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異世界の魔剣使い《ダークネス》  作者: 桑原荒嵐
第一章『目覚め、そして冒険の始まり』
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第一話 「魔剣」

 俺は神崎嵐ごく普通の学生だ。普通すぎて今の日常が壊れるなんて予想もできなかった。

そう、今俺は人生の終わりを告げようとしている。

名前も知らない相手に剣で切られそうになっている。


ーなんでこうなったんだろう・・・ー


俺の中で終わってると感じ始めたのは小六の時からだ。

小六になって卒業が近くなってきたときに俺は・・・


いじめられていた


 毎日毎日登校時間よりも少し早く登校して俺は友達と楽しく下駄箱で話していた。それがいつものことだったみんなで楽しく話して笑ったり、遊んだりしてただけなのに・・・

いつの間にかある一人に避けられるようになった。理由がわからなかった、だからと言って聞く勇気もないそのままにすればいつかは元に戻るそう思っていたんだ。


結果変わらなかった、というよりも酷くなっていった。


中学に上がってからもそいつは同じ学校だった。クラスは別れたけどいろんな嘘話をしては俺を苦しめてくる。周りからすればいじめだとは思わなかったんだろう、俺は三年間そのいじめに無言で耐え続けた。

 中三の冬、心が折れた。学校に行こうとすると体調が悪くなるようになってしまった。それどころか、食事もまともに食べられなくなり、人との会話もまともにできなくなった。正直、こんな人生嫌だった。こんなことを始めたやつ、仲間になって俺をいじめてきた奴ら、見て見ぬ振りをする奴らに対して殺意を抱くこともあった。でも何もできなかった。


 中学卒業後、高校生になる前不思議な夢を見た、目を開けると森にいた、そして誰かが俺の前にいて手には刀みたいに長い刃物を持っていて・・・次の瞬間、振り下ろした。


はっ!と目が覚めるといつもの自分の部屋だった。夢かなどと思いつつ学校の支度をする。俺は高校生になった。相変わらずあいつとは同じ学校、なんかの縁なのだろうか。そんなものはあるわけないと心の中で言う。

登校中に夢のことを思い出す。妙にリアルな感じがあったからか頭から離れない。考え事をしながら歩いていると後ろから


『おっはよ〜!嵐!』


どんっ!と背中を叩いて言う


『なんでそんな怖い顔してるの?』


と顔を覗き込みながら聞いてくるのは高橋深鈴、俺の幼馴染みたいなもので大体は俺についてくる。高校もわざわざ仲のいい友達とは違う俺と同じところに進学したなんだかよくわからないやつだ。


『いてっ!なんだ高橋か』

『なんだとは何よ!あなたの唯一の話し相手が話しかけてあげてるんだから少しは感謝しなさい!』


そう中学以来俺には友達が少ない。でも高橋だけが積極的に話しかけてくれる唯一の友達であり女子だ。

そのおかげか高橋と話しても体調に変化がない。


『はいはい、どうもね』

『わかればよろしい。で?何考えてたの?』


と、俺のことを見通してるかのような質問をしてくる。


『ああ、昨日見た夢のことでちょっと考え事をな』

『夢?夢のことで考えるなんてよっぽど悪い夢か変態のような奴がみるエロい夢ね』

『そんなわけあるかー!』


つい大きい声で反論してしまったせいで、登校中の生徒がこちらを向いている。

それに気づいた俺は体調が悪くなりかけていた。


ーなんてことをやってるんだ俺は!最悪だー


『急に大声出さないでよ〜って大丈夫?』

『あ、ああ、だけど俺は帰ることにするよ』

『そう、気をつけてね・・・』


理由は聞かずに高橋は俺と離れていった。それは俺がなんで体調を悪くするようになったかを知っているからだ。離れていく高橋の後ろ姿は少し悲しく見えた。自分のせいだとでも思っているのだろうか。


