第九章 エルフの森と世界樹の癒し
旅を再開してしばらく経った頃、レオンたちは神秘的な森へと足を踏み入れた。
「なんだか空気が違うね……」
「ここはエルフの森だな。妖精と自然の力が満ちている」
フェンリルの言葉にレオンは緊張しつつも前へ進んだ。すると、森の奥から長身のエルフが現れた。薄緑色の髪に澄んだ青い瞳を持つ彼は、弓を手にしていた。
「旅人よ、この森に何用かな?」
「僕たちはただ旅をしていて、森を抜けようと思って……」
レオンが説明すると、エルフはしばらく考えた後、にこりと微笑んだ。
「君たちに悪意はないようだ。歓迎しよう。エルフの里へ来るといい」
案内されるままに歩くと、森の奥に広がる美しい村が現れた。木々に囲まれたエルフの集落は、幻想的な光を放っていた。
「わあ……すごい……!」
レオンは目を輝かせた。もふもふたちも興味津々に辺りを見回している。
「実は……世界樹が弱っていて、森の力が失われつつあるのだ」
エルフの長老がそう語ると、レオンは真剣な表情になった。
「僕に何かできることはある?」
「君の持つ癒しの力ならば、世界樹を回復できるかもしれない」
長老の言葉を受け、レオンは世界樹の元へと案内された。そこには、枯れかけた巨木が静かに佇んでいた。
「レオン、お前の力を試してみる時だな」
フェンリルの言葉に、レオンはそっと世界樹の幹に手を当てた。すると、温かな光が広がり、樹全体を包み込んでいく。
「……すごい……」
エルフたちは息をのんで見守った。そして、ゆっくりと世界樹の葉が鮮やかな緑を取り戻し始めた。
「やった……!」
「これほどの力を持つとは……君は本当に特別な存在だ」
エルフたちは感謝し、レオンを歓迎した。宴が開かれ、美味しい果実やエルフ特製の料理が振る舞われた。
「レオン、本当にすごいな!」
「ううん、僕はただ……みんなと一緒にいたいだけなんだ」
レオンは恥ずかしそうに笑った。しかし、彼の行いは確実に世界に影響を与え始めていた。
こうして、新たな経験を得たレオンたちは、さらに旅を続けるのだった。