表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/37

閑話:もふもふたちのおしゃべり

 レオンたちが試練を終えた翌朝。

「おはよう、レオン!」

 突然の言葉にレオンは驚き、目をぱちくりさせた。目の前には、もふもふの姿のままのモコが、ぴょんぴょん跳ねている。

「あっ、しゃべった!?」

「うん、しゃべったよ!」モコは耳をぴくぴくさせながら嬉しそうに答えた。

「おはよう、レオン。」

 ルナがゆったりと伸びをしながら、しっぽを揺らして話しかけてくる。さらに、コンが誇らしげに胸を張って言った。

「ようやく、我の偉大さを言葉で伝えられるようになったのだ!」

「そういうこと、前から思ってたの?」レオンが苦笑すると、コンは鼻を鳴らしてふんぞり返る。

「まあまあ、コンの言うことはさておき……レオン、これで私たち、もっとたくさんお話できるね!」ルナがにっこりと笑った。

「それは嬉しいけど……なんか不思議な感じ。」

「そうか?」トトが丸くなりながら、小さな声でつぶやいた。「わたし、もともと静かにするの好きだから、あんまり話さないかも。」

「おーい! 話せるって、楽しいなー!」モコが元気よく飛び跳ねる。

「まったく落ち着きがないな……」コンがため息をつくが、モコは気にせず走り回っていた。

 そこへ、シルフィードがゆっくりと翼を広げる。「……風が、やさしく流れている。言葉を持つことで、世界の声がより深く感じられるようになった。」

「かっこいい!」レオンは感嘆の声を上げる。

「シルフィードはやっぱりすごいなあ。」ルナがうっとりと見つめ、コンも「我も負けておれぬな」と鼻を高くする。

 その後も、もふもふたちはおしゃべりを楽しみ、朝食の間も大騒ぎ。

「レオン、ごはん、まだー?」モコがせがむ。

「待ってよ、今準備してるから!」

「レオンの料理、おいしいもんね!」コンが得意げに言う。

「おいしいのは認めるけど、もう少し静かに食べようよ……」トトが呆れ顔で言った。

「まあまあ、これからもっといろんなことが話せるようになるんだから、ゆっくり楽しめばいいよ。」

 レオンは笑いながら、にぎやかなもふもふたちとともに新しい朝を迎えた。

 言葉を交わせるようになったことで、さらに絆が深まり、旅はますます楽しくなっていくのだった。

 ***

 食事が終わり、もふもふたちがそれぞれ言葉を楽しんでいると、フェンリルが静かに言った。

「お前たち、人間の前では迂闊に話さない方がいい。」

「え? なんで?」モコが首をかしげる。

「もふもふたちが言葉を話すことは、珍しいどころか、奇跡に近い。人間たちの中には、珍しいものを欲しがる者もいる。話せると知られれば、危険が及ぶこともあるだろう。」

 フェンリルの言葉に、もふもふたちは顔を見合わせた。

「……たしかに、珍しいって思われるかもしれないね。」ルナが真剣な表情になる。

「むぅ、我の偉大な知性を披露したいのに……」コンが不満そうにしっぽを揺らす。

「我慢して、コン。安全のためだよ。」トトが穏やかに諭す。

「そうだね、気をつけるよ!」モコが元気にうなずいた。

「うむ、それが賢明だ。必要なとき以外は、もとの通り振る舞うのだ。」フェンリルが静かに言い、もふもふたちは頷いた。

 こうして、もふもふたちの新しい日常が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