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DB一刃異世界奮闘記  作者: 鈴神楽
出会い編
5/14

合力と単独

今回の話しは、三話と同じ世界、剣と魔法の世界が舞台です

 ハジメ達は、長い調査の結果、邪神を封じられた遺跡を発見した。

「それで、カズバに協力求めないの?」

 この一年で胸が大きくなったミガキの言葉に、胸の成長はまだまだなハジメが答える。

「今は人間に変化出来る竜の探索、退治を行っているそうです」

 淡々と言おうとしているハジメにミガキがにんまりして言う。

「ふーんそれで寂しそうなんだー」

 驚くハジメ。

「どういうことですか?」

 ミガキはハジメの肩を叩きながら言う。

「折角会えると思ったのに、会えなくなって寂しいんでしょう?」

 ハジメは少し考えた後首を横に振る。

「私のことより、先にこの遺跡に封印された邪竜を倒す事を考えないといけません」

 ミガキはじっとハジメを見るが、その表情には誤魔化そうとする気持ちが一片も無かった。

「本当にハジメは真面目なんだから」

 そんなハジメに対して邪竜滅殺のメンバーに選ばれたマモルが胸を張る。

「俺に任せてくれ。一年前の俺とは違う」

「あーら、震えて何も出来なかった人が大口叩いてるー」

 ミガキの言葉にマモルが槍を振り回し言った。

「俺は成長したんだ。今だったらカズバにだって負けない!」

 そう騒がしくする一堂から視線を外し、ハジメが呟く。

「もう二度と会えないのでしょうか?」



 ハジメ達は、確実に遺跡のトラップやモンスターを攻略し邪竜が封じられている神殿に向う。

「この遺跡は、カズバと行った遺跡に似てるな」

 マモルのその何気ない一言に、ミガキが冷たい視線を送る。

「俺が変な事言ったか?」

 ミガキが業とらしい大きな溜息を吐く。

「本当、戦闘馬鹿ね」

 その言葉にマモルがいきり立つ。

「何だと!」

 槍を振り回そうとするマモルにハジメが説明する。

「この遺跡がカズバと行った遺跡と似てるのは当然なんです。双方の遺跡を作ったのは同じ、邪竜達を封じた一族だったからです」

 そういって、壁に描かれた八方に伸びる特殊なマークを指差して言います。

「このマークはその一族が崇めていた神のシンボルと聞いています」

「なるほどなー」

 感心するマモル。

「同じ邪竜を封印した遺跡なんだから、少し考えれば解る事を今更気付いたの?」

 ミガキの挑発に再び槍を振り回しかけるマモル。

 そんな二人を置いてハジメが先に行く。

「不安なのか?」

 邪竜退治の為に組まれたメンバーのリーダー、ウヘイ=ヨの言葉にハジメが素直に頷く。

「邪竜の力はこの目で確認しています。並の人間が幾ら集まっても勝てる相手ではありません」

 その言葉にウヘイは頷く。

「私も竜と戦った事がある。確かにあれは並の力で打ち勝てる物ではない、しかし、我々は並じゃない」

 自信に満ち溢れたその顔は、周りの戦士や術士達は頼もしく思えた。

 しかし、ハジメは一人大きな不安を持っていた。

 この人達は、邪竜の本当の怖さを知らないのではないかと。



「それでは開封の儀式を行います」

 術士が邪竜が封印されている神像を囲み、神像にかけられた封印の解除を行う。

「随分物々しいな、たかが封印を破るだけだろーに」

 マモルの言葉に戦闘に加わる為、開封の儀式から外れた術士が言う。

「邪竜を封じる封印だ。人間の身で開封しようとするならば、それ相応の用意が必要なのだ」

「だけどよ、カズバは槍の一振りで開封したぞ」

 マモルの言葉にウヘイが驚く。

「話は聞いている、竜を単独で倒す一族の人間だな。その一族特有の技が有るのだろう。機会があったら教えて欲しいものだ」

 あくまで余裕たっぷりな態度。

 しかしミガキは頬をかきながら言う。

「ハジメあたしなんか不安になって来た」

 その言葉にウヘイが極自然の態度を崩さず言う。

「安心してもらって大丈夫だ。我々は何匹もの竜を滅殺した事がある」

 その時、ハジメは思い出してしまった邪竜と竜とでは物凄い力差があると言う事実を。

「開封を待ってください。やはり、カズバが来るのを待つべきです!」

 ハジメの言葉は間に合わなかった。

 神像が砕け、そこから邪竜が復活した。

『長かったぞ封印の日々。その渇き汝等で癒して貰おう』

 邪竜はブレスを放つ。

 ミガキと術士達が結界を張るが、ブレスはミガキの張った結界以外全てを打ち破り、術者達の命を一瞬で奪う。

 驚愕する残りの術士達。

「馬鹿な! 今の術は竜のブレスを受け止められる術だぞ!」

 ウヘイも半歩だけ後退するが、すぐさま指示を出す。

「相手は竜より強い。二人で結界を張れ!」

 訓練された術士達は即座にその言葉に反応し、二重の結界を張ることで、邪竜のブレスを防ぐ。

「予想外の事態があったが、これからだ!」

 そう言って魔法強化された武器を持った戦士達が一気に詰め寄る。

『愚かな人間が、その程度の力で我に逆らうか! ドラゴンブラッドファイアー』

 次の瞬間、戦士達は内部から炎を出して絶命していく。

「あの鎧には対抗魔法がかけられて居たのだぞ!」

 流石に呻くウヘイ。

「ここは逃げましょう、今回は私達の準備不足です」

 ハジメが必死な思いを込めて言うと、仲間を殺された戦士が言う。

「馬鹿いえ、たかが竜に仲間を殺されて下がれるか!」

 その言葉にハジメが言う。

「そこが間違いなんです。あそこに要るのは竜ではありません。竜の制限を失った邪竜なんです」

 その言葉にウヘイは頷く。

「そうだな。今回は我々は竜を滅殺する準備しかしてこなかった。それが敗因だ」

 ウヘイがあっさりその事実を認めると他のメンバーも反論をあげなかった。

「お前達は、出来るだけ遠くに逃げろ」

 そういって、魔法剣を構えるウヘイ。

「ウヘイさんは、どうするつもりですか?」

 その言葉に真っ直ぐ邪竜を見たままウヘイが言う。

「私は、邪竜滅殺隊のリーダーだ。今回の失敗は、竜を滅殺した事があるだけで、邪竜も同じと思った私に責任がある。そしてこのまま邪竜を放置すれば、この作戦の意味が無くなる。私はこの命に代えて邪竜を滅殺する」

