ひと言の破壊力=͟͟͞͞)`Д゜);、;'.・グハッ
チャイムが鳴る少し前。
教室のドアが、勢いよくガラッと開いた。
「はぁ……はぁ……セーフ……!」
雨宮そら、駆け込みギリギリ登校。
もはやクラスの誰も驚かない光景である。
まひるは、そっと視線を向けた。
その視線は、先生でも親でも出せない
“遅刻しなくてエラいね” の純度100%の眼差し。
「雨宮くん、おはようございます。間に合ってよかったです」
「あ、二階堂、おはよー……。いやー、今日めっちゃ寝坊してさ……」
雨宮が息を整えながら自分の席に向かうと、
彼はふと気づいた。
自分の机だけ……なんか、輝いてない?
「……え? なんで、俺の机だけ……めっちゃキレイ?」
他の机の中身
プリントぐちゃぐちゃ、鉛筆カス、謎の食べかけガム(誰)……
普通の高校生の机。
雨宮の机
新品? なんこれ?
ツルッツルで光を反射してる。
クラス中がざわっとした。
「うわ……雨宮の机だけ異常にピカピカじゃん」
「昨日そんな掃除してたやついた?」
「え……二階堂?」
「いや、二階堂だとしても理由がわからん……」
雨宮は困惑して前の席のまひるに声をかける。
「二階堂、これ……誰が?」
「……さあ、誰でしょう?」
まひるは微笑む。
普段と変わらない、清楚で優しい笑み。
だがひなたは、その表情を見て震えた。
(まひる、今日なんか……目がキラキラしてない?
いや、いつもきれいだけど……輝き方が違う……?)
雨宮は机にそっと触れた。
指が滑るほどツルッとしている。
「すご……。俺の机だけ、まるで新しい……」
まひるの胸の奥が、じんわり熱くなる。
(気づいてくれた……よかった……)
(雨宮くんは頑張り屋さんじゃないから……私が少しだけ助けたいだけ……)
まひるの脳内スイッチが
カチ…と静かに切り替わった瞬間だった。
雨宮は机を眺めながら照れくさそうに笑う。
「……こういうの、助かるよ。誰かわかんないけど。
二階堂みたいにちゃんとした人がクラスにいると、ほんと助かるなぁ」
その一言。
クラスの誰も気に留めないような、ただの褒め言葉。
しかし──
まひるの世界は一瞬で変わった。
(……わたし……役に立ててる……?)
(雨宮くんが……助かった……?)
(それって……)
胸が、ぎゅぅぅっと苦しくなる。
息がしづらい。
でも嫌じゃない。
むしろ──
(もっと……助けたい……)
ひなたはその顔を見て背筋が凍った。
(やばい……まひる……落ちた……!
いや落ちるのはいいんだけど、落ち方が……強火の予感しかしない!)
雨宮は気づかず、のほほんと笑ったまま。
まひるの心で、
何かが静かに
しかし爆音で壊れた音がした。




