風紀委員会地獄化
翌日。
スカイハイ高校の風紀委員会室は、いつもより緊張感が漂っていた。
「……まひる、昨日の雨宮くんの机、見た?」
副委員長の桜井さくらが声を震わせる。
「見ました……完璧でした……でも、少しやりすぎじゃ……」
まひるは机に向かって背筋を伸ばしていた。
目はキラキラしていて、まるで楽しんでいるよう。
「やりすぎ、ですか……? でも、雨宮くんが困らないようにするのが私の仕事ですから」
風紀委員長としての責任感?
それとも、昨日から加速した“助けたい暴走”?
部屋にいる全員が、どちらか判断に困った。
「委員長……これ、ちょっと危険じゃ……」
「危険? どこがですか?」
まひるは無邪気に首をかしげる。
その笑顔の破壊力は、緊張感を倍増させる。
放課後、委員会の仕事が始まる。
校舎の掲示物チェック、廊下の落し物確認、忘れ物届け、掃除道具の整理……
だが今日のまひるは、雨宮くんに関係するものだけを重点的に完璧に仕上げる。
「ここは、昨日の雨宮くんの消しゴム跡が残ってますね……」
「え、全部の教室じゃなくて?」
副委員長が動揺する。
「はい。雨宮くんのためです」
さらに、風紀委員会の予定表には「雨宮くんチェックタイム」とメモが追加されていた。
副委員長は顔面蒼白。
「ちょ、委員長……これ……予定表に書く必要ある……?」
まひるは微笑む。
「雨宮くんの安全のためですから……♡」
委員会メンバーは次第に疲弊し始め、
「まひる……やっぱり普通じゃない……」
「これ、委員会地獄化する未来しか見えない……」
と、心の中で悲鳴を上げる。
一方、雨宮くんは放課後に偶然廊下を通りかかる。
「うわ、委員会室やけに静か……って、まひるがまた黙々と何かやってる……」
まひるの目は真剣そのもので、
でも笑顔。
その組み合わせが、クラスでも委員会でも誰も止められない暴走予感を漂わせていた。
「……雨宮くんのため……助けたい……」
心の中で静かに燃え上がるまひるの想い。
それはただの“優しさ”の域を超え、クラス全体を巻き込む嵐の前触れだった。




