第二十八章:新たなる旅路
試練を乗り越え、もふもふたちが言葉を話せるようになった翌朝。
「さて、これからどうする?」
レオンは焚き火のそばで朝食を取りながら、もふもふたちに問いかけた。
「もちろん、次の冒険に出るんだよね?」
モコがぴょんと跳ねて言う。
「ふむ。言葉を手に入れたことで、さらに有意義な旅ができるのではないか?」
コンが誇らしげに尾を揺らした。
「うん。でも、どこに向かう?」
ルナがしっぽを優雅に揺らしながら考え込む。
「アストリアが言っていたように、この地にはまだ知られざる遺跡や秘境が眠っているはず。」
フェンリルが静かに語る。
「それを探しながら旅を続けるのも、一つの手だな。」
「そうだね。でもその前に、村か街に寄って準備を整えたほうがいいかも。」
レオンがそう提案すると、みんなも頷いた。
「食糧の補充も必要だしな。」
シルフィードが静かに風を感じながら言った。
「じゃあ決まり!」
レオンは立ち上がり、荷物をまとめる。
「まずは村か街へ向かおう!」
***
レオンたちは、遺跡からの帰り道を進みながら、新しく得た能力について話していた。
「ねえねえ、私たちって、どこまで話してもいいの?」
モコがぴょんと跳ねながら尋ねる。
「フェンリルが言ってたよね。人間の前ではあまり話さないほうがいいって。」
ルナが落ち着いた口調で答える。
「そうだな。あまりにも珍しいと、好奇の目で見られるし、最悪、危険が及ぶこともある。」フェンリルは鋭い眼光を光らせながら言った。
「でも、こうして話せるのが楽しくて仕方ないんだよー!」
モコがくるくる回る。
「むぅ……我の知性を存分に発揮したいが、ここはぐっと堪えるとしよう。」
コンが渋々と頷いた。
「まあ、これまで通りのフリをすればいいだけだよ。」
トトが小さな声で言った。
「みんなで秘密を守れば、問題ないと思う。」
「うん、それがいいね!」
レオンが笑いながらみんなを見回した。
***
数日後、レオンたちは街へとたどり着いた。
「久しぶりの街だね!」
「うむ。食事も補充できるし、情報も集められるな。」
コンが満足そうに街の門を見上げる。
「それに、みんなが普通に過ごしている場所に戻ると、改めて私たちが特別な体験をしたことを実感するわ。」
ルナが静かに言った。
「まずは宿を確保しようか。」
レオンが言うと、みんなも頷いた。
「ごはん、ごはん!」
モコが元気よく駆け出そうとするのを、フェンリルがしっぽで制する。
「お前たち、言葉が出ないように気をつけろよ。」
「うん、わかってる!」
モコはぴょんと飛び跳ねながらも、ぎりぎりのところで踏みとどまった。
こうして、レオンたちは新たな旅の準備を整えながら、次なる冒険へと歩みを進めていくのだった。




