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プロローグ

 子供ならだれでも楽しみな夏休みが僕にもやってきた。

でも僕は夏休みが来るのが今年は少し憂鬱だった、なぜなら母方のあばあちゃんに夏休みの間預けられるからだ。しかも母曰くド田舎らしい。

正直、都会育ちの僕は不満だ、しかし母の言う事は絶対だ。

僕は終業式が終わると家に帰り、旅行用のキャリーバックやボストンバックなどを手に持ち家を出た。

駅にむかうバスに揺られながら僕は考えていた。

田舎ってどんなところで、どうやって遊べばいいんだろう。

僕の住んでいる街には遊ぶ場所がたくさんある、しかし母曰く自然以外何もない場所で僕の住んでいる街のように遊ぶ場所は無いようだ。

僕はそれを聞いて絶望した。楽しい夏休みが僕の中で音を立てて崩れた。

「はぁ・・・」

そんな事を聞けば都会育ちの子供は誰だってため息ぐらいつくだろう。

駅について電車に乗った。あまり混んでいなかった。

これから電車で2時間、電車を降りてバスで1時間半かかるなど退屈すぎる。小学生の僕にとって最悪の夏休みになるのかな、そんなことを考えているうちに眠気が襲ってきた。


目が覚めるともうすぐ目的の駅の名前がアナウンスで呼ばれていた。僕はリュックをかるい、駅に降りた。

「すごい・・・もう田舎だ」

山に囲まれている、お店がない、人がいない、僕は降りてすぐに田舎だと言葉に出してしまった。



バスが来るとそれに乗った。また一時間半も乗らなければならないのか。

もうすでに嫌になってきた、田舎だし僕の夏休みは終わってしまうのか・・・・。

「そんな」

僕は自分の家に帰りたくなった。

ぐるぐる考えているうちにどうやらついたらしい、バス停に降りると「悠ちゃん!」と声をかけられた。

振り向くとおばあちゃんとその隣に見慣れない同い年くらいの女の子が立っていた。

「遠いところからごくろうさま、お腹すいたでしょう?早く帰りましょ」

「はい、」

おばあちゃんはとても優しそうな人だ、陽だまりのような優しい笑顔を浮かべている。

その笑顔に僕の緊張はいくらかほぐれた、僕は人見知りなのだ。

隣の女の子はというと無表情で立っている。

話しかけるか迷ったが話しかける事にしてみた。心の中で気合を入れる、よし!

「こんばんは、よろしくね」

「・・・・・・」

女の子はぺこりと頭を下げただけだった。

「ここが私の家よ」

「おお・・・」

おばあちゃんの家は古い日本家屋だった、僕は写真でしか見たことがなかったので驚いた。

「さぁ中に入って。ごちそうを作ったのよねえ、命」

女の子は命と言うらしい。

僕はおばあちゃんに促され玄関に入った。


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