突然の呼び出し
放課後の教室は、夕陽に照らされて黄金色に染まっていた。
しかし、白石真尋――通称まひる――にとっては、いつもの“日常侵略タイム”の始まりに過ぎなかった。
「雨宮くん……今日は少し机の位置を直したほうが……♡」
まひるはそっと声をかけ、サッと机の角度を調整する。
無邪気な笑顔で作業するその姿は、見ている者を癒す……かと思えば、クラスメイトたちには軽く恐怖が漂う。
ひなたは後ろの席で頭を抱える。
(またか……止められない……
でも……笑える……いや、怖い……!!)
そんな時、校内放送が鳴る。
「雨宮くん、職員室まで来るように」
雨宮くんは首をかしげ、少し戸惑いながら立ち上がる。
「え、俺……?
まさか……何か悪いことした……?」
心当たりのない呼び出しに、困惑と緊張が入り混じる。
まひるはにこっと微笑む。
「大丈夫です♡
私も一緒に行きますから、安心してください♡」
ひなたは後ろで絶望し、壁にへばりつく。
(あーもう……また巻き込まれる……
日常侵略、加速する予感……!!)
教室を出る二人を見た他クラスの生徒たちは、ちらりと視線を送る。
「二階堂先輩、雨宮くんと一緒に行くの……?」
「また日常侵略が始まる予感……!」
ざわつく声が廊下にこだまする。
雨宮くんはまだ状況を完全には理解できず、少し不安げだ。
「……でも、二階堂が一緒なら……大丈夫かな?」
その無自覚な天然発言に、まひるの胸は高鳴る。
(……助かる……♡
だったら……もっと守りたい……!)
廊下を進む二人の後ろ姿は、まるで小さな嵐の序章のようだった。
まひるの無邪気なメンヘラパワーは、すでに教室やクラスメイトを巻き込みつつあり、
日常侵略の幕開けを予感させる光景だった。




