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クラス一真面目子ちゃんをメンヘラに開花してしまったようですね♥  作者: 櫻木サヱ
あの日、真面目子ちゃんは壊れた

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4/19

突然の距離ZERO女子♥

2時間目が終わり、休み時間。

教室には雑談と笑い声が広がっている。


雨宮はいつも通り、のんびりと教科書を机に積み上げ……

あ、いや、積み上げようとした。


……が。


(なんか、後ろが……近い。)


気配。

めっちゃ近い。


「雨宮くん、次の授業、数学ですよね?」


後ろから、ふわりと優しい声。

距離は約15センチ。

いや、もうほぼ背後霊の距離。


振り返ると、まひるが

にこーっと清楚な微笑みのまま立っていた。


「えっ、二階堂!? 近っ……」


「近いですか?」

「いや、めっちゃ近いよ!?」


ひなたが遠くから見ていて肩を震わせる。


(まひる……! お前、昨日までこんな距離感じゃなかっただろ……!)


まひるは全く気にしていない様子で続ける。


「雨宮くん、いつも教科書お忘れになるので……今日こそはと思って。

 えっと……ほら、貸しますね」


まひるは自分の教科書を差し出した。


「え、いや、今日は持ってきたよ? ほら!」


雨宮が鞄から取り出すと──


中には二冊の数学教科書。


「……え? なんで二冊?」


ひなた「わぁ……もう始まってる……」


まひるは首をかしげて微笑む。


「念のために、です。

 ひとつは自分の、ひとつは……雨宮くんの、かもしれないなって」


「かもしれないで教科書2冊持ってくんの!? 重くない!?!?」


「慣れました♡」


ほんの少し語尾がやわらかい。

でもまひるは気づいていない。


クラスメイトたちはひそひそ話を始める。


「二階堂、雨宮にめっちゃ距離近くない?」

「なんか今日やたら優しくね?」

「優しいのは前からだけど……今日のは“重さ”あるな……」


そんな声もお構いなしに、

まひるは雨宮の席をさりげなく(さりげなくない)整える。


机の端に置かれたプリントを揃え、

少し傾いていた椅子を直し、

消しゴムの汚れまで指で軽くこすって取る。


「え、二階堂……なんで俺の席だけ整備すんの……?」


「雨宮くんが快適に授業を受けられるように、です」


清楚に、品よく、真顔で言われると

反論できない。


しかしひなたは心の中で叫んだ。


(いや反論しろ雨宮!! これ絶対普通じゃない!!)


雨宮は少し照れて笑う。


「なんか……ありがとな、いろいろ。助かる」


その瞬間。


まひるの頬が、ぽっ……と赤くなる。


(……また……“助かる”って……言って……くれた……)


胸の奥で、何かがさらに大きく膨らむ。


(やっぱり……私、役に立ててる……

 だったら……もっと……助けたい……)


そんな彼女の思考は

まだ誰も知らない。


ただ、ひなただけが

友達として、震えながら呟いた。


「……完全に恋落ちした真面目子の顔だこれ……

 でも恋の仕方が、すでに重い……」


チャイムが鳴る。


距離ゼロ女子・二階堂まひるの

メンヘラ開花は

まだまだ序章にすぎなかった。

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