第二十九章:新たな仲間
街では2泊し、しばしの休息をとった。
「次はどこへ行こうか?」
名残惜しくもあったが、旅を続けることがレオンたちの本来の目的。もふもふたちも新たな冒険を楽しみにしているようだった。
「新しい場所に行きたいな!」
モコが元気よく飛び跳ねる。
「そうだな、次はどこか温泉のある場所がいいのでは?」
ルナが気持ちよさそうに伸びをする。
「のんびりしてる暇はないぞ。我はさらなる力を求めているのだ!」
コンが誇らしげに胸を張る。
そんなやり取りをしながら、レオンたちは次の目的地へ向かうことにした。
***
旅を再開して数日後、レオンたちはとある森の中を歩いていた。
「なんか、この辺り静かすぎない?」トトが警戒するように言った。
「……確かに、鳥の鳴き声もあまり聞こえないな。」フェンリルが辺りを見渡しながら言う。
そのとき——
「うう……助けて……」
どこからかかすかな声が聞こえてきた。レオンたちは顔を見合わせ、声のする方へ駆け寄った。
木々の間に、小さな影が横たわっていた。
「うわっ、傷だらけだ!」
レオンが急いで駆け寄ると、そこにいたのは白銀の髪を持つ獣人の少女だった。彼女は白い耳と尻尾を持ち、服はところどころ破れ、泥だらけになっていた。
「君、大丈夫?」
レオンがそっと手を伸ばすと、少女は怯えたように身をすくめた。
「怖がらないで、僕たちは敵じゃないよ。」
ルナが優しく声をかけると、少女はかすかに目を開け、震えながら言葉を発した。
「……助けて……追われてるの……」
「追われてる?」
レオンたちが驚いたそのとき、茂みの向こうからガサガサと何かが近づいてくる音がした。
「ククク……ようやく見つけたぞ。そいつは俺たちの獲物だ。」
現れたのは粗暴そうな男たち数人。彼らは獣人の少女を捕らえようとしながら、レオンたちを見下ろした。
「お前ら、どこからきた? そいつは珍しい獣人だ。大人しく渡せば見逃してやるぜ。」
「そんなの、渡すわけないでしょ!」
モコが怒って飛び跳ねる。
「我らが目の前でそんな横暴を許すわけにはいかぬ!」コンが威嚇するようにしっぽを振る。
レオンは少女をかばいながら、毅然と言った。
「この子を連れて行かせるわけにはいかない!」
「なら、力ずくで奪うまでだ!」
男たちはナイフを抜いて襲いかかってきた。しかし、フェンリルが鋭い眼光で睨みつけると、その場にいた男たちの足がすくんだ。
「な、なんだ、この威圧感は……!」
「やばい、こいつら普通じゃねえ……!」
レオンはその隙に手をかざし、もふもふ適性の力を発揮する。
「大丈夫、僕がいるよ。」
その言葉に呼応するように、もふもふたちの力が高まり、男たちを一斉に取り囲んだ。
「ひっ……こ、こんなはずじゃ……!」
男たちは恐れおののきながら後ずさりし、そのまま慌てて逃げていった。
***
「はぁ、助かった……」
少女は安堵したように息をついた。
「ありがとう……私の名前はユキ。ずっと、狩られそうになって逃げてたの……。」
「そうだったんだね。でも、もう大丈夫。僕たちがいるよ。」
レオンが微笑むと、ユキの瞳が揺れた。
「……私、人間に狙われてるの。」
「君が困ってるなら放っておけないよ。とりあえず、一緒にいよう?」
「……うん。」
こうして、ユキとの出会いをきっかけに、レオンたちは新たな目的へと歩みを進めるのだった。




