放課後追跡の極意
放課後、校舎の廊下は静まり返っていた。
しかし、その静けさを切り裂くように、まひるの足音が軽やかに響く。
「……ふふ、雨宮くん、今日はどの道を通るかな♡」
その表情は、天使の笑顔……いや、微妙に危険信号も混ざった笑みだ。
ひなたは遠くの階段から息をひそめ、心の中で叫ぶ。
(やばい……また始まった……
完全にターゲット追跡モード……!!)
まひるは雨宮くんを追跡しながら、歩く速度、歩幅、歩き癖まで細かく観察する。
ノートにメモを取るわけでもなく、すべて頭の中で管理。
まるで、リアルタイムでマップを作成しているかのようだ。
「……ここで曲がるはず……よし、予測通り♡」
微笑みながら、まひるは雨宮くんの後ろをぴったりとついていく。
雨宮くんは、歩きながら空を見上げたり、友達の会話に耳を傾けたりしている。
全くまひるの存在に気づかず、のほほんとしている。
「……え、誰もいないよな?」
無自覚に独り言をつぶやく。
すると、まひるが背後からひょっこり現れる。
「……またですか!?」
思わず声を出す雨宮くん。
「だって、雨宮くんが安全に帰宅できるか確認するのも、私の仕事ですから♡」
微笑みながら、まひるはぴったりと寄り添う。
雨宮くんは背筋に冷たいものを感じつつも、
「……いや、普通に助かるんだけど……」
無自覚に感謝してしまう。
その一言で、まひるの胸の奥は熱くなる。
(……また“助かる”って……♡)
(だったら……もっと助けたい……!)
遠くから見守るひなたは、壁にへばりつきながら小声で叫ぶ。
「雨宮ーーー!!
その“助かる”で完全に暴走スイッチ押してるんだよぉぉーー!!」
夕暮れの校舎。
まひるの追跡スキルは全開、
雨宮くんはその嵐に気づかず、のほほんと歩いていくのであった。




