カイトとニイトと就職活動とⅤ
二日後、今度は警備隊の詰め所へと訪れた。
「えーカイト君だったか」
「はいっ! 池尻海人、十六歳です! 全力全開で頑張らせていただきます!」
中年の窓際管理職を思わせる、ちょび髭、困り顔の警備隊の隊長は窘めるように咳払いをする。
「兵士での都合は聞いている。とりあえず、こっちの警備隊では普通の話し方でいい」
「えっ? じゃあそうするよ」
呆れたような顔をした後、「まあそれでいいでしょう。では仕事の説明です」と、何かに不満こそありそうだが、すぐに話を進めてくれた。
「城下町で困っている人を助けるんだよね」
「姫様はそう思っているらしいが、実際は見回りだ。とりあえず暴力事件や犯罪が確認されたら通達、それ以外は基本的に見逃しておけばいい」
物の見事に、元の世界の警察と同じらしい。
「困っている人のお手伝いとかもしていいんですよね?」
「ン……まぁ構わないが、入隊すぐに病欠などはやめて欲しい。私からはそれだけだ」
小中高で皆勤賞を取ってきた俺からするに、そんな心配など全くなかった。
万が一、この世界の病気に掛かったとしても、シアン似頼めばすぐに治してくれるだろう。
なにせ、切り落とされた指を戻してくれるくらいだ。きっとすごい魔法を持っているに違いない。
さっそく見回りに出たところ、困っている人はあふれかえっていた。城の内部であればメイドさんくらいのものだったが、あれでも城に仕えるカースト上位の人という事か。
宿屋を見つけられずにいた人の案内、怪我した少女の応急処置、遅延していた荷物運搬――国関係ではなく民間人の荷物――手伝いなどなど、非常に有意義な一日だった。
今度は指定の時間に詰め所へと戻り、就業の挨拶を行う事になる。
「では、本日の報告を」隊長は言う。
順番に「特になし」という報告が行われていき、俺の出番が来た。
「本日は城下町内での道案内、子供の応急処置、荷物運搬手伝いなどを行いました」
他の隊員達の反応はないが、隊長は冷めた様子で拍手する。
「ご苦労だった。では、追って報告書を提出するように」
「う、うん」
そこで終わりと思ったが、追加業務としてミーティングのような事が二時間程行われた。今日こそは体力が残っていたからこそ、支障は出なかったが、これが続くとなると危ないかもしれない。
そんな俺の予測は誰の目を見ても明らかであり、まったく同じ調子で四日続けた時点で、影響が表れ始めた。
「カイト、会議中に眠るでない」
隊長直々に名指しで言われ、俺は目を覚ます。どうやら十分程度眠っていたようだ。
「厳重注意だ。後二回続くような事になれば減給だ」
「き、気を付けるよ」
とはいったものの、癖を容易に止める事ができるはずもなく、毎日毎日人助けを行っては報告書を書いている。そして、夜の会議では気付かれないように短い時間だけ眠っていた。
就業から一月が経った時点で、当初隊長が言っていたように、俺は病床に伏した