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異世界からの闖入者  作者: マッチポンプ
第七話 フォルティス防衛戦
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フォルティス防衛戦Ⅱ

 滑り止めというわけではないが、兵長が心を動かしてくれた以上、警備隊の隊長も動いてくれるかもしれない。


 そんな気持ちもあって、警備隊の詰め所へと向った。


「――という事なんだけど」


「なるほど、増援が欲しいわけだね」


「そうそう、十人揃えなきゃいけないんだ」


「それで、その十人という数字はどこから来たのかね」


 うまく行くと思っていたが、どうにも怪しげな雲行きになってくる。


「なんとなく、じゃないかな。たぶんそれくらい居ればなんとかなるだろうし」


「そのなんとなく、で部下の命は掛けられない」


「でも、ここで戦わなくちゃ犠牲者がっ――」


「フォルティス手前まで迫れば騎士も動くよ。何をするにしても、城壁前での防衛戦の方が安全だね」


 弓や槍の遠距離武器で安全に攻撃できる以上、そちらの方がいいに決まっている。


 だが、その場合はフォルティス内への侵入を許す事になり、最終防衛地点はフォルティス城で行われる事になるようだ。


 町の皆が逃げ切るだけの時間、もしくは城に入れる寛容な精神があれば良いが、それはまずあり得ない。


 低所得者の一割程度はその戦いで犠牲になるだろう。


 と、ここまでの全てはシアンが渡してくれた紙に書いてあった。


 渡してくれたとは言ってみたが、実際はポケットにいつの間にか入れられていた、と言うべきか。


「城下町の人はどうなるんですか」


「警備隊の名誉に誓って、非難はさせる予定だよ。こちらの見込みでは、フォルテ(・ ・ ・ ・)ィスに(・ ・ ・ )住まう者からは犠牲者はでないはずだね」


 シアンの言った事を二割程度しか理解していない俺ですら、警備隊長の言っている意味は把握できた。


「盗賊達が通る村々を全て見捨てる……つもりじゃないよね」


「奴らとて無差別な虐殺が目当てではないよ。うまく取り入れば死にいたる事はないはずだね」


 これ以上話しても無駄だと判断した俺は、一言も発する事もなく部屋を出る。


 こんな重要な時に限ってミネアがいないなど、封印でしかなかった。


 もし万が一、俺とミネアが揃っていれば、戦力的には一切の不足も出さずに戦える。それが出来ないのが、ただただやるせなかった。


 時はひたすらに進み、無情にもリミットをすり減らしていく。


 盗賊到着まで後二日、シアン曰く道中の第一村であるアックアと接触する少し前、という場所にはいると思われるそうだ。


「カイトさん、どうですか?」


「いや、全くだよ」


 あれから兵長からも具体的な承諾が得られる事もなく、再三に渡って騎士と交渉をしてみたが、当然ながら無反応。


 もはや奥の手とばかりに冒険者に協力を求めようとしたが、莫大な依頼料を吹っ掛けられ、それを支払えるわけもなく――そもそも善意で参加してくれなければならない――泣く泣くこのような状態に至る。


「……私はアックアへと向います」


「じゃあ俺も」


「いえ、私一人で行きます。あちらの村の人達に事情を話して、余計な被害が増えないようにしたいので――カイトさんは増援が集まり次第、助けに来てください」


 もう駄目かもしれない、と思いきっていた俺と違い、シアンは最後まで戦い抜こうとしていた。


 期限を限界まで伸ばして、成功する確率を少しでも上げようとしている。


「分かった。すぐに向うから、シアンは村の人達を守ってあげて」


「はい。カイトさん、信じてますよ」


 部屋から出ていくシアンを見送った後、俺は再び兵長のいる部屋へと向かった。


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