第三十三章 初めての旅路
朝日が森の木々の隙間から差し込み、優しい光が地面を照らしていた。鳥のさえずりが心地よく響き渡る中、レオンたちは旅立ちの準備を進めていた。
「荷物の確認よし! あとは……」
レオンが最後のチェックをしていると、ユキとハヤテが並んで立っていた。二人ともすっかり落ち着いた表情をしており、ユキは少し興奮気味に耳をぴくぴく動かしている。
「レオン、改めてよろしくね!」
「俺も世話になる、迷惑はかけないようにするつもりだ」
「うん、一緒に楽しい旅にしよう!」
レオンはにこっと笑って応じた。
もふもふたちも準備万端で、フェンリルはどっしりとした姿勢で周囲を見渡し、ルナやモコは跳ねるように歩き回っている。
「さて、それじゃあ……そろそろ出発しようか!」
レオンの掛け声とともに、一行は新たな道へと足を踏み出した。
「兄さん、大丈夫?」
ユキが隣を歩くハヤテを心配そうに見上げる。ハヤテはまだ完全に回復したわけではないが、表情は晴れやかだった。
「大丈夫だ。お前のほうこそ、無理してないか?」
「うん! レオンたちがいるから、すごく心強いよ!」
レオンは微笑みながら頷く。
「最初はゆっくり進もう。無理せず、みんなで一緒にね」
すると、もふもふたちが周りをぴょこぴょこと跳ねながらついてきた。
「ねえねえ、新しい仲間ができたんだから、お祝いの儀式しようよ!」
モコが元気いっぱいに言うと、トトが「それ、いいね!」と賛同した。
「……儀式?」
ハヤテが怪訝そうに眉をひそめる。
「お、お祝いって何するの?」
ユキも興味津々で尋ねると、ルナがにやりと笑った。
「特別な歓迎の儀式! もふもふの洗礼を受けてもらうのさ!」
「もふもふの……洗礼?」
ハヤテが首を傾げた瞬間、モコが勢いよく飛びついた。
「もふもふに埋もれるんだよ!」
「うわっ……!」
一瞬のうちにハヤテはもふもふたちに囲まれ、ふわふわの毛に埋もれてしまった。
「な、なんだこれは……!」
「わぁぁ! 兄さん、もふもふまみれだ!」
ユキが楽しそうに笑い、レオンもくすくすと笑みをこぼした。
「もふもふの歓迎は、受け入れられた証だよ」
「……すごいな、お前たちは」
ハヤテは驚きつつも、少しずつ緊張を解いていくのが分かった。
「これからどんな冒険が待ってるんだろう?」
ユキが瞳を輝かせながら呟くと、レオンはにっこりと笑った。
「きっと、楽しいことがたくさん待ってるよ」
こうして、新たな仲間を加えたレオンたちの旅は、穏やかで楽しいものとなるのだった。




