お弁当争奪戦
昼休み。教室はお昼ご飯の時間で賑やかだった。
雨宮くんは自分のお弁当を机に置き、のんびりと蓋を開ける。
だが、その平和も長くは続かなかった。
「……雨宮くんのお弁当……♡」
まひるはそっと席を立ち、雨宮くんの周囲を観察する。
その目は、獲物を狙うハンターのように輝いていた。
ひなたは遠くから息を呑む。
(やばい……今度はお弁当まで監視対象……!
完全に日常侵略モード……!!)
まひるは小さな手でお弁当の位置や向きを整え、箸やおかずのバランスまでチェックする。
「これで食べやすさも完璧……♡」
その笑顔は無邪気だが、背後には恐るべき計算力がある。
周囲のクラスメイトも巻き込まれ始める。
「あ、ちょっと、まひる先輩……やりすぎ……」
同級生が止めようとするが、まひるはにっこり微笑む。
「雨宮くんが快適に食べられるなら、誰も困りませんよね?」
しかし事態はさらに加速する。
机の上のちょっとしたおかずのズレも見逃さず、箸をそっと直すまひる。
「ここは……この向きが最適……♡」
まるで愛の精密作業。
雨宮くんは無自覚で笑う。
「ありがとう……二階堂、助かるよ」
その言葉に、まひるの胸は燃え上がる。
(……助かった……♡
だったら……もっと助けたい……!)
ひなたは後ろで両手を握りしめ、壁にへばりつく。
(だめ……もう誰も巻き込まれないで……!!
でも笑える……いや、怖い……!!)
その時、後輩男子がこっそりお弁当を覗こうとすると、
まひるは鋭い眼差しで制止する。
「……そこは触れないでください。雨宮くんのお弁当ですから♡」
完全に“お弁当警備隊”の顔になっていた。
教室は笑いと混乱に包まれ、
放課後の事件とはまた違う、昼休み限定の“まひるの愛情暴走劇”が繰り広げられた。
雨宮くんは、今日も何も知らず、無自覚に幸せそうにお弁当を食べていた。
まひるのメンヘラパワーは、まだまだ加速していく――!




