です。やり返しは容赦無く領土をいとも簡単に手に入れて言ったので広くもなく狭くもなくって言ったとこでしょうか』


『天使が出て来たらわかりますね、五つ目は悪魔です。こちらの方々はおそらく想像通りの方々だとは思いますが、天使とは主に仲が悪い関係なのですがなぜか両者とも張り合っているような感じで領土が広がれば天使たちを見下すなどあまり意味を感じられないことばかりなさっている方々です』


『そして最後の六つ目の種族なんですが、こちらはちょとややこしく龍精種、ドラゴニアと言う方々となっております。ドラゴニアは名の通りドラゴンなんですが知性を持っていて話すこともでき、戦う力も六種族の中では誰も敵わないと言ったくらいです。そしてこの方々の領土はドラゴンの姿ではなく人の姿をしていて羽で空を飛び、魔法を使うと言われている方がいらっしゃいまして・・・』


今まで黙って聞いていた嵐は六種族目について話し始めた時の早坂の表情が少し強張ったのを見逃さなかった


『言われる?』

『はい、実際に見たと言う方はごく少数でこの世界が生まれた時の領土争いの時代に見たとか』

『じゃあ今存在するかって言うのは・・・』

『わかりませんわ、ましてはあのドラゴンと共存などありえません』

『いや、今でもあやつらは存在するじゃろう』

『なんで紅月がわかるの?』

『それは、妾も昔はここのいて奴らと戦ったことがあるからの』


衝撃的だった


ー紅月が昔もここにいた!?と言うことは前の主人は・・・ー


『あ、あのさ、紅月・・・』


聞かずにはいられなかった


『前の持ち主って・・・』

『今はその話はできん。じゃが死んではおらん』

『え、でも、今こうして俺といるってことは前の人が』

『だから、今は話せないと言っておるじゃろうが!』


そう言って、嵐の腹を殴る


『ぐふっ』


そして話を元に戻す紅月


『あやつらはまだ、と言うか今でもドラゴンと共存はしてるはずじゃ、たとえ内乱が起きたとしてもドラゴンが負けるじゃろうな』

『そ、そんなこと、あり得るはずがありませんわ!』

『それがあり得るんじゃよ、一戦交えた妾にはわかる。奴らは神にも等しい力を持っておる』


それを聞いた二人は言葉を失った


『だからこそ、ドラゴニアは六種族で最強であり、誰も戦おうとせず逃げの一方なのじゃ』

『そうですわね、それなら領土の大きさの理由がわかりますわ・・・』


一気に周りの空気が冷めた

さすがの嵐も何も口に出せなかった

そんな沈黙を破ったのは、早坂だった


『そんなこんなで、今の私たち・・・魔剣使いがここの神様によって生まれたと言うわけですわ』


ここに来たばかりの嵐にはわかりやすい説明だった。わかりやすすぎて理解と同時に恐怖もあった。

話を聞き終わり、嵐は一つ疑問に思った


『今の話を聞いて、それぞれが領土を持っていて暮らしていることはわかったよ。でも今いるここはどこの領土なの?』

『あっ、言い忘れましたわ。ここは神が管理・存在する場所で、呼び方はそれぞれですが大体の方は神の間と言ってますわ』

『え!?そんなところにいていいの?しかも戦っちゃったし』

『そのことですか。安心してください、ここは中立の領域としてされていて戦いは禁じられていますが、例外として魔剣使いは戦いを許されています。なぜなら一対一の戦いをできるこの世界の唯一の領域ですから』

『そ、そうなんだ』

『そしてこの神様こそがここにいる種族を集め、この世界の産んだ主として知られています』

『が、実際のところなぜこの六種族を選び、新たに魔剣使いを集め魔剣使いの魔王について決めたのかは誰もわかりません』

『なんか、この世界って難しい現状なんだね』

『はい、そうですね。でも、こうしてあなたとお話しできるのはあなたのおかげです。ありがとうございます』

『いや、俺は自分が嫌だと思うことをしないだけだよ』

『と言うわけで、私はこれからあなたにお供します』

『え、いいの?』

『ええ、命の恩人ですし、何よりあの術は素敵な作でしたわ。思わず惚れてしまいました』


と言って恥ずかしそうに顔を隠しながら嬉しそうにしている


『え・・・』

『ほう、若いのう』


と、楽しそうに笑う紅月

唐突だった。あまりに唐突すぎて嵐は言葉が出せなかった


『じゃが、嵐は渡さんぞ。嵐は妾のもんじゃ』

『えっ!?』

『なら私の魅力で落として差し上げますわ。覚悟してください嵐さん!』


と、宣戦布告のように嵐を指差す


『やれるもんならやってみるんじゃな、妾は嵐のことを隅から隅まで知っておるんじゃぞ?なぜなら嵐が生まれてからずっと一緒に居たんだからの』

『うっ、手強いですね。でもこれからですわ!』


なぜか張り切る早坂

それを見てどうしていいかわからず悩む嵐


『で、これからどうすれば?』

『まずは食料を確保しなければの』

『それなら私の住んでる家に来てください。私が養って・・・んんっ!私が食料も飲み物も寝る場所も用意しますわ』

『そんな、悪いよ』

『いや、今は頼ったほうがいいと思うぞ、どこに行ってもここじゃ命を狙われるだけじゃからの』

『そ、そっか、行くあてもないままだとどうしようもないのか』

『それにこれも恩返し、と言うことじゃろうしな』

『はい!その通りですわ!それに私の知らないところで嵐さんとお別れすることになるのも嫌ですし』

『なにその俺がすぐ死ぬみたいな』

『とりあえず家まで案内を頼めるかの、妾はもうクタクタじゃ』


嵐の言葉を遮る紅月

そして三人は早坂に案内されながら森を進む


『そういえばここに来てから結構経つと思うんだけど日が全く上ってこないね』

『ああ、それは神の間が時間が経過するのが遅いからです』

『へぇー、そんな風になってるんだ。他のところに行ったら時差を感じるんだろうな』

『最初だけですわ。そのうち慣れます』

『ところで嵐、体調は大丈夫なのか?』


突然紅月が嵐の体のことを気にする

それを聞いてそういえばと思ったがいつものが現れなかった


『体調?嵐さんはどこか悪いんですの?』

『いや、俺が居た場所でちょっとね、落ち着いたら話すよ』

『わかりましたわ、もうすぐ着きますから』


とは言ったものの嵐自体いつもは見知らぬ人と話すこともできず体調だけ悪くなる自分だったのが今は全く症状が出ないのがわからなかった

そんなことを考えながらも歩いて数分後目的地に着いた


『着きました。ここが私の暮らしてる家ですわ』


なかなかいい家だった


『やっぱり一人暮らしなの?』

『ええ、でも大蛇が居ましたし、一人って感じたことはありませんわ。どうぞ上がってください』

『お邪魔します。神の間に家があるなんて』

『ここはたまたま見つけたんですの。大昔に誰かが使っていらっしゃったようなのですが・・・』


早坂の表情が曇った


『どうしたの?』

『いえ、前にここで暮らして居た方々は・・・私たちのような普通の人だったみたいですの』


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