授業中の監視カメラ化
朝の教室。
窓から差し込む光に埃が舞い、静かな空気が流れている。
しかし、そんな平穏を打ち破る存在が一人──白石真尋、通称まひるだ。
「……今日も完璧に観察する……♡」
小声でつぶやき、まひるは雨宮くんの席をじっと見つめる。
授業が始まると同時に、まひるの“監視カメラ化”スイッチが入る。
ノートの取り方、ペンの握り方、椅子の座り方まで、すべてチェック対象だ。
まるで、クラス全体を監視する小さな天使……いや、微妙に怖いストーカー天使。
雨宮くんはいつものようにぼんやりしている。
「……あれ?机の角度変わった……?」
ちょっとした変化に気づくが、まだ無自覚で嬉しそうに座る。
まひるはノートの端をそっと直し、消しゴムの位置を整える。
「これで授業効率が最大化……♡」
完璧すぎるその動作に、クラスメイトは次第にざわつき始める。
ひなたは後ろの席で顔面蒼白。
(やばい……また始まった……
授業中まで監視とか、普通じゃない……!)
しかし、まひる本人はニコニコしながらも真剣そのもの。
「雨宮くんが困らないように……これも私の仕事ですから」
その一言が、さらに恐怖を加速させる。
授業が進むにつれ、まひるの監視力はどんどん冴え渡る。
クラス全員の目線も、いつの間にかまひるに吸い寄せられ、微妙な空気に包まれる。
雨宮くんは無自覚に笑う。
「……あ、ありがとう、二階堂……助かるよ」
その一言で、まひるの胸はまた熱くなる。
(……助かった……♡
だったら……もっと助けたい……!)
ひなたはそっと天井を見上げ、溜息混じりに呟く。
「今日も授業中の監視でクラス全体が巻き込まれてる……
どうしてこうなるんだ……!!」
放課後、教室の空気は微妙にピリピリ。
しかし、まひるにとっては、雨宮くんの安全確保こそが至上の喜びであり、
“授業中の監視カメラ化”は日常の一部となっていた。




