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異世界からの闖入者  作者: マッチポンプ
第六話 神器の力
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神器の力Ⅹ

 真犯人の自供により、無事本当の意味での無罪放免となった俺はフレイア王から、面白いのか面白くないのか分からない話を聞いた。


「最初からシロって気付いてたんですか?」


「無論だ。ヴェルギンに確認を取った時点で、カイトがそういう人間ではないと判断は出来た」


 もったいつける様子もなく、フレイア王は続ける。

「カイトが狙われているのであれば、これは罠だという事も、当然分かりきっていたのだ」


 考えてみれば、組織の人間は俺が釈放をされると気付いていたのは歴然だ。何せ、実際に何もしていないと知っていたのは彼らなのだから。


 暗殺を目的としていたならば、尋問を利用して、人気がない夜までフレイアに留めておく事も可能となってくる。


「……だったら、余計に危なくなったんじゃないですか?」


「逆だ。ヴェルギンからカイトの強さを聞いてから、そのような不逞な輩を倒すには好都合だと考えた」


「好都合?」


 フレイア王は口許を緩ませ、玉座から立ち上がると俺の肩を叩いた。


「そうだ、この国に怪しげな連中をのさばらせたくはない。だからこそ、ニオという娘に武器を持ってこさせるだけの時間を用意した」


 通りで深夜二時という、本当に本当の夜中まで同じような話を聞かれていたのか。それだけの時間があれば、師匠の家からここまで向かう事も可能だ。


「……でも、あの重い槌を持って。普通通りの時間が出せたのはどうしてですか?」


「それは、以前通したルートがかなり遠回りだったからだ。本来ならちょっと走ればすぐ着く距離にある」


 娘を攫った誘拐犯と考えていたなら、それも仕方がないのかもしれない。


 ただ、師匠もそれに気付いていたならば、教えてくれてもよかったのではないか。


「そういえば、あの人達はどうなったんですか? 誰だったんですか?」


 早速気になってしまったので、話の流れを切断してから聞きだそうとした。


「女は盗賊ギルド、大男は停留中だった冒険者、もう一人の男は武器職人という事になっている」


「なっている?」


「そっちの方で情報の照会が出来たのだ。君のいうような組織との関連性は見えなかったが、このメンバー自体がかなり臭い」


 シアン曰く、冒険者と盗賊は敵対関係にあるらしく、それらが協力するような事はあり得ないらしい。


 つまりは、良くあるファンタジー世界とさほど変わりないという事だ。


「……カイト、少なくともお前はこの国に燻っていた悪を討った。それは紛れもない事実だ。故に、今からは客人としての扱いを決めようと思う――これを受け取れ」


 投げられた物を片手で受け取ると、それを手のひらの上に乗せて、凝視してみる。


 金色をした硬貨状の物。表面に刻まれている刻印と紋章を見るに、フレイアのオリジナル金貨だと思われる。


「勲章だ。それがあれば、冒険者や紹介状がなくともこの国に訪れる事が出来る。無論、店の交渉においても、大きく譲歩してくれることだろう」


「良いんですか?」


「当たり前ではないか。出会いこそは最悪だったが、今は親しき友人、こちらとしても恩義に報いなければならない」


 荘厳さを残した笑みを浮かべるフレイア王は、俺に手を差し伸べてきた。


 俺は頷き、その手を握り、握手とした。世界こそ違えど、交友の挨拶は変わらないらしい。


「では、ヴェルギンの元に戻るがいい。カイトには、守りたい者がいるのだろう? ならば、強くなれ」


「はいっ!」


 そうして城を出た俺は、王様に認められたという事実に浮かれ、さっそく何処かの店で寄り道していこうとしていた。


 実際聞いたルートによると、師匠の家までは一時間もかからなさそうではあるので。


 すると、途轍もない速度で走ってくる馬車がこちらに向って走ってきた。


 俺が行きに使ったのと同じだが、これ自体貴族が限定して使うような馬らしく、速度が尋常ではない。


 馬車が止まったかと思うと、随分とせかせかした様子でミネアが降りてきた。


「カイト、こっちに来なさい」


 走ってきたミネアに引っ張られ、俺は人気の少ない裏路地へと連れて行かれる。


 そうした刹那、馬車から誰かが出てきたように見えたが、今は気にしない方がいいのだろう。


「あんたには水の国に戻ってもらうわ」


 唐突に、それも一方的に、ミネアは命令を出してきた。


「まだ就業終わってないんだけど。あと、ニオも師匠の家にいるし」


「あの女はすぐに送り返すわ。修行についても後回し! ……水の国で問題が起きたのよ」


 怒っているのではなく、深刻そうな顔をするミネアを見て、俺は危機感を覚える。


 ミネアがここまで言うならば、きっと何かの問題が起きているに違いない。それも、途轍もなく大きい問題が。


「……分かった。師匠によろしく頼むよ」


「ええ、さっきの馬車に乗り込みなさい。もう行き先は設定してあるから」


 一難去ってもう一難、俺に心が休まる時は来ないのだろうか。


 だが、それでもいい。それで誰かが助かるというなら、俺はサービス残業でもしようではないか。


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