レミリアは楽園の泉の夢を見るか?
ただ単に、そんな小文がいつの間にか出来上がっていたんです。
レミリアはベットから跳ね起きた。
時は正に皆眠って居る夜中の2時。俗に言う丑三つ時だ。
何故私は起きた、と挙動不審にベットの周りを彷徨く。
そして、ふと思った。
あれ?私は何故起きた?起きたのには理由が有る筈だ。…えっと、確か昨日はフランと戯れて…お昼食べて、仕事してからのおやつ…夕食はパンとミネストローネ…あと、紅茶ね。
…!!紅茶!
がぶ飲みしてトイレも行かずに寝たんだ。
そして今、全てを悟り、状況を理解した。
焦りもあった。
が、幸いな事に、まだ時間があった。
ドアを押し退け、長い長い廊下に出る。
階段を降りて厨房の横をブレーキを効かせつつ曲がり、その例の楽園へ辿り着く。
あぁ、助かった。
ホッと一息吐く矢先、取っ手の表示は赤になっていた。
「なっ…何ィ!?」
冷や汗が頬を伝う。
同時に数秒間思考を停止させる。
「あれぇ、お嬢様トイレですかぁ?」
美鈴、奴だ。
その一声で我に帰る。
「め、美鈴?は、早く出てよ」
「あぁ、ハイハイなるべく急ぎますよ」
ジャーッ
「ハイどうぞぉ」
「どうも」
もう大丈夫とひと安心した。
パチン
…あれ、何も見えない…嘘でしょ美鈴…
寝ぼけて電気を消されてしまった。
そのトイレは個室が無駄に広い。
四隅の柱は黒く染まり、その視界は霞んだ。
同時にその安心感が崩れ、恐怖が彼女を包み込んだ。
助かった反面、絶望の淵に立たされた。
今にも落ちそうな崖の出っ張りに捕まっている様な心境。
深い闇から何か光…希望を探し思考する。
…電気消した後美鈴はトイレを後にしたのか…?
あ…あの時、手を洗う音でかき消されたのかも知れない…
…し、しかし…助けを求めないと人は来ないわ。
そんな0.01ミリも信用出来ない「希望」に声を出す。
「美鈴!居るなら電気付けて!」
………
彼女は今、この瞬間、このトイレと言う狭い空間、闇で満たされた空間で、「孤独」なんだ、と言う事を理解した。
レミリアは、自分が一人でこの闇を掻い潜って自室に戻れないと確信している。
そして、助けを呼んでも誰も来ないので
そのうち、レミリアは考えるのをやめた。
良いお年を。