第十五章 幻影の迷宮と心の試練
風の加護を得たレオンたちは、旅の途中で奇妙な遺跡に足を踏み入れた。その名も「幻影の迷宮」。
「ここは……何か、不思議な気配がするな」
フェンリルが静かに鼻を鳴らし、周囲を警戒する。その直後、足元の魔法陣が淡く光り、レオンたちは突如として別々の空間へと引き離された。
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レオンが目を開けると、そこは見覚えのある村の風景だった。しかし、様子がおかしい。村人たちは皆、レオンを見て冷たい目を向けていた。
「またお前か……役立たずめ」
誰かがそう呟いた。
「え……?」
村の人々は背を向け、レオンを無視するように去っていく。胸が締め付けられるような孤独感が襲いかかる。
「これは……幻影? それとも……」
レオンは必死に頭を振った。しかし、心の奥底にある不安が膨らんでいく。自分は本当に皆に受け入れられているのか? もふもふたちも、いつか自分を見捨てるのではないか?
もふもふ達の顔を思い出し、レオンは顔を上げる。
「そんなこと……ない!」
レオンは叫んだ。その瞬間、まばゆい光が彼を包み、幻影が霧散した。
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一方、フェンリルは黒い霧に包まれた空間にいた。目の前には、かつての仲間たちが立っている。
「お前は王になるべきだった。それなのに、何故人間の子供について行く?」
「彼は……特別な存在だ。私は彼を守る」
フェンリルがそう答えると、幻影の狼たちは笑った。
「お前はただの臆病者だ」
その言葉に、フェンリルの胸がざわめいた。長年、群れを捨てたことへの罪悪感があったのかもしれない。しかし——
「私はもう迷わない。今の主は、レオンだ!」
吠え声とともに闇を切り裂くと、幻影が消え去った。
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他のもふもふたちも、それぞれ自分の弱さと向き合い、仲間との絆を思い出すことで試練を乗り越えていった。
そして、レオンたちは再び迷宮の中央で合流する。
「みんな……!」
「大丈夫だったか?」
フェンリルが静かに問いかけると、レオンは微笑んだ。
「うん。でも……一人だったら乗り越えられなかったかも。みんながいるから、強くなれるんだ」
「にゃん!」
「ふぁおん!」
もふもふたちも賛同するように鳴き声を上げる。
「よし……この試練、みんなで乗り越えたんだ!」
その瞬間、迷宮の奥から光が差し込み、次の道が開かれた。




