表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界からの闖入者  作者: マッチポンプ
第九話 カイトの世界
83/359

カイトの世界Ⅸ

 次の日も、いつも通りと言うべきか、助っ人の要請がきた。


 それが単純な人数不足だったということもあり、人助けとして俺は参加の約束をする。


 その四時間目、突如として事件が発生した。


 俺の教室は二階なのだが、一回からガラスが叩き割られたような音が聞こえてくる。


 しかし、今日のこの時間はグランドを使用しているクラスはなかった。


 休み時間ではないので、誰かがやらかしたという可能性も低い。


 何より、音がボールをぶつけたものとは比較にならない程に大きかった。


 嫌な予感を覚えながらも、俺は頭の中を整理し、冷静さを保ち始める。


 少しすると、予測が事実のものとなった。


 紫色の雷撃が放たれ、教室の扉が黒炭に変わり、黒いポンチョをまとった男が入ってくる。


「《水の月》はどこだ! 隠し立てすれば殺すぞ」


 まるで中二病のようなセリフだ。俺も一時期はそうだったが、端から見るとこれほど滑稽なものはない。


 だが、今回はそう思っている者はいなかった。


 その男は手に凶器を持たず、扉を一瞬で炭化させるに至る。それが魔法や超能力以外とは、思えるはずがなかった。


 間を開けた後、クラス中に混乱の渦が広がる。


 先生は前に出てはいるが、おそらく攻撃はしないだろう。


 誰もが怯えている最中、俺をみている一つの目線があった。


 以心伝心とまでは言わなくとも、少しくらいのアイコンタクトはできる。


 友人に全員の先導を任せるように合図を送った後、大きく息を吸い、叫んだ。


「お前の相手は俺だ!」


 あまりに大きな声だったのか、クラスには静寂が訪れる。


「ついてこい、グラウンドで決着をつける」


 俺は机で窓を叩き割ると、そのまま外へと体を投げた。


 落下していきながら反転し、教室側をみると黒ポンチョの男も降りてきている様が確認できる。


 空中に紫色の《魔導式》が刻まれ、白い電撃の槍が放たれた。


 俺は攻撃の軌道を読み、そのまま虚空に拳を打ち込み、反動でわずかに逸らせる。


 僅かな量の髪の毛が炭になるが、気にすることもなく地面へと着地した。


「まさか、こっちの世界にまで追ってくるとはね」


「俺は偶然来ただけだ。だが……幸運だった、お前を殺せば組織での地位が上がる」


 狂魂槌さえあれば一撃で倒せるが、素手ではそううまくは行かないだろう。


 俺が接近していくと、男は素早く《魔導式》を展開し、白雷の槍を発射した。


 攻撃の回避こそ出来るが、その攻撃は俺の背後にあった体育館の壁を砕く。


 騒ぎを聞きつけてか、他のクラスも窓を開け、グラウンド側をのぞき込んできた。


「なんだあれ」


「映画撮影……じゃないよな」


「超能力だ! 超能力者が出たんだ!」


 好き勝手にガヤが騒ぎ立てるが、俺としては被害が大きくなる前に決着をつけなければならない。


 雷の攻撃を躱しながら、俺は黒ポンチョの男の眼前に拳を打ち込んだ。


 ただの一撃でも、《水の月》の性質で攻撃力は増えている。それこそ、原付の衝突程度の威力は叩き出されていた。


 黒ポンチョの男は吹っ飛ばされ、一階職員室の窓際に衝突し、そのまま地面へとずり落ちる。


 まだ、生命活動が続いている、そう確信した俺はなにも迷わずに追撃を決行した。


 動けない内に回し蹴りを放ち、地面に叩きつけ、顎に拳打をお見舞いする。


 その時点でようやく意識を失ったらしく、口から泡を吹きだした。


 この世界の不良ならば無力化させ終わりだが、あちらの世界の人間においてそれは、意味があるとは言い切れない。


 武器を取り上げても、腕が動かなくとも、彼らは術を使えるのだ。だからこそ、本当の意味で封じなければ……。


「あれ一年の池尻じゃないか?」


「おい、あの侵入者を倒したぞ」


「テロリストを倒したのか? なんか漫画のキャラみたいじゃんか!」


 歓声があがるが、俺としては頭を悩ませるだけで先には進めない。


「先生! 今日は早退します!」


 それだけ告げると、気絶中の黒ポンチョを背負い、俺は学校を出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