『あとで連絡するか』


と、小声で言いつつ家に帰宅する。

 帰宅途中、見知らぬ道を見つけた。


『ここから行けば早く帰れるかも』


とその道に足を踏み入れる。するとまだ朝だと言うのに徐々にあたりが暗くなっていく


『なんなんだこの道』


周りの家も変化していきツタが生い茂っていく。そしてあたりがまるで森のようなところに立っていた。

引き返そうと振り返っても森だった。


『ここはどこなんだ?』


だんだん不安になっていくに連れて体調が悪化する

ガサガサッ後ろで草の音がした。


『誰だ!』


そこから現れたのは一人の女性だった。


『あら、この方角に獲物がいるって聞いたからきてみたんだけど違ったようね』


ー獲物?動物でも狩ってるのか?ー


『それにしてもあなた見慣れない格好ね。どこの方かしら』

『どこって日本に決まってるだろ!ここは日本なんだから!』

『日本?そんなところ聞いたことがありませんね。もしやあなたはよそ者ですか?』

『何をいってるんだ!俺は学校から帰ってる途中だったんだよ!』

『何処かの国のスパイかもしれませんね。私には関係ありませんが。』

『でも、あなたにはなぜか興味があります。なので、ここで死んでもらいます。』


といって手に持っていたものを構える


『はぁ!?全く意味がわかんねー、興味で人を殺すとかあんたどうかしてんだろ!』

『私にとってはこれが普通なのですが』


といって走って近づいてくる


『本当にどうかしてるぜ』


自分の体調を気にしないまま身構えてなんとか避けようと試みるが

左に跳ぶのが遅れて右手を少し切られる


『うっ』


ーなんて早さだ、普通の人間じゃねぇー


右腕を抑えながら距離を取る


『あなたなかなかいい動きをしますね。今の一撃で決めるつもりでしたのに』

『そりゃどうも。あんたこそすげーはやいな』

『それはそれはお褒めにいただき感謝します。ですが、もう終わりにさせていただきます』


さらに速度を上げたのか、見えなかった。


『き、消えた!?』


そして気がついたら目の前まで来ていて、斜めに切られる。


『え・・・』


バタン、地面に倒れる。そして意識がとうのいていく。


ー生きたいか?それともこのまま死ぬか?ー


どこからか声が聞こえて来た


ー早くしろ、妾は気まぐれだからのうー


そんなの、生きたいに決まってる!

強く思った。


ーお主の願い、叶えようー


それを聞いたあと、意識がはっきりして来た

でも切られたところがどこも痛くなかった。不思議な感覚だった。

そして周りに目をやると、俺を切った女が驚きを隠せない様子でこちらを見ている。

なんだ?と視線を上に上げると赤黒い炎を纏った女の人がいた。


『っ!!』


言葉が出なかったのは相手の女性もだろう。


『誰なんだ?』


思わず問いかけた。女の人はこちらに振り向き答える


『誰とは失礼な、お主を助けてやったと言うのに』


わけがわからなかった。ふと切られた体を見ると傷口が跡形もなく消えていた。


『それじゃあ、あの声は・・・』

『話は後じゃ、まずはあやつをどうにかせんと』


そう言われて、相手に視線を戻し再び警戒する。


『ふふ、なぜあなたが獲物のいるはずのところにいたのか少しわかった気がします』


と笑みを浮かべて言う。まるで獲物を仕留めるのを楽しむかのように。


『でも私とは違うんですのね。ますます楽しくなりそうですわ。』


と再び攻撃体制に入る。


ー来る!ー


『嵐!妾に名前をつけよ!』

『えっ?』

『早くしろ!さもないとお互い死ぬぞ!』


といきなり無茶振りをされる。


ーど、どうする、こうなったら言うことを聞くしかない!ー

ー赤い髪に月の髪飾り・・・ー


『紅月!お前の名前は紅月だ!』

『ほぅ、なかなかじゃな』


と言う紅月は赤黒い炎に包まれ、いなくなる。そして炎が少しだけ残る。

その炎が嵐の右腕を包み込む。


『な、なんだこれ!?』


パニックになりかけた時


ー大丈夫じゃー


紅月の声が聞こえたと同時に炎が消えた。

そして、嵐の右手には炎と似た色の剣が握られていた。


『剣?』


ーそう、それがお主の魔剣じゃー


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