第十四章 龍の試練と風の加護
ルナの活躍によって古代遺跡を後にしたレオンたちは、再び旅を続けることになった。
「次はどこに行く?」
「地図によると、この先に『浮遊の谷』って場所があるみたいだ」
「浮遊の谷?」
レオンが首をかしげると、フェンリルが説明を加えた。
「伝説によると、そこには強大な風の力を操る龍が住んでいるらしい」
「おお、それってもしかして、シルフィードの仲間?」
レオンが龍のもふもふ「シルフィード」に目を向けると、彼女は誇らしげに翼を広げた。
「ふぁおん!」
「どうやら、自分の仲間かもしれないって思ってるみたいだね」
浮遊の谷に近づくと、突如として強い風が吹き荒れた。
「うわっ!? すごい風!」
「これは……試練の風かもしれんな」
フェンリルの言葉に、シルフィードは鋭い目を光らせた。
「ふぁおん!」
シルフィードは一気に空へと舞い上がり、風の流れを読んで素早く飛び回る。そして、突風の中に隠された魔法の気流を見極めるように旋回した。
「すごい……シルフィードが風を操ってるみたい」
突如、谷の中央に銀色の龍が現れた。その龍はシルフィードを見つめ、ゆっくりと口を開いた。
「風を読む力、お前にはその素質がある。試練を乗り越え、我らの力を継ぐか?」
「ふぁおん!」
シルフィードは意志を示すように鳴いた。
「ならば、風の加護を授けよう——」
銀の龍が翼を広げると、強烈な風が吹き荒れた。しかし、シルフィードはその風を受け止め、まるで風と一体化するように軽やかに飛んだ。
「すごい……!」
やがて風が静まり、シルフィードの身体がかすかに光を帯びる。
「これが……風の加護?」
「ふぁおん♪」
シルフィードは誇らしげに羽ばたき、レオンたちを優しく見つめた。
「ありがとう、シルフィード。そして、あなたも!」
銀の龍は静かに頷き、レオンたちはさらなる冒険へと歩みを進めたのだった。