 ハジメが慌てて戻ろうとした時、ウヘイの元からの部下達が抱え上げる。

「行かせて下さい! ウヘイさん一人を、見殺しになんて出来ません!」

 それに対してウヘイの元からの部下達は出血するほど強く拳を握り締めながら言う。

「ウヘイさんの誇りの為にもお前達を殺す訳にはいかないんだよ!」

 つらそうな表情を見てハジメは絶叫した。

「カズバ助けて!」

「はいはい、任せておきな」

 その声は、ハジメ達が入ってきた入り口から聞こえてきた。

 驚きの表情のまま、ハジメが入り口の方を見ると、そこには黒髪の十四歳くらいの少年一刃と、少し涙目の十一歳の少女七華がいた。

「何時までも泣いてないで、お前は、そこら辺に転がってる生きてる奴を回収しろ」

 一刃はそういうと、駆け出しし、胸のアクセサリーを握る。

『血の盟約の元、一刃が求める、戦いの角をここに表せ、竜角槍』

 そして、アクセサリーは一本の槍、竜角槍に変化する。

『人間が我とまともに遣り合えるつもりか!』

 邪竜が嘲りを込めて言う。

「逃げろ、このメンバーで勝てる相手じゃ無い!」

 ウヘイは若き命を散らさない為、強い意志を込めて言う。

 邪竜に正面から切りかかる一刃。

『愚か過ぎる!』

 次の瞬間全てを術士達が必死で避けたブレスが迫る。

 一刃は竜角槍で天に振るう。

『ドラゴンエア』

 凄まじい気流が、邪竜のブレスを天井に流す。

『人間が竜魔法を使うだと!』

 その間にも、七華は生きてる人間を選別し、一まとめにすると胸から下げたアクセサリーを媒介に呪文を唱える。

『ドラゴンエア』

 一刃は竜の攻撃を防ぐのに使うこの呪文も、七華の応用力を持ってすれば、怪我人を運ぶ術に早変わり。

「グガー」「いてー」「潰される」「返事は無いただの屍のようだ」

 とにかく、怪我人は退避された。

「さて邪魔な障害物も残り一つだ」

 一刃はウヘイの方を向いて言う。

「邪竜は俺がきっちり倒してやるから、とっとと逃げろ」

 傲慢な物良いにウヘイは額の血管が浮き出るが、怪我人の事もあるので下がる。

「危なくなったら言え、私が命に代えても助ける」

 その言葉に苦笑する一刃。

「中々根性あるおっさんだな。結構好きだぜあーゆーのは」

 それを側で聞いていた七華が一刃から離れ言う。

「お兄ちゃん女の人だけじゃなくて男の人にも興味があるの?」

 恐ろしい物を見る様な目で七華を一刃は睨むが直ぐ、気を取り直し、邪竜を見る。

「さてもう障害が無くなった行くぞ!」

『多少の魔法をが使えた所で、人のみで我に勝つことは出来んぞ! ドラゴンブラッドファイアー』

 一刃と七華に呪文が放たれた。

 一刃は竜角槍の一振りで呪文の波動を断ち切り、七華はアクセサリーを構えて唱える。

『血の盟約の元、七華が求める、戦いの牙をここに表せ、竜牙刀』

 アクセサリーは鏡の様な盾になり、七華はそれで相手の呪文を弾き返すが、その衝撃でぐるぐる回転しながらハジメ達が避難している所まで来てしまう。

「大丈夫? ナナカちゃん!」

 ハジメが心配そうに駆け寄るが、ナナカはVサインを出して言う。

「平気平気、あっちは結構ダメージ食らったみたいだけど」

 そう言って七華が邪竜を指差すとそこには、肩から血を燃え上がらせる邪竜の姿があった。

『たかが人間にこんな真似が出来る訳が無い!』

 天を仰ぎ呻く邪竜の前に槍を振り上げる一刃が居た。

「敵から目を逸らすなんて本気で愚かだな」

 魔法武器すら容易に弾く腕を掲げる邪竜。

『ドラゴンスライサー』

 その一撃は邪竜の腕を切り落し、肩を半ばまで切り裂く。

「流石は邪竜、今の食らって生きてるかよ」

 余裕たっぷり一刃。

 そんな一刃を憎憎しげに睨む邪竜。

『お前だけは絶対に殺す』

