第六章 賢者との出会い
温泉地を後にしたレオンたちは、山間の古びた庵で不思議な老人と出会う。
「おやおや、小さな旅人と……おや? 聖獣たちとは珍しい」
その老人は賢者アルドと名乗り、かつて国の重鎮であったことを語る。彼はレオンの不思議な力を見抜き、旅を支える知恵を授けることとなる。
「お前さん、ただ者ではないな……」
「えっ? ぼ、僕ですか?」
「そうとも。お前が持つその癒しの力、普通のものではない。聖獣たちがこうして寄り添うのも、ただの偶然ではないのじゃよ」
「でも、僕はただ……もふもふたちと一緒にいるだけで……」
「ふぉっふぉっ、それこそが重要なのだ」
アルドは優しく微笑み、湯気の立ち込める庵の奥へとレオンを招いた。中には、古びた書物や薬草が所狭しと並んでいる。
「さあ、旅の話を聞かせてくれんか? その間に、何か温かいものでも飲もう」
「……うん!」
レオンはもふもふたちと共に座り、これまでの旅について話し始めた。市場での出来事、川辺で出会った霧龍、そして温泉での出来事。アルドは目を細め、時折頷きながら話を聞いていた。
「なるほど、なるほど……。お主は、ただの旅人ではないな」
「え?」
「聖獣たちと共に歩むことで、世界を癒しているのじゃよ」
「そんな……僕はただ、みんなと一緒にいたいだけなのに……」
「それが良いのだ。己の力を意識せずとも、自然と人や獣に力を与えている。まさに、理想の導き手じゃな」
レオンはきょとんとしながらも、アルドの言葉に少しだけ誇らしい気持ちになった。
「それで……アルドさんは、どうしてこんなところに?」
「わしは、昔は国の賢者として仕えておった。しかし、老いには勝てん。今はこうして隠居して、旅人に知恵を分け与えておるのじゃ」
「すごい……! 僕、アルドさんからいろんなことを教わりたい!」
「ふむ……そうじゃな」
アルドはしばらく考え込むと、にやりと笑った。
「ならば、わしがお主に知恵を分け与えてやろう」
「えっ!?」
「お主がこれからも旅を続けるのなら、知恵と導きが必要であろう。もちろん、聖獣たちの世話の仕方や、より癒しの力を高める術もな」
「ほ、ほんとに!?」
「ふぉっふぉっ、もちろんじゃ。まずは、薬草の見分け方から教えてやろうかの」
こうして、レオンは新たな知恵を得て、さらに旅を続けることになるのだった。