友達より‘チョット’うえ4
第4話『思い出と未来』
雪が降っていた。
私は、今6歳。陸も、もちろん6歳。
私たちは、2人で遊んでいた。雪合戦、雪だるま、楽しい時間。
あの、楽しかった冬の日の思い出―――
「・・・・・・う〜ん、、、なんか懐かしい夢見たなぁ〜。」
私は、今、13歳。中学2年生だ。
あの、楽しい時間が私の中で、よみがえる。
そして、同時に突きつけられる現実…
「…陸。会いたいよ…陸―――」
雪が降っていた。あの頃と同じ…
そう、あの日と同じ、今日は2月22日。私の誕生日…
「毎年、陸がプレゼントくれるのになぁ〜」
冬休みがまだ終わっていないこの日、わたしは誰にも祝ってもらえない。
いや、たぶん学校でも、祝ってはもらえないだろう…。私は、自ら1人になったんだから…
「こんなに、寂しい誕生日なんて、生まれて初めてだよ…」
わたしは、1人で泣いていた。ずっと、1人で…
でも、今日から14歳。13歳の自分とは違う。もう、泣かない。
私は、今日、14歳になった。あと、何日生きられるのだろう。15歳までかな…
「分かんないよ。そんなこと、怖くて考えられないよ…」
ただただ、降り続ける雪を、私は、窓から眺めていた。
家には誰もいなく、私は部屋でアルバムを見ていた。
ピンポーン。
家のチャイムが鳴った。しかし、家のドアを開ける気はさらさらない。
私は、ほっといたらそのうち、居なくなるだろうと思っていた。
…が!!
ピンポーン。ピンポン。ピンポン…
どっかの、ガキのいたずらか!あ〜うるせぇー!!
―――チャイムが鳴り始めてから、5分。まだ、鳴り続けている。
さすがに、キレた私は、仕方なくドアを開けた。
そこにいたのは、あまりにも意外な人で、私はびっくりした。
「…陸。」
「お前なぁ〜はやく出てこいよ!オレずっと、外にいたから寒くて…悪い!おじゃましま〜す!!」
「ちょっと、陸。なんで、あんたがここに居るんだよ!」
「何でって…今日、お前の誕生日だろ!もしかして、忘れてた?」
「忘れてるわけないじゃん。そうじゃなくて、何であんたがここにいるのかを聞いてるの!!」
「だから、お前にプレゼント渡しに来たんだよ!いつものことだろ!!」
「…わたしに関わらないでって、言ったでしょ!帰って!!」
言いたくもないのに、つい出てくる言葉。いや、今はこれしか言えない…
1人で生きて、1人で死ぬって決めたから―――
「だから、なんで?いきなり、関わるなって言われても…。理由も分かんないのに。」
「それは…お前に言うほどの事じゃないって、言っただろ!」
「理由を言う気になるまで、オレ帰んないからな。」
「はぁ?何、それ!!帰ってよ!!」
「やだ」
帰って、やだの繰り返しが家中に響いた。
そういえば、こんなにも声を出したの、久しぶりだ。
「…わかった。言うよ。わたし、病気なの。すごく重い。いつまで、生きられるか分かんないの!」
わたしは、下を向いたまま、泣いていた…
泣かないって決めたばっかだったのに、だめだな、私は…
「なんだよ、それ!何でずっと黙ってたんだよ!!」
「……。」
「逃げんなよ!オレの顔を、見ろ!前を見ろ!」
陸は、私の顔を上に向け、私の涙を拭いた…
「陸には、知られたくなかった。陸のことが、好きだから…」
「オレも、好きだよ。まだ、お前には未来がある。誰もいなくなっても、オレが居る」
絶対、無理だと思ってた。叶わない恋だと…
私にも、未来があるのかな?
あと、何回、誕生日を迎えられるかな…
今はまだ、全然分からないけど、私は今を大切に生きていこうと思った。
まだ、私は死んでない。生きてるから―――