第二十章 屋敷での楽しいひととき
朝日が窓から差し込み、柔らかい光が部屋を満たしていた。
「……んん……」
レオンは目を覚まし、ふかふかのベッドの心地よさに身を委ねながら、ぼんやりと天井を見上げた。
「にゃあ……」(ルナ) 「ぴょん……」(モコ) 「しゅるる……」(シルフィード)
もふもふたちもベッドの上でぐっすり眠っていたが、レオンが起きると同時に少しずつ目を開け、のびをした。
「おはよう、みんな。よく眠れた?」
もふもふたちはそれぞれ満足そうに鳴き声を上げる。
そのとき、コンコンとノックの音が響いた。
「レオン、起きてる?」
扉の向こうからアレンの声が聞こえてきた。
「うん、今開けるね!」
レオンが扉を開けると、アレンは嬉しそうに笑いながら手を引いた。
「ねえねえ! 今日は屋敷の中を案内してあげる! いっぱい面白い場所があるんだよ!」
「それは楽しみだな!」
レオンは笑顔でうなずき、もふもふたちも興味津々に後をついていく。
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「まずはこの部屋!」
アレンは大きな扉を開けると、そこにはたくさんの本が並ぶ立派な書庫があった。
「うわぁ……すごい! 本がいっぱいだ!」
「父さんが騎士だから、戦いの本もあるけど、おとぎ話や魔法の本もあるんだよ!」
レオンは興味津々で本を手に取ると、もふもふたちも棚の間を歩き回りながら本の匂いをくんくんと嗅いでいた。
「これ、お気に入りなの!」
アレンが取り出したのは、「勇者と魔法の森」というタイトルの本だった。
「後で読んであげるね!」
もふもふ達も目を輝かせてうなずいた。
「うん、楽しみにしてるね」
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「次はね、お風呂!」
アレンは勢いよく扉を開けると、そこには昨夜入った広々とした浴場が広がっていた。
「知ってるよ、昨日入ったもん!」
「うん、でもね、ここにはちょっとした秘密があるんだよ!」
「秘密?」
アレンはニヤリと笑いながら壁の一角を押した。すると、隠し扉がゆっくりと開いた。
「えっ!? こんなのあるの?」
「うん! こっちは昔使われてた小さな浴室なの! でも今は誰も使ってないから、僕のお気に入りの隠れ家になってるんだ!」
「すごい……! アレンって探検家みたいだね!」
「えへへ、そうでしょ?」
アレンは得意げに胸を張り、レオンともふもふたちはその小さな浴室を興味深げに眺めた。
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「最後はね……キッチン!」
「キッチン?」
「うん! 今日は特別に、レオンも一緒にお料理しよう!」
「えっ、本当に?」
「もちろん! 僕もお料理大好きだし、レオンにも手伝ってもらいたいの!」
レオンともふもふたちはアレンに案内されてキッチンへ向かった。すでにリリアが待っていて、優しく微笑んだ。
「おはよう、レオンくん。今日はアレンと一緒にお料理してくれるの?」
「はい! ぜひ!」
「それじゃあ、みんなで楽しく作りましょうね」
リリアは温かい笑顔でうなずき、早速料理の準備が始まった。
「まずは卵を割るよ!」
「えっと……こうかな?」
レオンが慎重に卵を割ると、モコがぴょんと跳ねながら応援する。
「ぴょん!」(モコ)
「にゃー!」(ルナ)
「がぅっ!」(フェンリル)
「しゅるる……」(シルフィード)
みんなが見守る中、レオンとアレンは協力して朝食を作り上げていった。
「できたー!」
テーブルには、美味しそうなパンケーキやスクランブルエッグが並ぶ。
「いただきます!」
全員が手を合わせ、美味しそうに食事を楽しんだ。
「おいしい!」
「レオンも料理上手だね!」
「ありがとう! アレンが教えてくれたおかげだよ!」
レオンとアレンは顔を見合わせて笑い合い、もふもふたちも幸せそうに食事を楽しんでいた。
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朝食を終えた後、エドワードに書斎に呼ばれた。
「レオンくん、昨夜の冒険者の件だけど……」
エドワードが真剣な表情で口を開く。
「どうやら、あの冒険者たちは常習犯の可能性が高い。調査を進めるため、また話を聞くことがあるかもしれない。だから、しばらくの間、この屋敷に滞在してほしいんだ」
「えっ……!」
レオンは驚いたが、エドワードの申し出に少し考えた後、頷いた。
「……わかりました。ご迷惑じゃなければ、お世話になります!」
「もちろん、大歓迎だよ!」
こうして、レオンともふもふたちは屋敷での滞在を続けることになったのだった。
それを知ったアレンは嬉しそうに笑い、リリアも優しく微笑んだ。
「じゃあ、レオンくん。これからも一緒にたくさん遊ぼう!」
「うん!」
しばらくの滞在が決まり、レオンはエドワードに素材を売りたいことを相談すると、 「それならば市場を案内しよう」と言われ、後日街へ向かうことになった。




