二回目の天体観測
二回目の天体観測です
僕は今あることで悩んでいるのだった、それは命にどうやって謝るかということに頭を悩ませている。
喧嘩をしてもう5日が過ぎようとしていた。これ以上過ぎればもっと謝りにくくなることは言われるまでもない。
しかし、なかなかタイミングがつかめないのだ。こんなことをかれこれ2日前ぐらいから悩んでいる。
簡単なことだ、ただ一言謝ればいい。そう自分を奮い立たせる。
「み・・・」
おばあちゃんが「ゆうちゃーん」という声に僕の勇気は吹き飛んだ。
「何・・・?」
僕はもう肩すかしを食らった気分でうなだれた状態で振り向いた、おばあちゃんが不思議そうな顔をしている。
「今から畑に野菜の収穫に行くの、悠ちゃんもいきましょう」
「楽しそう!行く」
「じゃあ、行きましょうか」
「・・・・命は?」
「先に庭に出てるわ」
僕は靴を履き庭に出た。真夏の太陽が僕を照り付ける、今日もあっぱれな晴天だ。僕の心は晴れないままだけど。
「待たせてごめんなさいね命、行きましょうすぐそこなのよ」
おばあちゃんはたくさんある畑の中の一番隅っこの畑を指差した。
僕らは歩いて5分くらいで畑についた、たくさんの野菜が畑に植わっていた。
きゅうり、トマト、スイカ、トウモロコシ・・・とにかく僕にとってはほとんどスーパでしか見たことがなかった。
「すごい!たくさんあるな」
「そうでしょう?全部私と命が植えたのよ」
「へー」
命と目があった、命は眉間に少ししわを寄せぷい、とそっぽを向いた。僕はああ・・・とさっきまでのテンションががくんと下がった。
「何から収穫するの?」
命がおばあちゃんに尋ねた。
「そうねぇ・・・スイカをとって冷やして食べましょうか」
僕はおばあちゃんと命についていきスイカ畑に向かった。たくさんのスイカが並んでいた。
「今年も立派に育ったわ」
「そうだね、去年より大きい」
「そうなんだ」
「うん」
僕らは自然に会話をしていた、が命が喧嘩をしていたのを思い出したのか先ほどと同じ表情をした。結構心に刺さる顔だ。
おばあちゃんが別の場所に行ったのを見計らって僕は思い切って謝ることにした。
「命、ごめんなさい!」
僕は頭を下げた、帽子が落ちてしまったが気にしない。命がこちらを見ている気がする。
「謝るの、遅いよ」
「本当に悪かったと思ってる、だから仲直りしよう!」
「いいよ」
「いいの?」
「うん、謝ってくれたし」
「ありがとう」
「どういたしまして」
僕は心からほっとした、よかった。
家に帰り、スイカをひやして食べた、いつも食べるスイカよりもおいしく感じた、シャリッとした食感がたまらない。
命とはあっさり仲直りできた。もっと早く謝っとけばよかった、何で僕は謝るまでにあんなに時間がかかったんだろう、自分のことだけど情けないな。
「おいしいね」
「うん、おいしい」
縁側で命と二人で腰かけて食べていた、すでに日は傾きかけていた。
「今日はきっと星空がきれいだと思うの」
「そうなんだ」
「今日、星見に行かない?」
「いいよ行こうか」
「うん、じゃあ夜の8時くらいかなそうだ!」
「何?」
「森で見ようよきっと庭で見るのとは違うよ、おばあちゃんに内緒で行こうよ悠ちゃん」
「うん!」
「じゃあ、二人だけの秘密の約束」
「わかった」
僕らは二回目の天体観測に行くことにした。場所は夜の暗い森の中、なんだかわくわくする。おばあちゃんには悪いけど仲直りに記念に、と心の中でおばあちゃんに言い訳をした。母さんが知ったらものすごく怒ると思う。
僕らは懐中電灯を二個持っていくことにした。さすがに夏でも8時は暗いので安全のためにと命が僕にも渡してくれた。おばあちゃんにはすぐそこの河川敷で見るとごまかした。
なんだか変なわくわく感がした、いたずらを仕掛けた時のようなそんな感じが。
森は真っ暗だった、唯一の明かりは僕と命の懐中電灯の光のみだった。
「真っ暗だね」
「うん、でもほらそら見てよ」
「この間より星、きれいだ!」
「でしょう?言った通りでしょ」
「うん」
僕らは木の根っこのところに座った。星空はすごくきれいだ。
「あのね、もうすぐ悠ちゃん帰っちゃうでしょう?」
「忘れてた」
「だから、これが最後かもしれない」
「そんなことないよ、また来年も来るし約束したでしょう?」
「でも、私はさみしいな」
「本当?」
「うん、だって私友達いないもん」
「そうなんだ」
「だから悠ちゃんが私の初めての友達なの」
「なんかうれしいな」
「そう、変なの」
僕らは10分くらいたって帰った、早くしないとおばあちゃんに怪しまれてしまう。
「帰ろうか」
「うん」
名残惜しいけれど僕らは家路に向かった。なんとなく命とはしゃべれなかった。
僕が初めての友達か・・・
もうそろそろ悠ちゃんの夏休みは終わりに近づいてますね
もう少しお付き合いください