 連続ブレスが放たれ。

『ドラゴンファイアーボール』

 瞬間に鉄を昇華する魔法の火炎球。

 そして大岩すら一撃で砕く尻尾が同時に一刃に迫ってくる。

 一刃は竜角槍の一振りで、ブレスを断ち切り、そのまま竜角槍を媒介に呪文を唱える。

『ドラゴンマジックカウンター』

 ファイアーボールが全て弾き返され、迫り来る尻尾とぶつかり遭い、尻尾が付け根から千切れ飛ぶ。

『グガー』

 倒れる邪竜。

 誰もが圧勝と思う中、七華が呟く。

「時間掛け過ぎだよ。早く決めないと幾らお兄ちゃんでも危ないよ」

 その言葉にミガキが驚く。

「でも余裕一杯な風に見えるけど?」

 七華が首を横に振る。

「あちき達は、あちきの世界に戻って直ぐこっち飛んで来たの。世界を超えるのって結構力使うの。その上、あちきが怪我人を回収する間の時間稼ぎをする為に、正面から邪竜とやりあってたからかなり消耗してるよ。それに邪竜ってしぶといの」

 七華が指差す先では、邪竜の肩が付着し、腕と尻尾の再生が始まっていた。

 ウヘイが再び戦闘に出ようとした時、一刃は振り返り言う。

「七華の戯言を信じるなよ。俺は何時でも楽勝だぜ」

 そう言って体を捻り込むように槍を持った手を引く。

 怪我の再生も目処のついたのか、邪竜が立ち上がり、一刃を睨む。

『お前だけは絶対に殺す。合魔法ドラゴンフレイム』

 ドラゴンのブレスを魔法に因って強化する、あらゆる物質を融解する超高熱の炎が一刃に迫る。

「ヤヤの姉御にやられた後、必死になって特訓して覚えた必殺技を食らえ!」

 高速で回転させながらの突きが放たれる。

『ドラゴンスクライド!』

 その突きはから放たれた衝撃波は、ドラゴンフレイムを撃ち弾き、一撃で邪竜の頭を消し飛ばす。

 崩れていく邪竜を背中に一刃が言う。

「いったろ楽勝だって」

 そんな一刃からハジメは目が離せなくなっていた。



 ウヘイ達が後始末をする中、一刃と七華とそれに付き合うハジメ・ミガキ・マモル達は聖都ミヤロンへの帰り道についていた。

 そして宿屋に泊まった夜。

 一刃の部屋にハジメがやって来た。

「カズバ、今回は本当にありがとう」

 それに対して一刃は平然と言う。

「これも仕事さ」

 その言葉に、ハジメの胸が少し痛んだ。

 ハジメは何かを決心するように頷くと、着ていたローブを脱ぎ始める。

「おいおい何のつもりだよ」

 それに対してハジメが言う。

「最初の仕事の報酬です。もらってもらえますよね?」

 その言葉に唾を飲む一刃。

「ヤヤの姉御にばれたら、俺は殺される」

 それに対してハジメは真っ直ぐな瞳で言う。

「私も合意の上での約束です。それに、カズバだったら……」

 言葉を濁すハジメ。

 一刃は呼吸を整えて、期待と不安に揺れるハジメの肩に手を置く。

 二人の顔が近づき唇がくっつく寸前、声がする。

「お兄ちゃんって、見境無いんだから。前の事件の時も、センリにエッチしようって言ってたし」

 経費削減の為と一緒の部屋だったが、寝ていた筈の七華の声に慌てる一刃。

「これは、そうお互い了解の元での事でなー」

 一刃は同意を求めようとハジメの顔を見る。

「どうしたんだ?」

 ハジメの顔は、さっきまでの恋する乙女のそれから、冷たい人形めいた冷たい顔に成っていた。

「カズバは誰でも良いんですよね」

 そう言って部屋を出て行くハジメ。

 七華に詰め寄る一刃。

「何で邪魔をする」

 遠い目をして七華が言う。

「お兄ちゃんだけ、恋人出来るなんて嫌だもん!」

「ガキが恋人つくろうなんて百年早いんだよ!」

 この兄妹喧嘩は、暫く続き、宿を半壊させたとだけ言っておこう。

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