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異世界からの闖入者  作者: マッチポンプ
第八話S 魔界の四天王
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魔界の四天王Ⅸβ

 ――カイトがキリクと遭遇した頃、魔界への道では……。


「封印を中断しろ」


「その提案を受けたら、戦闘を中断すると?」


 黒いポンチョを纏った集団、数にして一万人がその場に現れ、封印中の一団と交渉――いや、命令を行っていた。


「俺達にその気はないがな、どちらにしろお前らはここで全員死ぬんだからよ」


 よほど血に飢えていたのか、交渉をする気も一切なく、組織の組員達は武器を掲げて襲いかかってくる。


 ニオは誰よりも早く物陰に隠れて《魔導式》の展開を開始するが、ダーインの言っていた力の消耗が現れ出したらしく、その展開速度は恐ろしく鈍くなっていた。


 ――カイトさん、早く来てください!


 ニオはそう願いながらも、敵を倒す為の一手を打つ為に全力を尽くしている。


 戦闘が開始され、別の場所にいた精鋭達が数人戻っては来たが、明らかに数の不足が出始めていた。実際は体力的摩耗が原因でもあるが。


 一方は天災級の怪物を倒し、消耗しきった部隊。その一方で十全、かつ戦意に満ちあふれた部隊など、比べるまでもなく天秤の傾きが生まれている。


 相手が一般兵だけであればまだしも、相手もこの決戦が最後の戦いとなっていた。故に、戦力の不足は一切ない。


 武器が衝突し合う戦場の中、二人の男達は向い合い、静かに佇んでいた。


「剣のトニーが、まさかそちら側についていたとはな」ウルスは嘲る。


「《紅蓮の切断者》、それは人に言えた事だろうか? 君もまた、似合わない事をしている」


 黒い髪をし、ポンチョではなくマントを羽織っている男――剣のトニーと呼ばれた男はウルスと面識があるような口ぶりで話し始めた。


「過剰な接触は世の秩序を乱す。俺としてもこうした行動は取りたくなかったが、ダークメアの考えは無視できなかった」


「君もまた、人間の考えに取りつかれていたか」


「それはお前も同じだろ? 干渉を避けるのは暗黙の了解。俺が破ったとはいえ、お前も破っていては笑い事でしかない」


「話すだけ無駄だ。いつかの決着、ここでつけようではないか」


 トニーは腰に差した黒い剣に手を掛けようとしたが、予期せぬ来訪者の登場で構えを変える。


「《幻惑の魔女》か」


「あなたとは闇の国での対決以来ね。もう一年前かしら」


「そんなに経っていたか……まあいい、君のような少女はこの戦いに割り込むべきではない」


 露骨に目線を逸らしたトニーだが、エルズから敵意が放たれている事は理解していた為に、警戒心は解かなかった。


「あなたに勝てるのはおそらくあたしだけ、だからこの戦いの責任はあたしが持つわ」


「エルズ、お前は手を出すべきではない。実力が違いすぎる」


 咄嗟にウルスは止めに入った。面識がある二人だけに、戦力の底を知っての考えだろう。


「この人の事を知っていれば分かるでしょ? 物理戦闘で倒すには、ウルスでもティアでも足りない」

 そう言い、エルズは邪魂面を取りだす。


「あまり無理はするな。危険だと思えばすぐに逃げろ」


「分かっているわ」


 ウルスはそのまま主戦場へと戻っていき、敵兵の撃滅を開始した。


 向い合うエルズとトニーは睨め会った後、僅かに言葉を交わす。


「これが最終試験だ。私を苦戦させられる程度ならば逃がそう」


「余計なお世話ね。あたしはあなたを殺すわ」


 エルズが仮面を被った瞬間、二人はその場に倒れ伏す。


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