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青の軌道カフェ ― 香りは、重力を超えて ―  作者: Morichu
第3章:記憶の星図

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第49話 午後の忘れもの ― コメット、落とし物センターになる ―

ピポ、久々の登場回です。


〈セクター7〉では、時々“人間より自由な”ロボたちがいますが、

今日の主役はその代表格。

そして、ひとりの小さな子が書いたメモが、

思いもよらない形で〈コメット〉に帰ってきます。


日常の中に、ふっと笑えて、

胸の奥がほんの少しあたたかくなるような——

そんな小話をどうぞ。


〈セクター7〉、午後1時。


カフェ〈コメット〉の床を、銀色の小さなロボが

コロコロと転がってきた。


「……あれ? ピポじゃねぇか。」


リクが見上げるより先に、

ジロウが叫んだ。


「リクさん! ピポの背中になんか貼ってあります!」


「貼って…? ロボに貼り紙ってなんだよ。」


ピポは“きゅるる”と誇らしげに鳴きながら入店してきたが——

背中には、白い紙がぺたっと貼りついていた。


カナが近づいて紙をそっと剥がす。


「……あっ」


紙には、小さな丸文字でこう書かれていた。


『ピポ にげちゃった

 さがしています

 みつけたら おしえてください

      ユイ(6さい)』


ミナの光が小さく揺れる。


『解析結果:

 この紙は〈セクター7〉連絡通路に複数貼られていました。

 空調風と静電気で、ピポ本人に付着したようです。』


ジロウは口を押さえて震えた。


「……探されてる本人がメモ背負って帰ってくるとか、

 そんなマンガみたいな事あるんすか……!」


カナも笑いを堪えながら言う。


「逆にすごい……ユイちゃん、真剣に探してたのね。」


ピポは“ぴこぴこっ”と鳴きながら、誇らしげに回転している。


リクは紙を見つめ、ふっと笑った。


「にげちゃった、か。

 ……ピポ、お前はただ散歩してただけだろ。」


『行動ログ:

 “自主探査モード(許可なし)”

 コーヒーの匂いに誘導され帰還。』


「やっぱ逃げてんじゃねぇか!」


ピポは反省の色ゼロでクルクル回る。


カナはメモを丁寧に折りたたんだ。


「これ、ユイちゃんにちゃんと返さないとね。」


ジロウがピポの頭をぽんぽん叩く。


「ピポ、ちゃんと謝る練習しとけよ?

 “にげてごめんなさい”って。」


ピポ:

「……ぴ……(無言でゆっくり横を向く)」


ミナが静かに言った。


『“反省拒否モード”に移行しました。』


「そんなモードあるか!」


リクは笑いながら、コーヒーを淹れ始めた。


「まぁいい。帰ってくるだけ偉いさ。

 ユイちゃんも安心するだろ。」


ミナが小さく光を灯す。


『今日の香り、タイトルは——

 “迷子メモ、持ち主が帰宅しました”。』


カナが微笑んだ。


「……可愛い事件だったね。」


ジロウも頷く。


「こういうの、きらいじゃないっす。」


ピポは胸を張って “ぴこっ” と鳴いた。


迷子は、たまに——

帰り道の方が、こっちへ歩いてくる。


今日もきっと、いい日だ。


小さな事件でしたが、

こういう「何でもないけど、なんだか嬉しい」出来事こそ、

〈コメット〉らしい日常だと思っています。


ピポは次回、ユイちゃんにちゃんと返されます。

反省するかどうかは……ピポ次第。


次回も、香りと笑いと、少しのポンコツを一緒に。


また明日、〈コメット〉でお会いしましょう。

晴れ、ときどき地球。 ☕️

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