カルテミナ大陸攻略戦Ⅶ
カルテミナ大陸の攻略を終えたカイトだが、肝心の操縦方法が分からないものを処理する事もできず、操作室と思われる部屋の入り口を破壊する事で機能停止とした。
誰も入る事が出来なければ問題はない、簡単かつ単純な意見ではあるが、的を射ている。
そうして無事に攻略戦は成功に終わり、全軍は一時帰還をする事となった。
「それで、ライカ姫が攫われたと」
「ああ、俺がもう少し向えていればどうにかなったかもしれなかった」
自室に戻ったカイトは、部屋で待つニオへと今回の戦いについて話している。
「攫われたって事は、何かしらの利用価値があるってことですし、急いで向えば助けられますよ。きっと」
「俺もそう思うんだけどね……なんというか、不甲斐なくもあるよ」
言っても仕方がないと分かっていただけに、カイトは切り替えた。
「それにしても、シアンとミネアが仲直りできてよかった」
「シアン姫は海上指揮、ミネア姫は陸上戦に復帰。二人が会うのはまた先になりそうですけど、きっと心は繋がっていますよね」
――この戦争さえ終われば、全てが上手く行く。元に戻る。
やるべき事、なすべき事、カイトはそれを一度として忘れていなかった。
ただ、今は終戦を目指す事だけに意識を集中させている。自分の知る限りの人達を守る為、その為の戦争終結。
二人から受け継ぎ、自身で決めたその考えは未だとして変わらずそこにある。
「カイトさんはこれからどっちの部隊に?」
「王様曰く、しばらくは陸上だってさ。いくら海上が安全になったっていっても、戦力の回復も怠れないしね。元気な僕はみんなが回復するまでお仕事さ」
「お疲れ様です」
「はは、それはそれで満足だからいいけどね」
ニオと話し終えた後、カイトは城下町に戻った。
重税が僅かだが緩和され、敵の主戦力を攻略したという事もあり、人々の顔からは活力が漲ってきている。
「カイト、噂は聞いたぜ」
城下町の見回りをしていたベアが話しかけてきた。
「これで平和に一歩近づいた、ってところかな」
「自慢より先に大局的な感想とはな、大物って感じだ」
「そんなそんな、俺がやれたのは偶然さ。勝つのは必然だったかもしれないけど」
その発言に偽りはなく、カイトが攻略を完了してすぐにおぞましい量の味方が現れた。まさか早期に決着がついていたとは思っていなかったらしく、すぐに撤退していったのだが。
「話は変わるけど、城下町の調子はどうなの?」
「前よりはましって感じかな。少し前は警備隊側に文句を言いに来る人も多かったそうだぞ。そのせいで俺みたいな兵士がこっちに回されているんだが」
苦労話を聞いたカイトは笑い、ベアの肩を叩く。
「苦労はお互い様だね。戦争終結まではまだまだかかるだろうけど、頑張ろうじゃないか」
「言われるまでもないぜ」
二人は握手を交わすと、それぞれが己の役目を果たす為に歩み出した。