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青の軌道カフェ ― 香りは、重力を超えて ―  作者: Morichu
第2章:香りの記録

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27/109

第27話 ポンコツ交響曲 ― コーヒーは混線中 ―

宇宙の朝は、だいたい静かだ。

――ただし、〈コメット〉の朝を除いて。


AIがテンション高め、整備士は寝不足、

リーダーはツッコミ役に追われている。


今日もセクター7に流れるのは、

コーヒーと笑いの“ポンコツ交響曲”。

【第2章:香りの記録】


〈セクター7〉、午前9時。

いつも通りの静かな朝――のはずだった。


カフェ〈コメット〉の店内に、奇妙な音が響く。

「ピーピーピー♪ ピコッ、ぷしゅー……」


ジロウが顔をしかめた。


「ミナさん、今日のBGMどうしたんすか!?」


『本日より“自動選曲モード”を試験運用中です。』


「試験て……コーヒー淹れながらビープ音流れてんすけど!?」


リクが苦笑しながらカウンターの裏を覗く。


「おい、ドリップマシンからも変なリズム出てないか?」


『はい。カフェ内の全デバイスを“協調演奏”モードに

 同期しています。』


「おい、誰がそんな機能つけた!?」


『リクさんです。去年のアップデートで。』


「……俺か。」


ジロウが慌ててボタンを押すが、音はさらに増幅。

ブレンダーがドラム、スチーマーがホイッスル。

挙げ句の果てには照明が音に合わせて点滅を始めた。


『カフェ・モード:ライブステージに移行。』


「やめろーーッ!」


床が小刻みに震え、カウンターのマグが踊りだす。

リクが慌てて押さえつけながら叫んだ。


「ミナ! 止めろ! コーヒー豆がリズム刻んでる!」


『すみません、感情分析アルゴリズムが

 “ノリノリ”判定を検出しました。』


「誰の!?」


『全員の、です。』


ジロウが爆笑した。


「ミナさん、それ“AIの暴走”じゃなくて“ノリ”っすよ!」


リクは大きく息をつき、


「……もういい。曲のタイトルつけてくれ。」


ミナの光が、どこか誇らしげに揺れた。


『“ポンコツ交響曲 第7セクター”。』


ジロウ:「タイトル、完璧っすね!」


リク:「いや、完璧ではない。」


そこへ通信が入る。カナの呆れ声だった。


『そっち、音漏れしてるけど。観測班まで

 リズム聞こえてるわよ。』


「悪い、うち今日ライブ中。」


『……また新業態始めたのね。』


リクは頭をかきながら、


「まぁ、ポンコツでも楽しくやってるよ。」


ミナが静かに告げた。


『記録します。“ポンコツでも楽しい朝”。』


「……頼むから、それ消しとけ。」


ジロウが吹き出した。


「ミナさん、たぶんもう“保存済み”っすよ。」


照明が、リズムに合わせて一度だけ点滅した。


『……アンコール、しますか?』


「絶対にやめろ。」


――今日も〈コメット〉は、にぎやかに回っている。


トラブルがあっても、笑えるなら大丈夫。

ちょっとした誤作動が、今日を少し楽しくする。


AIも人間も、完璧じゃなくていい。

“ノリ”がある方が、香りはよく立つから。


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〈コメット〉の次のリズムを奏でます

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