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夏祭り後編

夏祭り編も終わりです。

命を無邪気にかけてたらいいな・・・小学生の無邪気さをぎっしりつめこんでおります。

 鳥居をくぐるとそこにはたくさんの出店が並んでいた。

りんご飴、わたがし、唐揚げ、金魚すくい、くじ引き・・・たくさんあった。

「どれからしようか?」

「私ねりんご飴が好きなの、早く食べたいな」

「じゃあ、りんご飴を買おうか?」

「うん!行こう」

おばあちゃんは盆踊り大会の出場のために会場に行った、去年の分もしっかり踊るから後で見に来てねと言っていた。後で見に行こうかな。

近くにりんご飴の屋台があったそこで命はりんご飴を買った。飴の甘い香りがする。

「おじさんりんご飴ください」

「はいよ!300円ね」

僕は何を買おうかあたりを見回してみた迷うな・・・どれも僕にとって魅力的なものばかりだった。

ふと目についたのは金魚すくいの出店だった。僕は金魚すくいがとても得意で毎年たくさん金魚をすくっていた。今年もやろう命を誘って競争してもいいな。

「なあ命金魚すくいやろうよ」

「いいけど私へたくそだよ」

りんご飴をなめながら命が言った。

「大丈夫!僕が教えてあげるから」

「じゃあ・・・やる」

「よし!競争しよう命」

「え!絶対負けるからいやだ」

「えーやろうよ楽しいぞ」

「・・・・」

命はりんご飴を見ながら何か考えているようだった。僕が不思議に思って「どうしたの?」と聞くとにやりと笑ってこういった

「じゃあ負けたほうが何かおごるってルールはどうかな?」

なるほど、罰ゲームか。

「いいよ乗った!」

僕らはすぐ近くの金魚すくいの出店に向かった。僕らは早速ポイを買った。

「よーいスタート!」

その合図で僕らはポイを金魚が優雅に泳いでいる水の中へそっと入れた、少し緊張する。水につけたところがはがれそうだ。

「あ!」

命のポイが少し破けてしまったらしい悔しそうな顔で泳ぐ金魚をじっと見つめていた。

「お、すくえた」

僕は早速一匹目を捕まえた。中くらいの赤いきれいな金魚だ。

「悠ちゃん、ずるい・・・」

命がさっきまで金魚に向けていた目を僕に向けていた、本気で悔しそうだ。

「どこがずるいんだ?」

「・・・・」

命はそれっきり黙って金魚に神経を集中させた。その眼は闘争心があふれ出ていた。それを見て僕はやる気がますますみなぎってきて絶対負けないぞと気合を入れた。

「よし!たくさんとるぞ!」

「負けないからね!」

そこから僕らは闘争心の塊になっていた。命は意外と負けず嫌いらしく僕が一匹とるたび恨めしそうにこっちを見ていた。僕は自分の顔に意地の悪い笑みを浮かべて命をからかっていた。

結局僕が5匹、命が3匹とり僕は見事命に勝った。

「なんかおごってよ約束だろう?」

「いいよもう何でもおごってあげるよ!」

命はそっぽを向いてしまった、からかいすぎたかなと反省する。

「ごめん、少しからかいすぎたね」

「別にいいよ楽しかったし・・・」

命は優しく微笑んでくれた。笑った顔が少しおばあちゃんに似てるなと思った。

「そっか」

「何がいいの?」

「うーん・・・」

僕はあたりをきょろきょろと見渡してひらめいた、お祭りといえば僕はまっさきにこれを思い浮かべた。

「綿菓子がいい」

命はきょとんとあっけにとられたような顔をした後くす、と笑った。

「何で笑うんだよ」

「えっ・・・だって少し子供っぽいなって・・・」

「いいでしょ別に・・・」

命が笑うので僕は恥ずかしくなった、馬鹿にしているのだろうか。

「ごめんね、つい笑っちゃって・・・」

「気にしてないからいいよ」

「そっか、じゃあ綿菓子買にいこう」

「うん!」

僕は甘い綿菓子をおもいっきり頬張った、一年ぶりの綿菓子は格別だった。


ふいに太鼓をたたく音が祭りの会場に響き渡った。

「何か始まるの?」

「うん、盆踊りだねおばあちゃんが出るから見に行こうか」

「へー楽しみだ」

僕は食べ終わった綿菓子の棒をゴミ箱に捨て、盆踊り会場に命と向かった。

「あら、命、悠ちゃん見に来てくれたの?」

「うん」

「うれしいわ!おばあちゃん張り切って踊るわ見ててね」

そういうとおばあちゃんは盆踊りの輪の中に入っていった、これまた都会ではなかなか見れない光景だ。

「おばあちゃん踊りうまいな・・・」

「そうでしょ?前はね優勝したこともあるのよ」

「へーすごいな!」

「でしょう?」

僕らはおばあちゃんが踊り終わるまでずっと見続けた。おばあちゃんは本当に踊りが上手で僕はずっと見ていたいと思った。

曲が終わるとおばあちゃんはこちらに向かってきた。

「どうだったかしら?」

「うん、すごく上手だったよ」

「本当?よかったわ、ありがとう」

おばあちゃんは嬉しそうににっこりほほ笑んだ。

「もうそろそろ花火が始まる時間ね、いい場所があるのよ行きましょう」

僕らはおばあちゃんに連れられて海岸についた。するとドォンと花火の打ちあがる音がした。

「うわあ・・・すごいや・・・」

それしか言えないほど花火はきれいだった、命も同じように口をぽかんと開いたまま驚いているようだった。

水面に映る花火もまたきれいだった。

赤、オレンジ、青、緑・・・いろんな色が僕の目にあふれんばかりに映った。

「どう?都会の花火もいいけれど、田舎もなかなかいいでしょう?」

「うん・・・すごいきれい、海で見るのなんて初めてだよ!」

僕の住んでいる町の夏祭りの花火は海なんて人気スポットで一度も僕は海で見れなかった。いつも遠くで見るしかできなくて毎年こんなものなんだなと思っていた。

でも、ここで見る花火は大きくて色もきれいに見えた。僕はきっと今日見た花火を忘れないだろう。

花火はたくさん打ちあがり一時間ぐらい見て終わりのアナウンスがかかった、なんとなくまだ見ていたかった。

「もっとみたかったな・・・」

それを聞いていた命は

「また来年見ればいいでしょう?」

「・・・いいの?」

僕はおばあちゃんのほうを見た、おばあちゃんはにっこり笑って、「もちろんよ」と言ってくれた。

僕は命に小指を出して「絶対だよ」といった。

「うん!絶対見よう」

僕らはここにきて二度目の指切りをした。また来年もここで花火が見れると思うともう名残惜しいなんて思わなくなった。

「さあ、そろそろ帰りましょうか」

僕らの夏祭りは楽しさ満点で終わった。








 


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