第十八章 未知なる出会い
秘宝の森を後にしたレオンたちは、新たな冒険へと向かう途中で、人間の冒険者と遭遇する。
「おい、あれを見ろ……!」
道の向こうから現れたのは、数人の冒険者たちだった。先頭に立つ男は、穏やかな笑みを浮かべて近づいてくる。
「やあ、こんなところで旅をしているとは珍しいね。君たちはどこへ向かっているんだい?」
男の名はロイド。肩にかかる金髪と整った顔立ちが印象的な人物だった。
「僕たちは旅の途中で、素材を集めていたんです」
レオンが答えると、ロイドは微笑んだ。
「なるほど、それは素晴らしい。その素材は街に持っていくのかい?」
レオンは少し悩んだが、小さくうなずく。
「そうですね。だいぶん溜まってきたし、街に行ってみようかな、ここから近いですか?」
レオンの言葉にロイドはうなずく。
「ああ。俺たちもこれから帰るところだ。もしよかったら、一緒に行かないか?案内するぜ」
「がぅ……」フェンリルは警戒を強めてレオンの隣に。
「にゃぁ……」「きゅきゅきゅ」「うーーっ」
もふもふたちは警戒するように鳴き声をあげた。ロイドは優しく笑いながらしゃがみ込んで懐から干し肉をとりだした。
「怖がらなくてもいいよ。僕はただの冒険者さ。君たちみたいな可愛い魔獣を見るのは初めてでね。ほらこれ食べるか?」
「ぴょん!」(モコ)
モコがロイドに近づき匂いを嗅ぎ、小さく鼻をぴくぴくさせる。続いてルナやコンも興味を持ち、そっと近づいた。
「触ってもいいか?何も危険なことはしないよ」
「にゃぁ……」(ルナ)
フェンリルはまだ少し様子をうかがっていたが、ルナは安心したように喉を鳴らし、レオンもついその言葉を信じてしまった。
こうして、レオンたちはロイドたちと共に街へ向かうことになった。
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しばらく歩いた後、ロイドは仲間の冒険者たちと意味深な視線を交わす。そして、ふと何気ない口調で尋ねた。
「そういえば、君の連れているその動物たち……いや、魔獣たち、なかなか珍しい種類だね」
「うん、みんな大切な仲間だよ」
レオンが笑顔でそう答えると、ロイドはゆっくりと頷いた。
「そうか……」
ルナがロイドの足元にすり寄り、モコは軽く跳ねて遊んでいる。シルフィードは気持ちよさそうに空を漂い、コンはしっぽをふわふわと揺らしながら歩いていた。
「みんなすっかり打ち解けたようだね」
ロイドがそう言うと、レオンは嬉しそうに頷いた。
「うん。もふもふたちは人懐っこいんだ」
笑顔の裏で、ロイドの瞳の奥は狡猾な光が宿っていた。
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街の入り口に着いた瞬間、ロイドの態度が変わった。
「さて、ここからはおとなしくしてもらおうか」
「え?」
ロイドの仲間が一斉にレオンを囲む。
「君たちには価値がある。特にその魔獣たち……高く売れそうだ」
「なっ……!」
レオンが驚く間もなく、ロイドたちは魔法の鎖を取り出し、フェンリルやルナたちを捕えようとした。
「がぅっ!!」(フェンリル)
「にゃあ!!」(ルナ)
もふもふたちは抵抗しようとするが、油断していたため対処が遅れた。ロイドたちは冒険者としての実力も確かで、徐々に追い詰められていく。
レオンも必死に抵抗するが、魔法を使われ、身動きが取れなくなってしまった。
「くそっ……!」
「大人しくしているんだな。すぐに商人に引き渡してやるさ」
ロイドが不敵な笑みを浮かべたその瞬間――
「そこまでだ!!」
鋭い声が響き、ロイドたちの動きが止まった。
レオンが視線を向けると、銀の鎧に身を包んだ騎士たちが馬に乗って駆けてくる。その先頭に立つのは、凛とした雰囲気を纏う青年騎士だった。
「その者たちを解放しろ!」
「ちっ、厄介な連中が来やがった……!」
ロイドたちは舌打ちをすると、騎士たちに向かって武器を構えた。
「少年、すぐに助ける!」
青年騎士は剣を抜き、ロイドたちへと立ち向かう。
果たして、レオンたちは無事にこの窮地を脱することができるのか――。




