第二十五章 楽しい夕食
テーブルには豪華な料理が並び、芳醇な香りが漂っている。レオンはもふもふたちとともに席につき、目を輝かせながら食事を見つめていた。
「さあ、冷めないうちに召し上がれ。」
マリアンヌが微笑みながらすすめると、レオンは少し遠慮がちにフォークを手に取った。
「こんなに美味しそうな料理……いいんですか?」
「もちろんよ。遠慮せず食べてちょうだい。」
レオンが頷き、料理を口に運ぶと、その美味しさに思わず頬が緩んだ。もふもふたちも用意された食事に満足そうにしている。
和やかな雰囲気の中、リチャードがふと微笑みながらレオンに向き直った。
「そういえば、私はまだちゃんと自己紹介をしていなかったね。」
「え……?」
レオンが驚いて顔を上げると、リチャードは穏やかに続けた。
「私はリチャード・フォン・エルシオン。この国の王の弟であり、大公の称号を持っている。」
その瞬間、レオンの手が止まり、もふもふたちも思わずぴくりと耳を動かした。
「こ、国王の弟……?」
レオンは驚きで目を見開いた。まさか、これほどの高貴な人物とともに食卓を囲んでいるとは夢にも思っていなかった。
エドワードがくすっと笑いながら言う。
「驚くのも無理はないな。リチャード様は普段からとても気さくなお方だからな。」
「でも、そんな偉い方と知らずに……」
レオンが戸惑いながら言葉を詰まらせると、リチャードは優しく微笑んだ。
「気にすることはないよ。私はただの一人の人間であり、マリアンヌの夫であり、そして君たちと出会えたことを嬉しく思っている。」
「……リチャードさん……」
「だから、これからも気を使わず、今まで通り接してほしいんだ。」
その言葉にレオンは胸が温かくなるのを感じた。もふもふたちもレオンの周りで安心したように鳴き声をあげる。
「はい!僕も、マリアンヌさんもリチャードさんも大好きです!」
素直な言葉にマリアンヌが嬉しそうに微笑み、リチャードも満足げに頷いた。
「それは嬉しいな。」
その後、食事は和やかに進み、レオンたちは美味しい料理を堪能しながら、楽しい会話を交わし続けた。
大公という身分を持つリチャードだったが、その温かい人柄に触れ、レオンはこの家族との絆をさらに深く感じるのだった。




