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異世界からの闖入者  作者: マッチポンプ
第二話 カイトとニイトと就職活動と
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カイトとニイトと就職活動とⅦ

 何を話していいのかが分からなかった俺は、とりあえず色々な事を話した。


 学校の事、機械の事、あちらの世界での歴史の事。


「これがケイタイデンワですか?」


「そうだよ。その中でもスマートフォンっていう、新しいタイプなんだ」


 パスワード画面を楽しそうに眺めていたシアンは、次第に画面を触り始める。


「わあっ、絵が動いていますよ」


「あはは、この世界じゃ珍しいんだね」


 何回かいじくっていると、画面にパスワード認識がされなかったという警告ボックスが出た。


「わわ……これなんですか」シアンは怯え声で言う。


「これは鍵を間違えたって事。ほら、こんな風に」


 正しいパスワードを入力すると、四角形のアプリアイコンが幾つも並んだ画面が現れ、俺はその中で写真を開いた。


「これがその学校だよ。入学式に撮ったから、結構最近だね」


「ガッコーというのは、学び舎のような場所なのでしょうか。それにしては、随分と大きな屋敷を持っている人がいるんですねぇ」


 実際は都立なので、誰かの屋敷というわけではない。そもそも、屋敷というよりは集会場や広場の方が扱い的に近そうではあった。


「で、これが東京タワー。スカイツリーが出来る前に行ったから、結構混んでたんだよ」


「すごく高いですね……カイトさんがいた元の世界は、塔が多いんですか?」


「ん……ああ、これはほとんど仕事場だよ。中には人の住んでいる家もあるけど」


 高層建築物については特に驚きが強かったらしく、シアンは楽しそうに何度も話しかけてくる。


 これで恩が返せたとは思えないが、少なくともようやくシアンを喜ばせる事が出来て、良かったとも考えてしまった。


 だが、俺は今、仕事を失おうとしている。無理がたたったのは自分の責任であり、前職も当職も人助けをしすぎて失業した。


 自分の性質を断ち切るか、自分の性質を優先するのか。


 笑顔のシアンの横で、俺はひたすらに考え、答えを見つけた。


「ねぇ、シアン」


「どうしました?」


「俺、警備隊の仕事を辞めるよ」


 驚かれ、がっかりされると予想していたところ、シアンは分かりきっていたかのように、優しく俺の頭を撫でる。


「私も、カイトさんには今のままでいてほしいです」


「とりあえず、人の手伝いをしながら働ける場所を探してみるよ」


「お城にいても大丈夫ですよ。私も、カイトさんといっぱいお話しをしたいので」


 普通ならば躊躇うところかもしれない。しかし、僕は他人を救う事を当然と考えるように、誰かが助けてくれる事を異常と考えていないのだ。


 程良い遠慮も必要だが、俺は厚意を向けてもらった際には、否定を入れずに受け取っている。それは、その方がいいと考えているからかもしれない。


「じゃあ、お言葉に甘えて……俺は無職になるよ」


「えっ」


「この世界で出来る事を見つけて、それを全うできるようにしてみるよ」


「あっ……はい、いいと思いますよ」


 無事にシアンの協力も得られた時点で、俺は就職する必要がなくなった。元の世界風に言うのであれば、ニートになっている。後援者(パトロン)がいる時点で、少し違うような気もするが。



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